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いもたつLife

立川吉笑独演会:グランシップ

上手いし面白いです。
枕たっぷりで二席「狸の恩返しすぎ」と「床女防」、
仲入り後も枕から入り一席「一人相撲」でした。
どれも、古典落語の世界観を再現させた中での新作というかオリジナルで、談笑師匠の古典落語の改作とは違った組み立てで、独自の芸になっています。
師匠談笑はもちろん志の輔師匠の構造も取り入れているようにも感じますし、かなり勉強熱心の戦略家ということが解ります。

枕も当然の様に面白く、芸に勢いがあります。また、関西弁を使う使わないを分けているのも上手いです。

出迎えから送りも丁寧で、場作りもしっかりと考えられていて、吉笑さんの好意も得ての撮影会や抽選会迄催してくれました。その主催者の落語愛もひしひしと伝わってくる会で、感謝です。

【いもたつLife】

日時:2024年07月04日 10:33

【6月大歌舞伎】

一、 南総里見八犬伝(なんそうさとみはっけんでん)円塚山の場
若手俳優 八犬仕の揃い踏みです。衣装と美術も凝っています。劇自体は“だんまり”をじっくりとみせます。
今回はさわりでしたが、これだけでは勿体ない、大作として上演して欲しい演目です。

二、 山姥(やまんば)五代目中村梅枝 初舞台
萬壽、時蔵、梅枝の劇中口上が入ります。
物語も面白く、それを初舞台にも関わらず梅枝が引っ張ります。そして萬壽の舞踏は流石の芸、時蔵のあでやかさも目が離せません。
見どころ満載でした。

三、 魚屋宗五郎(さかなやそうごろう)初代中村陽喜 初代中村夏幹 初舞台
山姥で口上があった陽喜、夏幹はこちらの劇でも初舞台のおまけ付きでした。
落語を想わせる酒でがらりと人が変わる獅童演じる宗五郎が私的にはお気に入りで、苦笑いです。
色々な町人がいて、色々な侍がいて、もちろん良いものも悪いものもいて、それは現代も同じですが、こういう世話物を見ていると人情が今はもっとあった方がよいのではないかと思えてきます。

【いもたつLife】

日時:2024年06月24日 16:22

広上淳一指揮 NHK交響楽団 チェロ:上野通明

初めてのオーケストラの公演の体験でした。
圧倒されました。
素晴らしい音楽を素晴らしい演奏で聴ける心地よさは格別の時間でした。
「曲目」
ドヴォルザーク/チェロ協奏曲 ロ短調 作品104
ソロチェロ上野通明さんです。
休憩後
リムスキー・コルサコフ/交響組曲「シェエラザード」 作品35
アンコールは
ヘンデル:「水上の音楽」 から アラ・ホーンパイプ
また行きたいです。

【いもたつLife】

日時:2024年06月07日 16:30

BLANK PAGE 空っぽを満たす旅 内田也哉子 著

15人の著名人との対話が主ですが、亡くされたご両親、特に母親の希林さんの喪失が背景にあり、追悼にもなっています。そして死生観が見え隠れします。

生と死に境界線があるのか、死があるから生がある、遺された者が偲ぶのは記憶である等のメッセージは、死までの時間が近づいていることを意識している今、十二分に心に刺さりますし、その残された時間で生を全うするための示唆でもあります。
良い本でした。

【いもたつLife】

日時:2024年06月01日 16:23

【SPAC演劇】 かもめ トーマス・オスター・マイアー 演出

休憩をはさんでほぼ3時間の会話が中心の群像劇です。
観ていて、集中力が途切れそうになる位かなり重たい内容で、休憩に助けられた観劇でした。
各登場人物の立場を踏まえた気持ちは解りますが、共感はできません。ロシア人気質だからなのか、ヨーロッパ自体が他国との関係が複雑だからか、和とは離れた感覚があることを強く感じます。
個々人が自分を大事にすることは総じると大きな正に向かうとも考えられますが、この劇(話)はどうにも負にしか、悲劇しか産みません。悶々とする展開です。

演出は随所にユーモアを散りばめています。また、本気ではないかと鬼気迫る主張があったり、愛をほのめかす演技も作り込まれていることを感じます。
本質的な演劇鑑賞でした。

【いもたつLife】

日時:2024年05月07日 09:56

【SPAC演劇】 パレードとレモネード 三浦直之(ロロ) 演出

【SPAC演劇】 パレードとレモネード 三浦直之(ロロ) 演出
青葉公園にてのストリート演劇で、ショートコントをつなぎ合わせたオムニバス形式です。
そのショートストーリーがよく出来ていて面白い。
観客の気持ちを察しているかのように、つなぎ合わせのとっかかりで心を掴みます。
そして、街中の炎天下を味方にしていて、静岡を意識した組み立てにもなっています。

