いもたつLife
「常識」の日本史 井沢元彦
古代日本史から始まり、明治維新まで、
歴史の真相を常識に沿って仮説を立てて説明してくれます。
人の営みは、いつでも特殊ではない。
そこから著者が追ってゆく歴史観は、腑に落ちることばかりです。
史料が満足にない状況で真実を見つけるのは、
あくまで、その場にいる自分だったらどうするか?
それは天下を動かす英雄も私たちも同じはずです。
また、日本人がもつ感覚は
歴史の積み重ねだということも説いてくれています。
16話に渡る、日本史の中の大事な出来事をあげています。
どれも興味深く、一気に読みみました。
【いもたつLife】
トリノエジプト展
エジプトがヨーロッパに近いことがよくわかります。
ミイラや神を崇拝する多くの展示物を観ると、
おのずと古代エジプトの死生観が伝わってきます。
生きることに必死な中、
生と死がつながっていることで生を実感していたのかと感じました。
死を向こう側へ、思考の外へ抑えてしまう。
忙しいという理由で考えないようにしている、
現代(日本)はそんな風潮があります。
古代エジプトでは、“生は与えられている”
という意識が強い人生だったことを実感しました。
【いもたつLife】
女流阿房列車 酒井順子
鉄道マニアと同じであって同じでない。
誰しも鉄道にはあこがれがあるのでしょう。
半分(多分)マニアの著者が描く現代の、
鉄道を絡めた旅の深さと楽しさと贅沢さをまとめた本です。
それは時間貧乏をあぶりだしてもいます。
その後には人生観を。
列車に乗っているということは誰しも同じ、
けれどその場で自分を確認しているか?
意味の無い旅に、意味をつけて行くこと、
そこが大事だと私に説いてくれます。
そのメッセージに共感です。
プチ生きる哲学があると感じた一冊でした。
【いもたつLife】
2010年8月の治作
夏野菜の酢の物
雪のような飾りは、酢のみぞれです。
「なるべく冷たいものを」という主人の気持ちが
こういう形に。もちろん器も凍らしてありました。
暑い日の一品目としてこれ以上ないですね。
カラスミご飯
治作の定番です。
ここのからすみは最高です。(なんと自家製です)
ご飯とも菊姫(今日は12by山廃純米です)とも合いますが、
ご飯に乗っているのでカラスミの旨みが活性しています。
お造り
アカイカ、コチ、ハモ、マグロ
アカイカ イカソーメンのように造ってあります。
甘~い身で、口の中に余韻がずっと残り、次が食べられません。
コチ 夏の白身の代表です。
箸でつまんだだけで、モチモチなのが解ります。
そして野趣的な旨さです。
ハモ 夏に一度は食べないと!
こちらはコチとは真反対、歯ざわりも甘さの性格も。
次に来るであろうハモ料理に期待を持たせます。
マグロ 口の中でとろけます。
けれど大トロではなく、赤身部分もとろけます。
いつも同じコメントです。酒が進む!
花穂の味噌焼き
こういうのがこういう所で出てくるから感動です。
手間が掛かっているのがわかります。
そして手間が料理の味に出ますが、
一番現れるのは店の姿勢です。
こういう料理はそれが如実にでます。
ハモの茶碗蒸し
なんといっても出汁のうまさです。
ハモの真骨頂はもしかしたら出汁かも。
オクラと芽ねぎが憎い色合いと味わいです。
八寸(酒肴)
ほしいも屋としては新サツマイモに目がむきます。
けれどこの料理は総合力です。
夏から秋へを現しています。
枝豆、ナス・三つ葉・インゲンの和え物、岩ガキのチリ酢
海ツボ、新サツマイモ、石川小芋
石川小芋は2種類の味わいを用意しています。
ひとつはそのままの味わいで、
もう一つが、浜納豆の射込み。
これに感動!
どれも手が込んでいるのですが、
素材をメインにしている一貫性があります。
そして、ストレートな料理の間に
種類を楽しめる一品を準備する心が伝わる料理です。
マナガツオの西京漬け
味噌とお酒だからこそ、
旬のマナガツオだからこその味わいです。
素材の味を引き出す好例です。
ゴマ豆腐
定番中の定番です。
これを食べなきゃ帰れません。
繰り返しますが、素朴な料理に治作の想いを感じます。
甘鯛の道明寺蒸し
万願寺唐辛子、道明寺粉、シメジに甘鯛、くずあん、山葵のアクセント、
彩りも良いし、食感、香り、そして甘鯛とのマッチが楽しめます。
だいぶお腹が一杯だけどペロリと平らげてしまいました。
スッポン雑炊
ラッキーでした。
たまたま前のお客様のリクエストがあったので、
本日メニューにスッポン雑炊が加わりそのお相伴です。
まさかこの時季に食べられるとは。
今年は土用の丑の日のうなぎも無しだったので、
その代わりのご褒美みたいでした。
もちろん絶品の味。堪能、幸せでした。
白いんげん豆の冷やし汁粉、いちじく入り。
今日の料理を語っています。
暑い夏に冷えたものを、
だけど秋が近いし、秋を想わせる料理が並びました。
しっかりした甘みの汁粉、フレッシュなイチジク
(ワインに漬けたひと手間の仕事があります)
秋を想わせるイチジクが夏を表現してます。
二重の凝った演出もデザートにもありますが、
もっと凝った全体が今日の料理全般でした。
やっぱり治作はすごい!
