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いもたつLife

シネマ歌舞伎 唐茄子屋 不思議国之若旦那 演出:宮藤官九郎

てんぷくトリオを想い出しました。
それを芸達者の歌舞伎役者がやるものですから面白くない訳がありません。

落語「唐茄子屋政談」を基に、大門ならぬ小門をくぐると第二吉原に迷い込むというファンタジーが組み込まれ、「大工調べ」が味付けに入れられています。

テンポよく、舞台も添えに合わせて転換されます。面白かったです。

【いもたつLife】

日時:2024年01月28日 14:26

【新国立劇場新春歌舞伎2024年】

*梶原平三誉石切 一幕 鶴ヶ岡八幡社頭の場
*芦屋道満大内鑑 一幕三場 -葛の葉-
*勢獅子門出初台 常磐津連中

国立劇場から新国立劇場に移っての新春歌舞伎で、舞台も含めてロビーや待合室も、国立劇所の歌舞伎(古典芸能)一色とはかなり趣きが違います。仕方ないことですが、新しい国立劇場はどんな仕様なのかということも頭をかすめました。
演目は、時代物、人情物、舞踊とどれも歌舞伎らしい3演目でした。

*梶原平三誉石切 一幕 鶴ヶ岡八幡社頭の場
格好良い景時が名刀を目利きし試す。その中に武士らしい振る舞い、人を思いやる心を偲ばせます。王道です。

*芦屋道満大内鑑 一幕三場 -葛の葉-
狐が人に化けるというよりも人になりきれない話です。落語や昔話にもよくでてくる様態です。
人と獣を比較して、人の情け深さを問うているように今回強く感じました。獣の人情といいますか、それを通して人としての生き方を考えます。
主演の梅枝さんの「早替り」や「曲書き」ももちろん見応えありでした。

*勢獅子門出初台 常磐津連中
お正月ならではの演目です。題名に“初台”もついています。これからの歌舞伎の担い手のお披露目も兼ねていました。

花道がないのは少し寂しいですが、初台(新国立劇場)でもまた観劇したいです。

【いもたつLife】 【未分類】

日時:2024年01月14日 17:46

【spac演劇 バラの騎士 宮城總・寺内亜矢子演出】

【spac演劇 ばらの騎士 宮城總・寺内亜矢子演出】
名作オペラ「ばらの騎士」を一旦、オペラの魂の音楽を抜いて、そのテキスト部分を主にして演劇として再構成、そしてオペラとは違う音楽を、劇に合わせて付与したという、野心作です。アフタートークではそのあたりの演出家お二人の意気込みと、名作オペラの音楽部分を塗り替える作曲家としての苦悩とやりがいを作曲した根本卓也さんのお話を伺えました。
改めて、たくさんの意図が盛り込まれていたことを知り、千秋楽にチケットをとってあるので、もう一度観劇できることが、大変に楽しみになりました。

予想もできなかった意図とは離れて、劇の感想は、大好きな川島雄三監督の喜劇のようでした。
主人公たちが大真面目で人生を掛けた真剣勝負をしている最中、外野ではドタバタ喜劇です。「貸間あり」を彷彿させます。そのドタバタの最中の音楽もどことなく川島喜劇を連想されたから余計に川島監督の喜劇が思い浮かびました。

貴族の称号を金で買ったパンニナル、その金目当ての貴族オックス男爵の金目当て、女目当ての嫌らしさ、それを諫めるオクタヴィアンだって元帥夫人と不倫しているし、パンニナルの娘ゾフィーを愛するのもどうかと。また年上の元帥夫人は愛するオクタヴィアンを思いやりますし、パンニナルはゾフィーのためを思い、金で買った貴族の称号を確固たるものとするために婚約者としてオックス男爵を選びます。
あからさまな人の嫌らしさ、嫌らしいけれど愛する者のために湧き出る心、どちらも人間らしさが描かれます。これも川島喜劇に通じます。

四幕に分かれていて、一から三幕は舞台が変わる幕間にナビゲートがあります。ここでももちろん楽しませてくれてSPACらしいし、音楽もSPACでは初めての根本さんの音楽ですが、SPAC劇とマッチしていました。
楽しくて深い人間劇で、千秋楽はもっと汲み取りたいです。

【いもたつLife】

日時:2024年01月13日 17:43

パウ・パトロール・ザ・マイティ・ムービー 2023米 カル・ブランカー

孫と映画鑑賞が長い休みの日課になることなんて、思っていなかった。自分の想像力のなさを痛感です。

それはさておき、新しい隊員が登場、それに加えてパウ・パトロールジュニアが出来てと、造り手も大変です。
そして今回はマイティパワーで新しい能力が加わりました。これを機に能力インフレにならないことが気になります。
映画は面白かったです。

【いもたつLife】

日時:2024年01月12日 17:42

君たちはどう生きるか 2023日 宮崎駿

主人公の眞人が亡き母を探しにいきます。正確には継母を探しに行くことが母探しになったのですが、そして少女の頃の母に出会います。
亡き母は事故で死ぬのですが、少女の母にそれを回避するように懇願しますが、母は否定します。眞人は母を喪ったままで現実に戻ります。

眞人を通して自分の運命を変えるのは容易でない、世の中は非情だし無常だという匂いを感じます。また母が宿命の死を回避する道を選ぶと、眞人自体の存在がなくなるから、母は違う道を選んだのではなく、選べなかったのではないでしょうか。
結局、眞人は回りを変えることはできなかったけれど、生長したというベタな映画でもあります。

