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いもたつLife

【9月 新国立劇場 文楽】

社会人のための文楽鑑賞教室と銘打っての公演です。

*伊達娘恋緋鹿子 火の見櫓の段
まずは口開けという感じの短い演目ですが見どころは満載でした。
義太夫二人と三味線三竿、そして艶やかなお七です。
100年前に考案された人形遣い3人ともに消える梯子登りは素晴らしいの一言です。

*解説 文楽の魅力
一幕を見せてからの解説ですから聞き入ります。今までもこの手の解説を何度か聞いていますが、今回も細かい人形の仕組みに日本の古典の歴史や知恵、継承を感じました。

*夏祭浪花鑑 釣船三婦内の段・長町裏の段
昼の部の歌舞伎と同じ演目で、まず団七の全身入れ墨をどう人形で表すかに注目していましたが、いやはやこの文楽と言う人形浄瑠璃はなんでも表現できることに驚きです。
それは歌舞伎でも団七が義平次を、どうしても殺さなければならない逡巡とそれを執行する時の狂気がクライマックスで、この場面の鬼気迫る人形は人が演技する以上ではないかという人間が切迫した時そのものでした。

文楽の凄さを堪能しました。

【いもたつLife】

日時:2024年09月30日 09:22

【9月 新国立劇場 歌舞伎】

*夏祭浪花鑑 二幕三場
序幕 住吉鳥居前の場
二幕目 釣船三婦内の場 長町裏の場

中劇場での歌舞伎と小劇場での文楽を、同じ演目で観られるという企画です。まずは歌舞伎です。

江戸時代に生きる感覚として「男が立つ」「男が立たない」というのがあります。この芝居もそこがポイントで、でもそれは男に限らず女もです。
一見「武士は食わねど高楊枝」のようなきっぱりとした気風であり清々しさのイメージがありますが、実はその男が立つ立たない自体が独り歩きもしてしまいます。
そんな市井の輩と女たちの生き方が活き活きと描かれます。それはドロドロした人の性までです。
団七は義理の親の義平次を殺めるのですが、ギリギリのところまで耐えて、でも臨界点をこえてしまいます。
ここには打算がなかったか。少なくても現代の感覚でのずるがしこさは感じません。
当時嫌な奴もたくさんいたのは今も昔も変わりません。
でも根付いていた「男とは」「女とは」は、かなり違う価値観であったことを実感する歌舞伎で、その演目でした。

【いもたつLife】

日時:2024年09月29日 09:21

【9月大歌舞伎】

人気演目2本立てです。
*妹背山婦女庭訓 太宰館花渡し
*妹背山婦女庭訓 吉野川
今回の見どころの一つは定高を玉三郎が務めることです。その相手役となる清澄の松緑も堂々と渡り合っていました。ちなみに入鹿は吉之亟、久我之介は染五郎、雛鳥は左近です。
“吉野川”は何度観ても辛い名場面です。
一つ一つのシーンを丁寧にじっくりと堪能させてくれました。

*歌舞伎十八番の内 勧進帳
これも名作、本家の歌舞伎で必ず観たい演目でした。そして見どころたっぷりでした。
幸四郎が迫力ある弁慶を演じ、それを後押しする長唄も素晴らしいです。
黒澤明が「虎の尾を踏む男達」での演出は歌舞伎をリスペクトしていたことが解りました。

【いもたつLife】

日時:2024年09月23日 08:56

平野富山展 静岡市美術館

静岡の清水にゆかりがある平野富山展で、彩色と木彫の素晴らしさ、芸術を堪能しました。

取り壊しのため昨年通った国立劇場の「鏡獅子」は田中と富山が制作したと知りそれに関連する展示を楽しみにしていました。
その制作の様子も見どころでしたが、なんといっても身近に観る彩色された木彫は、その質感といい、木彫ではなく、本物の着物のようにしか見えません。
極めるとはこういうことなのかという想いが常に頭をよぎりました。

【いもたつLife】

日時:2024年07月15日 09:29

立川吉笑独演会:グランシップ

上手いし面白いです。
枕たっぷりで二席「狸の恩返しすぎ」と「床女防」、
仲入り後も枕から入り一席「一人相撲」でした。
どれも、古典落語の世界観を再現させた中での新作というかオリジナルで、談笑師匠の古典落語の改作とは違った組み立てで、独自の芸になっています。
師匠談笑はもちろん志の輔師匠の構造も取り入れているようにも感じますし、かなり勉強熱心の戦略家ということが解ります。

