いもたつLife
【四月大歌舞伎】
一、於染久松色読販(おそめひさまつうきなのよみうり)
二、神田祭(かんだまつり)
三、四季(しき)
二作続けて、片岡仁左衛門、坂東玉三郎が出演するという豪華さで満員でした。
於染久松色読販での悪夫婦は憎み切れない悪玉で息もピッタリ、引き立て合うご両人です。物語も面白く、二人に焦点を当てながらも劇としての見応えもありです。
人気の演目だけあり、よく出来た話です。
次の神田祭は祭で出会った鳶の頭と芸者です。二人が出ずっぱりで踊りと仕草で付かず離れずからの愛情表現をします。とてもよくできたサイレント映画の演技のように二人の気持ちと、鳶と芸者という人物を言葉がない方が伝わってくるという演技に歓心します。
それでもって江戸の祭りの雰囲気があります。
ラストの二人の仲睦ましさに拍手が鳴りやまないほどでした。
四季は春夏秋冬の4つの舞踊です。
春はお雛様とお内裏様と五人囃子が踊り出します。おもちゃのチャチャチャのようですがとても艶やかです。
夏は大文字の送り火を背景の舞踊で、秋は夫を想う妻の踊り、冬は木枯らしが吹き木の葉が舞う中でのみみずくと木の葉たちの踊りです。
どれも日本の四季の風情が醸し出されています。
若手歌舞伎俳優勢ぞろいで、こちらも豪華でした。
【いもたつLife】
シネマ歌舞伎 刀剣乱舞 月刀剣縁桐
室町時代の終わりに未来から歴史を変える悪者が来ます、それを追って食い止めるのが刀剣男子です。
SFものですが、内容は全くの歌舞伎で、物語は解りやすく、アクションも多く、また若手歌舞伎俳優がこぞって出演していて、見どころも多かったです。面白かったです。
【いもたつLife】
【柳家喬太郎 独演会】グランシップ寄席
地元、島田市出身の二つ目柳家小太郎さんの「道具や」からはじまりました。リニアモーターカーの枕も面白かったです。仲入り後の柳家喬志郎さんも牧之原市出身でやはり枕は地元ネタ、演目も「その名はおてふ」次郎長の噺でした。
喬太郎師匠は仲入り前が「禁酒番屋」、最後は新作の「銭湯の節」でした。
かなり好きな喬太郎師匠の大好きな「禁酒番屋」そして浪曲を大題材にした「銭湯の節」を堪能しました。
ますます腕が上がっていることも感じました。
【いもたつLife】
【SPAC演劇】ばらの騎士 宮城總・寺内亜矢子:演出
改めて観劇して、登場人物たちの嫌らしさ、強かさを苦笑いです。と言うよりも笑えませんでした。
人間というのは、ほとほと自分が可愛いのです。そして楽して大きな果実を求めるもの、まさしく自分そのものを見せられてしまいました。
野生の肉食獣は、獲物にありつくまで、じっと隠れて忍耐強くチャンスを待って待って仕留めます。それも紙一重です。大きな果実を得るために努力しないで楽しようなんて考えません。
獲物にされてしまう草食動物も命がけで生きています常に。
生きるためにギリギリでいないから、楽して贅沢を夢見てしまうのですが、どこまで行ってもそれは幻想です。
そして今現在上手くいっているとしてもそれは過去の結果です。
年は取るし、当然自分は変わります。世の中も変わります。今現在と同じなんて続くわけはありません。でもそれにさえ胡坐をすぐかくのが人です。
劇でのラスト、覚悟を決めた元帥夫人の姿は目に焼き付けておかなければなりません。そして夫人に諭されたオクタヴィアンとゾフィーは目を覚ますでしょうか?