(日本料理 治作 http://www.shizuoka-jisaku.jp/goaisatu.html)
【いもたつLife】
クライマーズ・ハイ 横山秀夫
新聞記者は私から見れば特殊な職です。
日航事件に至っては類まれな大事故です。
それが背景ですが・・・。
社内の愛憎、嫉妬、軋轢。
社員の年代によるこれまでの体験の差から来る、
仕事を経て得た誇りや生きがいや虚しさや空虚が、
社員間でぶつかり合います。
どの会社にも起こることです。
新聞社や大事故という特殊ケースの上だからこそ伝わります。
誰もが持っている自分への愛と自信の無さと他者からの承認に必要を
見事に描いています。
しかも仕事を通して社会的な大人の男(女も含めて)あぶりだすだけでなく、
理想とだんだん離れて行く家庭生活を交えて、社会とは別の
親子関係にも言及します。
表立ったテーマは「重い命と軽い命」
それに苦悩する人々は生きるために何が必要なのかが
わかっていない今の日本の人々です。
戦後最悪の事故を通じて、著者は最後に希望を掲げます。
それは今の日本が立ち直るのは大困難であることを踏まえて、
エールを送っている著者の姿です。
【いもたつLife】
有馬稲子さんトークショウ
あこがれの女優さんを身近に、
話を聞くことができる機会なんてあまりありませんから、
楽しみでした。
有馬さんの主演映画の後のトークショウですから、
自然に盛り上がります。
50年以上前の映画に封印された有馬さんと
ショウの有馬さん。
“本人であって本人でない”
羨ましかったです。
50年以上経った仕事がそういうふうに、
振り返ることができる、そんな仕事にして行きたいですね。
【いもたつLife】
避暑地
小淵沢にいたのですが、涼しい!
干し芋産地よりも、もっと過ごしやすかったです。
(ほしいも産地は海風が涼しい)
でもアスファルトが多いところは照り返しで暑いです。
日本の夏はエアコンなしではいられない風潮がありますが、
都会化が暑さを増長していることをここでも感じます。
とにかく、猛暑日でも畑では、(ほしいも用のサツマイモ畑)
日差しを遮れば(麦藁帽子などで)草取りくらいの農作業ができます。
(風があれば文句なしで)
今更ビルもアスファルトもなくせはしませんが、
このままで良いのかを考えてしまいます。
【いもたつLife】
円を創った男 渡辺房雄
明治維新は新しい国が興った象徴です。
興った後は、地固めがあって国家が続きます。
その第一歩に大隈重信という必要な人物がいました。
彼の4年間の功績を称える小説です。
「円」は世界に通用する通貨です。
その誕生には、当時日本が後進国であったことからはじまります。
初めての全国統一通過「円」は、他の外交問題を含めて考え考え尽くされて
誕生しました。
日本の将来を見据えて、名前から、形から、種類から、文様から、
そして国内での信用だけにとどまらない
国際通貨としての役割を果たせる「円」を目指しました。
誕生の経緯は、明治国家の国づくりの歴史と背景に重なります。
今、お金は通帳の数字に近く、クレジット決済や電子マネーが独り立ちしています。
これを重信はどう感じるでしょうか?
ひとつひとつの紙幣や硬貨に込められた創り手の想いは、
それらからは感じられません。
けれどそれは「円」が世界経済とともに成長した証です。
【いもたつLife】
小沢さんの講演
「映画X音楽」をテーマに、
私の映画の先生 小沢さんの講演です。
昭和30年代は印象深い映画音楽が目白押しであることから、
この年代の米・英映画から5本、
伊映画から3本、仏映画から2本の映画音楽からの映画解説でした。
映画と音楽をマッチさせたお手本の映画をはじめ、
クラッシック音楽映画の基本映画、
音楽を商業的に上手く使った映画は?
ツイストブームを作ってしまうほど、映画音楽は世界的に影響力がある。
従来のミュージカル映画の殻を破った映画、
アラン・ドロンの名シーンのためだけに作られた音楽、
小沢さんが大好きな映画の音楽、
見応え、聞き応え、解説良しの内容でした。
【いもたつLife】
植原甚一 WORKS2
ヒッチコックはじめ、
1950年代のアメリカで活躍した映画監督評です。
当時のスクリーンの記事を集めた本です。
リアルタイムの監督評や映画評が新鮮です。
私が一番よく観るあたりの映画が中心なのでなおさらです。
この頃の映画を鑑賞すると過去だ、と決め付けていたのが、
身近になったような気がするから不思議です。
今その場に監督たちがいる臨場感がありました。
映画を観るときに今まで以上の身近に感じるでしょう。
【いもたつLife】