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いもたつLife

陽気な幽霊 1945英 デヴィッド・リーン

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先妻の幽霊の話というと、落語「三年目」を連想します。
こちらは恥じらいの先妻ですが、
映画は陽気というより「居残り佐平次」のような確信的自分本位な幽霊です。
どちらもそれは生前のままなのですが。

先妻に今の妻、夫が振り回されます。
その様子の台詞回しが軽妙、リズムよく、しかも観客がその言葉足らずで、
ムズムズさせられ、監督の上手さを感じます。

あと、特撮もなかなか見事でした。

【いもたつLife】

日時:2009年12月28日 06:30

スウィングタイム 1936米 ジョージ・スティーブンス

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ミュージカルも含めて、今、こういう映画を
つくらないのか、つくれないのか?
フレッド・アステアとジンジャー・ロジャースの作品を観ると
それを考えます。

つくらない理由もわかります。
ミュージカルも含めて、こういう映画に風はありません。
だけど、この頃のこれらの映画には、
新鮮ですごいという感覚になる映画が少なくありません。

つくれないのか?
それはないでしょう。ただし、今市場がないとしたならば、
製作側が、本気で役者(できる役者がいないのならば別)を辛抱強く雇い、
役者が、製作側と試行錯誤するのが条件ですが。

でも、こんな良い前例はない。
と思うのは、
現代版のこの二人や
観客を楽しませることが、嬉しいほど伝わるミュージカルを
待望しているからなのでしょう。

【いもたつLife】

日時:2009年12月27日 09:16

きみに読む物語 2004米 ニック・カサヴェテス

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女が離れてゆくたびに男は成長します。
男は気がついています。
「二人はうまくゆかないから、うまくゆくために努力する」
「どんな努力でもできる」とまで言います。

人は手に入れることができないから、
ずっと変わることがない、なんてないから
がんばることができる。

大事なものをなくすことで、恋愛を通して
男(人)が成長することが (男の方が進めやすいからかな)、
切なくも強くなりながら描かれています。

背景やセット、風景も映画だからの
良さを感じさせてくれました。

【いもたつLife】

日時:2009年12月26日 07:17

隠し剣 鬼の爪 2004日 山田洋次

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完全な悪役の老中のおかげで、殻を破ることができた主人公。
人生の中で誰がどう自分とかかわるか、お互い影響しているのか
わからない。そんな事実を感じました。

主人公は、純粋がゆえ、自分を貫き通しました。
自己も家も藩も、馬鹿で頑な不器用、と言われようが。
だから、最後は変わったのではなく、
愛情表現を変えただけかもしれません。

ゆったりしたテンポながら、無駄がない流れで、
絵も綺麗だし、冨田勲さんの音楽も情景・心情とマッチしていました。

【いもたつLife】

日時:2009年12月25日 07:14

007カジノ・ロワイヤル 2006英 マーティン・キャンベル

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このシリーズをよく知っているわけではないですが、
かなりの危機感があって“生まれ変わった”印象を受けました。

危機があるということは、それだけ遺産がある裏返しです。
冒険ではありましたが、
ジャームズ・ボンドを変える大手術が、
この映画の他の多くの魅力を引き立て、
支持者を満足させ新しいファンも獲得したのではないでしょうか?

私も掛け値なしに楽しみました。
ジャームズ・ボンドにターミネーター的なテイストがあったことが
何よりの楽しさでしたね。
特に冒頭、どっちを応援したくなるかという、
ちょっとした裏切りを観客に思わせる所、ここで私ははまってしまいました。

【いもたつLife】

日時:2009年12月22日 07:34

三文役者 2000日 新藤兼人

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タイチャンは、
子供そのものの人だったことがわかります。
演技ができる偉大なる子供だったことでしょう。

表面だけをみると、うざったくて、付き合い切れない。
でも純粋だから、目を離せない。逆に、身近であればあるほど、
生きる勇気とか意味とか生きがいをもらっていたのでしょう。

希少な人であり、貴重な役者さんだったことがわかります。

劇中、乙羽信子さんのコメントと、懐かしい映像が観れます。
私のような(古い)映画好きには、嬉しい映画でした。

【いもたつLife】

日時:2009年12月21日 07:17

短くも美しく燃え 1967瑞 ボー・ヴィデルベルイ

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食べなければ生きられないように、
人は、人が生きてゆく中でできたシステムの中でしか
生きられないのでしょう。

この映画の不倫(と言うのかを考えてしまいますが)は、
不完全が前提でできた人々のシステムからはみだしたものでした。

実際に、食べられなくなることで最後を迎えるのですが、
それは、子孫を残す生物たちの生涯のような成就だったように
映りました。

二人で生きたことに、幸せを心から、これが魂の幸せと感じ、
生きてきた社会に不満を持つわけでもなく、
誰のせいにも何のせいにも、そんなことは二人にはまったく眼中に無く、
時が流れ最後になりました。

絵画のような映像の美しさに、
かぶせるよな音楽は、この映画を語っています。
こんな表現にもっともっと目が釘付けにされたいと思う、
感受性の無さにちょっと嫌な自分がいました。

【いもたつLife】

日時:2009年12月20日 12:43

浮き雲 1996芬 アキ・カウリスマキ

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大不況と言われる最近と同じような背景、
夫婦が失業してどうするか。という話なのですが、
不況・失業はその人の今までの、これからを、
わかりやすく表現する手段だったようです。

社会と離れては生きられないので
人は、社会が変わってしまうとその価値も変わってしまいがちです。
経済的にも、社会の中の地位も。
今まで生きてきたのは何だったのかを考えてしまいます。

何もなかった時の方は怖いものがなく、
身に付けると手放せなくなります。
築いたものに執着しないのは強さです。
いつも築けるという気概も強さです。
果たして今の自分は・・・?

余談です。夫婦の犬が登場するのですが、
親しい ほしいも 農家の犬にそっくりでした。
姿格好もそうなのですが、態度まで。
かわいい限りでした。

【いもたつLife】

日時:2009年12月19日 08:09

クリスマス・キャロル 1977英 モイラ・アームストロング

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強欲爺さんが、クリスマス・イヴの一晩の夢で、
見事に善人に変わってしまいます。
出来すぎですが、結果オーライで、
クリスマスに親子で観てほのぼのする定番映画という感じです。

ほんのちょっぴりの幸せが豊かに描かれているところが
とても良かったです。
セットも19世紀のイギリスらしさで
丁寧に造られていたようにも感じました。

【いもたつLife】

日時:2009年12月16日 07:12

悪夢のエレベーター 2009日 堀部圭亮

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前半のドタバタはおもしろく、
しかし、転換点前ではあきがきます。これはワザと観客に、
「このままではつまらない映画」であることを示唆させている位
タイミングよく次へ、本当のテーマへと舵を切ります。

転換点からもなかなか真のテーマは伝えてきませんが、
それがラストの、腑に落ちる、
「これもそうか」となるテーマになります。
現代社会の大きな病を考えさせられます。

随所のエピソードが本線に絡まれてゆく
王道もあり、語りすぎないラストは
大人として扱われた映画でした。

【いもたつLife】

日時:2009年12月15日 07:10