そういう理屈は置いておいて、50年前の子供の頃にみた「空飛ぶ幽霊船」でワクワクした、そんな気持ちを想い出した嬉しい映画でした。

【いもたつLife】

日時:2024年01月10日 17:40

【spac演劇】お艶の恋 石神夏希 演出

演劇でも映画でも楽しみの一つに、その演出家がどのように料理するかがあります。特に過去に何度も上演されている題材では観客はそれが楽しみで、でも演出家はそれはとても悩ましいことでしょう。

谷崎潤一郎の「お艶殺し」は、江戸時代が舞台、しかも冬です。お艶と新助の駆け落ちから、お艶の殺害へと至る話です。
これが今回は・・・。
舞台は熱帯雨林のとある島です。そこでお艶をはじめとした登場人物の魂たちが、「お艶殺し」を演じます。
その登場人物たちは、フラメンコを想わせる衣装と振付、そして何故か“蓄音機”が置かれていて、そこから流れる音楽は、この原作が執筆されたころの音源が再現されています。

演者はそんなごった煮のような中で、恋物語と悍ましい殺害の劇を演じます。
繰り返しますが舞台は熱帯雨林です。そしてその再現された(多分紙で出来ている)南国の林が素晴らしい舞台セットです。

目をつぶっていると、「お艶殺し」目を開けていると「spac演劇 お艶の恋」でした。

【いもたつLife】

日時:2023年12月11日 13:28

ほろ酔いばなし 酒の日本文化史 横田弘幸 著

古代から近代まで、日本酒がその時代のどんな存在だったか、嗜好品として、経済や税制に置いて、一話完結でリズムよく描かれています。そしてどんな品質だったかもです。
日本酒大好きな者として、とても興味深い内容で面白かったです。
想像していたよりもかなり早い段階で、かなり高品質な日本酒ができていたというのが印象的でした。
元々日本酒は日本文化の中でも重要なポジションにいるというのが自論で、伝統的に造られている日本酒を誇っていましたが、その考えも後押しされました。

【いもたつLife】

日時:2023年11月23日 12:39

ラブカは静かに弓を持つ 安壇美緒 著

この本を題材にした、著者の安壇さんを交えたチェロ演奏とトークのイベントに参加して、この本も手に取りました。
そのイベントでの横坂源さんのチェロ演奏が素晴らしく、読み進めていて、チェロ場面では音が響き、主人公の橘の心情、特に苦しむ展開では優しいチェロの音を聴いているようでした。
物語はスリルがあり、サスペンス要素もある、そして読みやすくて面白かったです。
大人の都合の社会的なテーマ、著作権をめぐる顛末に、映画や音楽を絡めて、また主人公の橘のトラウマからの脱却も織り交ぜてながらも、とても上手く纏めあげています。
孤独を決め込んでいた橘を通して、この世の中棄てたもんじゃないというのも共感が持てました。

【いもたつLife】

日時:2023年11月18日 14:44

【11月大歌舞伎】

【11月大歌舞伎】
【松浦の太鼓】
忠臣蔵のスピンオフで、面白い作品です。
吉良邸の隣に住まう大名の松浦は、一年経っても討ち入りが行われないことにイライラが募っています。討ち入り前夜の登場人物たちのその面持ちの劇です。

赤穂浪士の一人源吾と俳諧の師である其角との出会いのシリアス場から始まり、
其角を交えた松浦邸の句会に場を写し、ここでは素っ頓狂の松浦の喜劇になり、そこから討ち入りが成される場へと進みます。
源吾が残した句がキーになり、登場人物が配されていて話も進みます。喜劇基調でありながら、忠臣蔵の心を語っています。
仁左衛門さんのコミカルな大名ぶりは当然の見どころです。

【鎌倉三代記】
父、北条時政の命をとるか、夫三浦之介の命をとるか、時姫は逡巡するこれが良い。

男、戦士だけでなく、三浦之介の母と時姫という武家の女の気概と、戦国での庶民の心持も描かれています。

物語は今の生き方とはかなり異なる思想で展開されますが、それがまた歌舞伎らしい時代物になっています。

【顔見世季花姿繪】
歌舞伎舞踊三作品です。
華やかで女形が美しい「春調娘七種」、身体能力が見せ場の漁師二人の「三社祭」、物語としても面白い舞踊の「教草吉原雀」。
三者三様の舞台です。歌舞伎舞踊はとても好きな演目なので、堪能しました。

【いもたつLife】

日時:2023年11月17日 14:41

【11月大歌舞伎 マハーバーラタ戦記】

劇団SPACの「マハーバーラタ ナラ王の冒険」は大好きな演目で、おそらく10回は観劇しています。
そのSPAC総監督の宮城總さんが演出の歌舞伎を見逃す手はありません。今回は6年ぶりの再演です。

このマハーバラタ戦記は、物語はナラ王の冒険よりもスケールが大きく、天上界から下界まで、そして神々の思惑が人間界に伝わるかどうか、はたまた神々の使いたちの苦難の物語になっています。
三幕構成の舞台は回り舞台を駆使して一幕の中に七場の転換もあり、歌舞伎の舞台の突貫での変化の見せ所になっています。衣裳も華やかです。

宮城さんの演出はナラ王の冒険での演劇を踏まえていますが、同時に古典歌舞伎の良さも意図的に残されています。
スーパー歌舞伎のようなスペクタルなエンターテインメントではくくれない、私としては深さを感じるものでした。

演奏はSPACの俳優陣による打楽器のパートと、歌舞伎定番の浄瑠璃パートがありますがそこに違和感はありません。これも演出の上手さでしょう。

【いもたつLife】

日時:2023年11月16日 14:40