二人にとって、こんな機会は二度ありません。
これも私自身が忘れてしまう、実に大切な教訓でした。
【いもたつLife】
PERFECT DAYS 2023日/独 ヴィム・ヴェンダース
主人公の平山(役所浩司)にあまりにも共感します。そして、その日常は私が描こうとしているモノにとても近いです。
早朝、向かいの寺の掃き掃除の音で目覚めて、極めて几帳面に身なりを整えて仕事にいく平山、その仕事は誰もやりたがらない公共トイレの掃除です。それを一生懸命に磨く平山。
昼休みもいつも同じ、公園にいき木漏れ日を撮影、時に苗木があるとそれを持ち帰り大事に育てます。銭湯が開く時刻にいき一番風呂を浴び、昭和の頃から続く駅地下の一杯飲み屋で酒と食事も毎日のこと。帰宅すると寝るまで読書を楽しみます。もう一つ平山の趣味は古い曲を当時のカセットテープで楽しむことです。
休日は部屋の掃除と洗濯、映した写真の現像、古本屋で次に読む本を選び、歌が上手いママ(石川さゆり)の店の常連客で、いつもより少し贅沢な酒盛りをします。
淡々とした毎日ですが、時に波風が起こります。同僚(柄本時生)のイザコザに巻き込まれたり、トイレで幼児の迷子に出会ったり、同じくトイレで見知らぬ人と五目並べをしたり、そしてもっと大きなイザコザは、何年もあったことがない姪っ子ニコ(中野有紗)が家出してきて数日一緒に過ごすのです。(ここで彼の過去が垣間見れます、裕福な家庭で育ち、親と折り合いがつかなく、底辺に近い今の仕事と生活は、彼が望んだことだと)
平山は他人と程よい距離を置きます。でもその人柄の良さは滲み出ていますから、皆から好かれます。(先頭の番台や常連客、居酒屋の店主、古本屋の店主、歌が上手いママ、よく合うホームレス(田中泯)(言葉を交わさないが昼休みの公園のOLとも心が通じている)等々)
平山は損得ばかりを追いません。トイレ掃除もそこまでやるかという気持ちが込められています。充実した日常を過ごすことで充実を得ることに満足をしています。
けれどこれがいつまでも続くとも思っていません。でも続けることに精進します。
ほとんど無口な平山が、ニコの前では彼なりに饒舌になります。そしてニコを迎えに来た何年もあっていない妹(麻生祐未)に親の死が近いことを告げられると、合いにはいかないと頑なですが涙を流します。平山も聖人君主ではなく人の子なのです。
ごくごく限られた人だけと触れ合い、親族ともほぼ交信しない、けれど、これまで生きてきた情があります。この生き様にもすごく共感します。
物語はお伽話のようでもあります。それは映画で語りたいことを優先したからです。とても良い映画でした。
そして、カメラ、ロケーション、キャスティングに唸らされました。
【いもたつLife】
【猿若祭二月大歌舞伎】
*新版歌祭文 野崎村
*釣女
*籠釣瓶花街酔醒
世話物、狂言、世話物と名作の間に一息つくプログラムでした。
釣女は落語好きにはたまりません。大笑いと苦笑いです。
野崎村は余韻溢れる演出でした。お光の純真な心の清らかさには大きな代償があり、それが久松とお染に伝わるかは最後までわかりません。もちろん伝わってはいるのですが、そのお光の気持ちが適うかは別です。そして、久松、お染、お光、人の心はどうしようもない、その心のままでは不幸になるけれど、他の道はあり得ないのです。性というか定めです。
その人の性を業とすると、籠釣瓶花街酔醒の次郎左衛門は花魁の八つ橋に翻弄されたとはいえ業そのものに支配されてしまいました。それだけ八つ橋を想っていたし、これまでの人生すべてを八つ橋にかけて幸せを手にできる一歩手前での八つ橋からの仕打ちは、次郎左衛門にとって死を掛けるほどの仕打ちだった、そこにたまたま名刀“籠釣瓶”が次郎左衛門の下にあったからの悲劇です。もし籠鶴瓶がなかったら起きなかった悲劇であり、人には宿命があるのではないかと思わずにはいられません。
三演目ともに堪能しました。
【いもたつLife】
シネマ歌舞伎 唐茄子屋 不思議国之若旦那 演出:宮藤官九郎
てんぷくトリオを想い出しました。
それを芸達者の歌舞伎役者がやるものですから面白くない訳がありません。
