いもたつLife
空気人形 2009日 是枝裕和

2001年宇宙の旅を想わせるラストです。
都会の孤独、空虚、生きる意味などを感じたのは
もちろんですが、それらよりもっと深い深い意図を感じます。
誰も代用品ではない、代用品にはなりたくない。
人は経済を大きくしていって、生存の危機という
最も大きい恐怖から逃れ、日本では何不自由なく生きることが
出来るようになった。
しかし、個々の価値を落とし代用品をたくさん
生みだしたのでhないでしょうか?
主演のペ・ドゥナの演技、表情、仕草が素晴らしく
しかも美しいのが印象的でした。
心を持つこと、生きることの恐ろしさ、
仏教に通じものがありました。
そして、老いてゆく素晴らしさも表現されていました。
映像ひとつひとつに何が語られているのか?
それを観られずにはいられない映画でした。
【いもたつLife】
映画の仲間たちとの忘年会

観た映画の本数は1000本ではきかない人たち
との忘年会です。
8000本というつわものもいます。
私はといううと桁違いの本数しか観ていない、
ペーペーですから、
諸先輩の映画観にうなづくばかりでした。
映画=それにまつわること全ては、
世界の共通言語です。
話は終わりがないくらいに盛り上がりました。
【いもたつLife】
おしん 1984日 山本暎一

大人気のNHK連続ドラマのアニメ映画でした。
有名で人気があったこと、だいたいどんな話かは、
知っていましたが、
ただの苦労話ではないから人気があったことが伺えました。
おしんの奉公先のお嬢様が、
おしんの家が、食えないほどの貧乏が何故なのか不思議でなりません。
「米を作っているのになぜ米が食べられないのか」
稲作が始まって、支配が始まってから今でも連綿と続く、テーマです。
おしんと脱走兵とのふれあいも、
反戦から一歩踏み込んだ考えを感じます。
村社会や商業界が垣間見ることができたり、
環境問題をも考えさせられます。
もちろん、おしんの成長とその苦労がハイライトなのですが、
それだけではない多くのメッセージを受け取れる語でした。
【いもたつLife】
おくりびと

うわさどおり良い映画でした。
特に前半は。
仏様という響きは、こどもの時もっと耳にしていました。
大人になって耳に付かなくなったわけではないような気がします。
宗教にふれることが少ない日本で、
死生観から遠ざかって暮らしていたように思います。
納棺士という職業がクローズアップされたそうです。
そのこと自体は、「すぐまたこうだ」という感覚がありますが、
それに付随して、仏様の響きが身近になることは、
とても良いことのように感じます。
【いもたつLife】
女だけの都 1935仏 ジャック・フェデー

中世をコメディーで描いています。
上手く描かれている中世と、
中世の人々が現代の感覚に近いところの対比が面白い映画です。
今よりもっと女の立場が弱く、また、考え方も封建的な時代背景に、
現代の価値観(と言っても1935年の作品ですが)
で登場人物がでてくるギャップが良いです。
男女同権でなく、権力者の力が強く、自由が束縛されていた時代でも、
母娘の関係の普遍、男気をみせる者が登場したり、やっぱり臆病な多くの奴らがいること。
人間的な優しさを感じさせるコメディーでした。
【いもたつLife】
そして誰もいなくなった 1945米 ルネ・クレール

ほとんど記憶がないくらい前に原作を読んでいたので、
新鮮に鑑賞できました。
だけど、ラストは違っていたような。
もっと空虚で、本当に誰もいなくなっていたはず。
それはおいておいて、
世界観は味わえました。
特に、個になることを序々に恐れるのは、
原作を覚えていないので、それとはべつに、
うまく現されていたと思います。
この映画が良い悪いではなく、
原作を読み返したくなります。
単なるミステリー、サスペンスでなく、
筋が通った心理劇であることが、
原作を読み返してわかる予感がプンプンです。
ルネ・クレールがつくっても、
原作のプロモーションになるのかもしれません。
【いもたつLife】
郵便配達は二度ベルを鳴らす 1946米 テイ・ガーネット

性善説だと信じているから、
性悪説の顔が出ないようにする。
とても大事だと自らに言い聞かせています。
旦那を殺害した不倫の二人は、その両方の顔をみせます。
悪だけの人間だけでは、生きられないからです。
殺人者を弁護するわけではないし、
世におこるひどい事件に憤りを感じるし、
それに対して甘い刑の判決だと思うこともあります。
映画の中では、殺人を含めたひどい行為や考え感情を、
人間の観点から見れます。
二人は、犯罪によって死に急いだようです。
だから、性悪説の顔が出ないようにするってとても大事です。
それは何も殺人という、強調された行動だけでなく、
日常の生きたい道にゆく道しるべをつくるために。
【いもたつLife】
ハンコック 2008米 ピーター・バーグ

見方を変えて面白くなる映画は結構ありますが、
この映画はその典型、ただし、自分にとってだけかもしれませんが。
表面的なドタバタは好きにはなれませんが、
ハンコックがなぜドタバタをやるのか、
人が持ってはいけない能力、あこがれる力を持つとどうなるか。
周辺の人たちの心理も交えて、画面を見ながら、
キャストたちの無意識を探りました。
探るというより「なるほどなぁ~」という気楽な鑑賞でしたが。
でも面白い映画でした。
【いもたつLife】
十二人の怒れる男 1957米 シドニー・ルメット

なんて偉大な国なんでしょうか、あの頃のアメリカは。
12人の陪審員たちは、人間らしく落ち度も一杯ありますが、
誇りを感じています。それは時に怠惰や偏見を伴っていますが、
“それもあり”で人を裁くことの権利と義務を負っています。
自分の主張は生きてきたそのものが込められます。
もろにその人なりがでます。
人を裁くのは自分も裁かれる環境におくことなのかもしれません。
正義だけではなく命の尊さをも、密室の12人の主張だけで表現している
素晴らしい作品でした。
【いもたつLife】
愛のアルバム 1941米 ジョージ・スティーヴンス

終わりが来ることを見ようとしないで過すのは
人の性でしょうか。
後になってわかるけど、改めることはもうできません。
そんな日々は私の日常でもあります。
普段は何も起こらないから、終わりを考えません。
映画は希望を見せますが、
そんなことは案外少ないものです。
夫婦仲なんて良ければ良いほど最後はつらいのかもしれません。
でもこの考えは変です。
仲が良いほど最後まで笑っていられるのですから。
ストーリーの転回点で関東大震災(たぶん)が挿入されています。
そのころの日本の暮らしも少しですが描かれています。
この映画の製作時期は日米はかなりの緊張関係だったはずです。
日本の姿を当時映すことができるのは、
アメリカらしくもあり、当時のアメリカの余裕も感じるひとコマでした。
【いもたつLife】