枕も当然の様に面白く、芸に勢いがあります。また、関西弁を使う使わないを分けているのも上手いです。

出迎えから送りも丁寧で、場作りもしっかりと考えられていて、吉笑さんの好意も得ての撮影会や抽選会迄催してくれました。その主催者の落語愛もひしひしと伝わってくる会で、感謝です。

【いもたつLife】

日時:2024年07月04日 10:33

【6月大歌舞伎】

一、 南総里見八犬伝(なんそうさとみはっけんでん)円塚山の場
若手俳優 八犬仕の揃い踏みです。衣装と美術も凝っています。劇自体は“だんまり”をじっくりとみせます。
今回はさわりでしたが、これだけでは勿体ない、大作として上演して欲しい演目です。

二、 山姥(やまんば)五代目中村梅枝 初舞台
萬壽、時蔵、梅枝の劇中口上が入ります。
物語も面白く、それを初舞台にも関わらず梅枝が引っ張ります。そして萬壽の舞踏は流石の芸、時蔵のあでやかさも目が離せません。
見どころ満載でした。

三、 魚屋宗五郎(さかなやそうごろう)初代中村陽喜 初代中村夏幹 初舞台
山姥で口上があった陽喜、夏幹はこちらの劇でも初舞台のおまけ付きでした。
落語を想わせる酒でがらりと人が変わる獅童演じる宗五郎が私的にはお気に入りで、苦笑いです。
色々な町人がいて、色々な侍がいて、もちろん良いものも悪いものもいて、それは現代も同じですが、こういう世話物を見ていると人情が今はもっとあった方がよいのではないかと思えてきます。

【いもたつLife】

日時:2024年06月24日 16:22

広上淳一指揮 NHK交響楽団 チェロ:上野通明

初めてのオーケストラの公演の体験でした。
圧倒されました。
素晴らしい音楽を素晴らしい演奏で聴ける心地よさは格別の時間でした。
「曲目」
ドヴォルザーク/チェロ協奏曲 ロ短調 作品104
ソロチェロ上野通明さんです。
休憩後
リムスキー・コルサコフ/交響組曲「シェエラザード」 作品35
アンコールは
ヘンデル:「水上の音楽」 から アラ・ホーンパイプ
また行きたいです。

【いもたつLife】

日時:2024年06月07日 16:30

BLANK PAGE 空っぽを満たす旅 内田也哉子 著

15人の著名人との対話が主ですが、亡くされたご両親、特に母親の希林さんの喪失が背景にあり、追悼にもなっています。そして死生観が見え隠れします。

生と死に境界線があるのか、死があるから生がある、遺された者が偲ぶのは記憶である等のメッセージは、死までの時間が近づいていることを意識している今、十二分に心に刺さりますし、その残された時間で生を全うするための示唆でもあります。
良い本でした。

【いもたつLife】

日時:2024年06月01日 16:23

【SPAC演劇】 かもめ トーマス・オスター・マイアー 演出

休憩をはさんでほぼ3時間の会話が中心の群像劇です。
観ていて、集中力が途切れそうになる位かなり重たい内容で、休憩に助けられた観劇でした。
各登場人物の立場を踏まえた気持ちは解りますが、共感はできません。ロシア人気質だからなのか、ヨーロッパ自体が他国との関係が複雑だからか、和とは離れた感覚があることを強く感じます。
個々人が自分を大事にすることは総じると大きな正に向かうとも考えられますが、この劇(話)はどうにも負にしか、悲劇しか産みません。悶々とする展開です。

演出は随所にユーモアを散りばめています。また、本気ではないかと鬼気迫る主張があったり、愛をほのめかす演技も作り込まれていることを感じます。
本質的な演劇鑑賞でした。

【いもたつLife】

日時:2024年05月07日 09:56

【SPAC演劇】 パレードとレモネード 三浦直之(ロロ) 演出

【SPAC演劇】 パレードとレモネード 三浦直之(ロロ) 演出
青葉公園にてのストリート演劇で、ショートコントをつなぎ合わせたオムニバス形式です。
そのショートストーリーがよく出来ていて面白い。
観客の気持ちを察しているかのように、つなぎ合わせのとっかかりで心を掴みます。
そして、街中の炎天下を味方にしていて、静岡を意識した組み立てにもなっています。

【いもたつLife】

日時:2024年05月06日 09:55