落語「唐茄子屋政談」を基に、大門ならぬ小門をくぐると第二吉原に迷い込むというファンタジーが組み込まれ、「大工調べ」が味付けに入れられています。
テンポよく、舞台も添えに合わせて転換されます。面白かったです。
【いもたつLife】
【新国立劇場新春歌舞伎2024年】
*梶原平三誉石切 一幕 鶴ヶ岡八幡社頭の場
*芦屋道満大内鑑 一幕三場 -葛の葉-
*勢獅子門出初台 常磐津連中
国立劇場から新国立劇場に移っての新春歌舞伎で、舞台も含めてロビーや待合室も、国立劇所の歌舞伎(古典芸能)一色とはかなり趣きが違います。仕方ないことですが、新しい国立劇場はどんな仕様なのかということも頭をかすめました。
演目は、時代物、人情物、舞踊とどれも歌舞伎らしい3演目でした。
*梶原平三誉石切 一幕 鶴ヶ岡八幡社頭の場
格好良い景時が名刀を目利きし試す。その中に武士らしい振る舞い、人を思いやる心を偲ばせます。王道です。
*芦屋道満大内鑑 一幕三場 -葛の葉-
狐が人に化けるというよりも人になりきれない話です。落語や昔話にもよくでてくる様態です。
人と獣を比較して、人の情け深さを問うているように今回強く感じました。獣の人情といいますか、それを通して人としての生き方を考えます。
主演の梅枝さんの「早替り」や「曲書き」ももちろん見応えありでした。
*勢獅子門出初台 常磐津連中
お正月ならではの演目です。題名に“初台”もついています。これからの歌舞伎の担い手のお披露目も兼ねていました。
花道がないのは少し寂しいですが、初台(新国立劇場)でもまた観劇したいです。
【いもたつLife】
【未分類】
【spac演劇 バラの騎士 宮城總・寺内亜矢子演出】
【spac演劇 ばらの騎士 宮城總・寺内亜矢子演出】
名作オペラ「ばらの騎士」を一旦、オペラの魂の音楽を抜いて、そのテキスト部分を主にして演劇として再構成、そしてオペラとは違う音楽を、劇に合わせて付与したという、野心作です。アフタートークではそのあたりの演出家お二人の意気込みと、名作オペラの音楽部分を塗り替える作曲家としての苦悩とやりがいを作曲した根本卓也さんのお話を伺えました。
改めて、たくさんの意図が盛り込まれていたことを知り、千秋楽にチケットをとってあるので、もう一度観劇できることが、大変に楽しみになりました。
予想もできなかった意図とは離れて、劇の感想は、大好きな川島雄三監督の喜劇のようでした。
主人公たちが大真面目で人生を掛けた真剣勝負をしている最中、外野ではドタバタ喜劇です。「貸間あり」を彷彿させます。そのドタバタの最中の音楽もどことなく川島喜劇を連想されたから余計に川島監督の喜劇が思い浮かびました。
貴族の称号を金で買ったパンニナル、その金目当ての貴族オックス男爵の金目当て、女目当ての嫌らしさ、それを諫めるオクタヴィアンだって元帥夫人と不倫しているし、パンニナルの娘ゾフィーを愛するのもどうかと。また年上の元帥夫人は愛するオクタヴィアンを思いやりますし、パンニナルはゾフィーのためを思い、金で買った貴族の称号を確固たるものとするために婚約者としてオックス男爵を選びます。
あからさまな人の嫌らしさ、嫌らしいけれど愛する者のために湧き出る心、どちらも人間らしさが描かれます。これも川島喜劇に通じます。
四幕に分かれていて、一から三幕は舞台が変わる幕間にナビゲートがあります。ここでももちろん楽しませてくれてSPACらしいし、音楽もSPACでは初めての根本さんの音楽ですが、SPAC劇とマッチしていました。
楽しくて深い人間劇で、千秋楽はもっと汲み取りたいです。
【いもたつLife】
パウ・パトロール・ザ・マイティ・ムービー 2023米 カル・ブランカー
孫と映画鑑賞が長い休みの日課になることなんて、思っていなかった。自分の想像力のなさを痛感です。
それはさておき、新しい隊員が登場、それに加えてパウ・パトロールジュニアが出来てと、造り手も大変です。
そして今回はマイティパワーで新しい能力が加わりました。これを機に能力インフレにならないことが気になります。
映画は面白かったです。
【いもたつLife】