【いもたつLife】

日時:2024年05月06日 09:55

【SPAC演劇】 白狐伝 宮城聰 演出

昨年の「天守物語」とも親和性がある、人間と異世界の者との愛の物語です。
ヤスナに命を助けられた白狐のコルハは、恋人を喪い傷心のヤスナのために、グズノハ姫に化けて尽くします。子まで設けた二人ですが、クズノハ姫が生きていることがわかりコルハは身をひきます。

コルハの献身に涙が溢れます。観ていて異世界(獣だ)なんて関係なしです。これがメッセージでしょう。いつも世界中のどこかで常にある諍いに対してのです。

劇自体は宮城演出そのもので、役者はムーバーとスピーカーに別れてそれをいかんなく発揮します。そして打楽器を中心とした音楽と、衣装や照明を含めた美術も世界観を演出します。
今回はそれを基礎に、歌舞伎の味付けが施されていました。

主演の美加里はコルハとクズノハ姫と、コルハが化けたクズノハを演じ分けます。これがまたまた素晴らしかったです。

追伸
5/5は「立夏」です。二十四節気更新しました。
ご興味がある方は、干し芋のタツマのトップページからどうぞ。
干し芋のタツマ
二十四節気「立夏」の直接ページはこちら
立夏

【いもたつLife】

日時:2024年05月05日 09:53

【SPAC演劇】 友達 中島諒人 演出

川島雄三「しとやかな獣」を彷彿します。笑うに笑えない非常にブラックな喜劇を。
そして男を食いものにする7人の家族の圧倒的なパフォーマンスは演劇ならではです。
また凄まじいまでにこみ上げてくる嫌悪感はミヒャエル・ハネケ「ファニーゲーム」を彷彿させられます。

支配と搾取は最低の行為で、それを平然とやってのける、平然と、それをみせられることは不快が極まります。
それを引き出すのだから、この劇に、造り手の思惑通りになったということです。

不条理、理不尽は自分と社会の間の遠くない隣に潜んでいます。いつ出会わないとも限らない。
平穏な日々は奇跡だと言っても過言ではありません。
素晴らしい劇でした。

【いもたつLife】

日時:2024年05月02日 09:49

【SPAC演劇】 楢山節考 瀬戸山美咲 演出

凛としたおりん、孝行息子の辰平、そしてもう一人 玉やんを主に演じる役者3人の楢山節考で、不足部分は朗読で補われています。
映画化された二作品も観ていますが、生々しさはこの劇には適いません。
そしてチェロの演奏がそれを加速させます、
役者3人の身体から湧き出る演技と台詞も鬼気迫り、こちらもそれに呼応してしまいます。
映画化された二作品も素晴らしかったですが、この劇も掛け値なしに傑作です。

そして、死を受け入れる、残る者に与えきる生き方は、棄てられない現代でも、いかに死ぬかの人間に課せられた宿命は変わらず、年を重ねるごとに迫る死を自分の中で決着つける、おりんを目指すことは死を(生を)全うすることだと改めて心に刻まれました。

【いもたつLife】

日時:2024年05月01日 09:48

【SPAC演劇】かちかち山の台所 石神夏希 演出

SPACの舞台芸術公園は、日本平の中腹にあります。そこにはお茶畑もありますが、自然も残っていて原生林もあります。その舞台芸術公園周辺を“かちかち山”にみなして、麓をおじいさん、おばあさんの農家とみなして、化けた狸やウサギ、そしておばあさんが茶畑、お寺、柿の果樹園、野菜畑に出没します。観客はかちかち山から降りて狸たちがいる寺や畑に行き、彼らの動向(演技)を探りに行くという演劇です。

麓に降り、散策し、また登るという2時間の行程はちょっとしたハイキングで、要所要所で狸たちに出くわします。
そして何故、狸が捕まったのか、狸はおばあさんを騙し、婆汁にしたことは罪なのか、を、狸の立場、ウサギの立場、おばあさんの立場から検証する=彼らの言い分を聞くというのが骨子です。

狸は、騙したことも悪戯もそして捕まって食べられてしまうことも、それは生きているからこそと、飄々と言い放ちます。妙に説得力があります。
ウサギも我が道を行くと言いながら、自然の獣たちと人間との折り合いの付け方に一家言ある様子です。
おばあさんも騙されたこと、食べられてしまったことに怒りも悲しみもあまりなく、節理だから仕方なしという立場です。

そして最後に狸たちは音楽のパフォーマンスでもてなします。スタッフも、昔話を想わせる“粟餅”や“豆ごはん”“狸ではない鳥汁”でもてなしてくれます。
大人も楽しめる、運動が入ったお伽話の世界を演出してくれました。

【いもたつLife】

日時:2024年04月30日 09:47