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【SPAC演劇】マハーバーラタ ナラ王の冒険(駿府城公演)宮城聰 演出
昨年、アヴィニョン演劇祭に招聘されて絶賛されたマハーバーラタの凱旋公演です。
私は3度目の観劇になりますが、過去二回と一番違うのは、客席を取り囲む環が舞台であることでした。
もちろんこの環を味方にした、広い空間が駆使されていました。
神々達も求婚するという、聡明な美女のダマヤンティーが夫に選んだのは、ナラ王でした。
その婚礼から始まります。打楽器を基調とした演奏と、能を想わせる重厚な動きで登場する演者たち、そして4人の神は厳かないでたちですが、皆宴を祝います。
ナラ王とダマヤンティー姫には二人の子が授かり、国も栄えますが、
ある時ナラ王は博打に溺れ、弟に国をはじめ全てが奪われてしまいます。
国を追い出され、危険が待ち受ける森を彷徨うナラ王、ダヤマンティーは二人の子を実家(南の国の王家)に預け、愛するナラ王を追います。
苦難の末会えた二人ですが、ナラ王はダマヤンティーの衣の一部を姫への愛の証として持ち、姫の下から離れます。
姫は他の国に落ち延びた据え、実家に戻ります。
王も新たな苦難を受けながら、特に姿形は醜くなってしまいながらも、北の国に落ち延びることができました。
その北の国で、南の国のダマヤンティーが新たな夫を選ぶ儀式を執り行うことを知ります。
姫を射止めたい北の国の王の御者となって姫の元に急ぐナラ王。
途中、博打に溺れたのも、森で姫を捨てたのも、悪魔のカリの横恋慕の嫌がらせだったことが解り、また北の王からは博打の奥義を授かるナラ王です。
ここからクライマックスの大団円に向かいます。
ナラ王は、ダマヤンティー姫も国も取り戻し、弟のことも許し、また益々国が栄えるのです。
この演劇は、説明しすぎないで、さりげなく、観客に見所を示してくれます。
アイボリーを主にした衣装は、緩急がある照明で表情が変わります。また、影となる照明もありました。登場人物の心の機微が窺えます。
そして時折アイボリー以外の色を効果的に使います。例えばカリの衣装は違和感をこちらに訴えますし、色がついた小道具、例えば呪いを説く物や、醜くなったナラ王がナラ王に間違いないことを証明する肉等の赤はキーになる場面に出てきます。
この演出は、ムーバーとスピーカーの形で演じられます。
普段は、演者はムーバーとして動きだけ、スピーカーが台詞をほぼ全て発するのですが、時折、ムーバーが口を開きます。
ここも登場人物の感情の高ぶりを、ここぞで示していました。
また、楽しい演出が多いのも特徴です。
語呂合わせのような洒落たギャグが入ったり、重厚な動きだけでなく、軽妙な仕草も多くあります。
また、森で旅する一族は、小さな模型で細かい動きで笑いを誘うかと思えば、森に潜む巨大な象は、大きな鼻だけでその巨大さを現します。
その森の中の時間軸も、距離感も、環を使った長い舞台が上手く活かされていました。
野外の駿府城での舞台は、最初は薄暮での婚礼の儀式で始まり、最後は照明で浮かび上がる祭礼の儀式で終わります。
環の半分を駆使して、観客から見れば180度の視界に演者は広がるのは同じながら、最初は単に婚礼の祝いの言葉だったのが、最後は、この世で生きる幸せを願う力強い声明に昇華されて、私たちの心に響くメッセージになります。
ナラ王が打ちひしがれても望みを失わなかったように、ダマヤンティーが、王のことを片時も忘れず、いつかよりを戻せることができることを信じる自分を信じることをやめなかったように、二人とも自らを鼓舞していた結果、もう一度幸せを手に入れることができたこと、それを今度は観客に、もっと言えば、劇場の外の世界に示す大団円でした。
この最後の、秘めた強い心を持っていたいという伝言が、今まで以上に伝わってきたのが、マハーバーラタ凱旋公演でした。