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わが闘争 1968日 中村登
美人女優をたくさん配して、全員が漏れなく飛んでるという中々観れない、思い切って造った映画です。
世の中に対する恨みを持っている堤家というのが全ての前提条件で、
この呪われた血を受け継いだ家族が起こすとんでもない映画です。
主人公は堤玲子(佐久間良子)、
祖父が若い頃一度だけ娼婦を買ったら、梅毒に罹り、隔世遺伝で、玲子の姉(岩本多代)が、
知的障害者になってしまい、そこから呪われていることが露呈したという設定です。
時代は戦前戦後をまたぎ、父親は戦争で足を怪我して戻ります。
「五体満足だったのに、戦争が~、戦争が~」と社会そのものを恨む父なのですが、家族は全員、社会が私達をないがしろにした、というルサンチマンなのです。
極貧なのですが、それも彼らに言わせれば当然社会のせいです。
玲子の妹の時子(三女)(香山美子)は堤家の女は娼婦が似合っていると娼婦になります。私生児がいてこの子は足が悪く、ここで呪われた血を強調しています。
四女の美也(加賀まりこ)の幼い頃からの夢は、自分が性病に罹り、それを世の男に広めるという、恐ろしいことを考えています。流石にそうはなりませんでしたが、キャバレーに勤め、彼女に入れあげた靖(石坂浩二)は会社のお金300万(昭和27年位)を横領してしまうという魔性の女です。
順番はわかりませんが、堤家には男の兄弟仙一(夏八木勲)がいて、感化院にいるところからスタート、途中で家に戻りますが、出てくるシーンはいつも暴れています。
そして主人公玲子は、呪われた血が恐ろしく、男には決して抱かれないと誓っています。
自分が子供の頃、こんな家に生まれたことが嫌で嫌で仕方なく、そんな思いをわが子にはさせたくないから絶対に子供は作らないという考えです。
彼女が一番まともっぽいですが、昭和22年には立派な不良少女に育っています。
物語は昭和27年からがメイン。
玲子は真面目に勤め、また詩を作る文学を愛する女性に成長していました。
ところが、物語はこちらの想像のはるか上をいきます。
処女狩りを得意とする文学青年(川津祐介)が登場、玲子はレイプ同様に処女を奪われます。それを恨みにもった玲子は、ガスで殺害しようとしますが失敗、それでもめげずに、駅のホームで突き落とそうとします。それを渋川良(入川保則)という男に止められます。
玲子と良は親しくなりますが、良は自殺志願者で、それを聞いた玲子は彼と心中することを決めます。
そしてある海辺の旅館に行き決行となったその時、玲子は兼ねてからの夢であった(らしい)“童貞狩り”を死ぬ前にやりたいと言いだし、旅館を出て、夢を成してきます。
そうしたら、良も死ぬ前に玲子を抱きたいと懇願、それを引き受ける玲子。
(これを読んでいると、なんだこりゃ、と思うでしょうけれど、こういう話なのです)
そして、いよいよ睡眠薬で心中を図ります。
ところが、翌日二人ともピンピン、感動した二人は結婚することに、そして幸せな日々が続き、めでたく妊娠、二人は喜びますが、我に返った玲子は呪われた血の子を産むことはできないと、堕胎してしまいます。
そんな時に現れたのが美也、300万円をほとんど使ってしまい、靖を捨てて二人のところに転がり込んできました。
仕方なく3人の生活が始まります。
ある日、良と美也が部屋で二人の時、美也が悪魔の囁きを良にします。「お兄さんの子供は私が産んであげる」それにまんまと乗っかる良ですが、
なんとその場に、玲子を訪ねてきた靖を連れて、家に戻る玲子と靖、当然現場を目撃、逆上した靖は良を刺し殺してしまいます。
良の墓参りを玲子と美也がしていると、玲子が良の子を妊娠していることが発覚、玲子は今度は出産を決意、無地五体満足な男の子が誕生します。
喜びに湧く堤一族ですが、音楽はなにやら不穏なことが起こりそうなのが流れおしまいです。
呪われた血の連鎖が続くのでしょうか。
物語は登場人物がその場その場の欲望をそのまま行動に起こしている様子につなぎ合わせです。
そして俳優は皆エネルギッシュ、特に女性陣が。
だからこの映画は女性が社会を批判し抵抗する様の映画で、ただやたらと極端というのが特徴です。
多分佐久間良子がこういう役を演じたのは先にも後にもこの映画だけでしょう。
そういう観点から観れば希少で貴重な映画です。