いもたつLife
リア王 1970ソ グリゴーリ・コージンツェフ

舞台劇での表現を強調するために、
映像を加えた、だから映画になった。
そういう印象です。
力強い台詞は、役者の力量(役者もかなり厳選されたようです)
ですが、それを活かすための音楽と画があります。
シェークスピアの正当な映画化で、ソ連が国を挙げて製作されたことがわかります。
話は、個々で意見が分かれそうな内容ですが、
人が立場によって変わることは今も中世もかわりません。
また、王が地に落ちて、庶民を知る。というのも今と同じです。
自分を含めてですが、いかに正しいアウトプットをする仕組みを作るかは、
永遠の課題なのでしょう。
【いもたつLife】
すべての道はローマへ 1948仏 ジャン・ボワイエ

そばかす顔のジェラール・フィリップが主演の
コミカルなフランスコメディ映画です。
ハリウッドとは違う雰囲気が漂います。
ハリウッドが得意とするジャンル、アクションやミュージカルでも、
フランス映画では、それなりのエッセンスを感じますが、
この映画でもそれを感じます。
それにしても、こういうジェラール・フィリップは、
他の作品ではみれないのではないかというほど、
茶目っ気ありの、二枚目ではないことを魅力にする役でした。
「ビバ!マリア」とは違う全然違うフランスのコメディで、
これはこれで楽しめました。
【いもたつLife】
西部の男 1940米 ウィリアム・ワイラー

ゲイリー・クーパーのファンの女性は、
きっと仕草と表情をみているだけも満足してしまうことでしょう。
かっこいいですね。
それに対峙する悪役 ウォルタ・ブレナンも良い味をだしています。
こういう構図が物語の基本だと改めて思います。
セットかどうかはわかりませんが、
建物と使い込まれた家具、台所の様子、バーの再現なども、
見ているだけで映画ならではの楽しさを味わえます。
とうもろこし畑を背景とした、広大な西部の姿から、
当時の西部が蘇ります。
アメリカ人の記憶のどこかに、こういう感覚があるのでしょうか?
ちょうど田園風景が私たちに想わせるものがあるのとおなじように。
【いもたつLife】
個人生活 1974仏 ピエール・グラニエ・ドフェール

大物政治家と一流モデルのスキャンダルという、
大衆受けする設定です。
しかも、「仕事と私(愛)のどっちを選ぶ」
これも大衆受けする設定です。
という内容だけでは私的には興味をそそられませんが、
映画的に飽きさせません。
時間軸が、現在と回想シーンが織り交ぜられ、
二人の心の時間の流れを想わせます。
オープニングとラストシーンのリンクと
アラン・ドロンの表情も見逃せません。
音楽もこの映画のどこを狙っているのか?
と思わせるのですが、軽快ながら優雅で切ない感覚を覚えるのは、
二人のイメージに会う洒落た音楽です。
ジャンヌ・モローも大事を抑える役として出ていました。
存在感があります。
アラン・ドロンを主役にすることで粋になる。
当時の方程式だったのかもしれません。
【いもたつLife】
アンナ・カレニナ 1948英 ジュリアン・デュヴィヴィエ

愛するがゆえに、愛されたいけれど、愛する人の足かせになれない。
けれど、愛されているから身を引けない。
そんな胸の内がうまく表現されていたと思います。
そのあたりがヴィヴィアン・リーでしょう。
人としての生きる道や、母としての気持ちと
それとは別感覚の宗教や貴族の間の社会性を、
映画を見て気づくこともありました。
ただ、「不安」や「ダメ」と直感できる選択をしてはいけない。
ことを確認しながら鑑賞しました。醒めた映画の見方ですが。
【いもたつLife】
ニノチカ 1939米 エルンスト・ルビッチ

シーンを見せないで、断片の変化での語り方は心地よくなります。
(3つの帽子が掛け変わるところ)
観客のイメージはそれぞれ違うけれど、
一番自分に合った変化を思い浮かべて、次からの話に入ります。
「ガルボが笑う」は有名なキャッチですが、そのきっかけが、
相手役が自分が意図しないことから始まるのが、そのシーンが言いえています。
そのガルボの豹変ぶりも、他にも共産主義の建前と本質をつく流れも、
よどみなく、最初から最後まで楽しく見ていられます。
1939年の、西の雰囲気がよくあらわれているように感じます。
当時の人の意識とは正反対の、
すでに取り返しのつかない状況になっていることが、
実感できないでいることがこの映画に納まっているように思います。
【いもたつLife】
新平家物語 1955日 溝口健二

ぜいたくな作品です。
エキストラの迫力、着物や弓刀から調度品まで、手を尽くしています。
日本映画の黄金期と溝口健二の当時の存在感が伝わってきます。
公家と武家と寺の立場・力関係を、
監督が持っている京都の美学で描かれているのもわかります。
二人の女性像も興味深かったです。
公家から武家になれない清盛の母
公家から武家に変わることができる清盛の妻
時代の大きな変わり目にどう振舞えるか?
今また、同じように時代の変わり目です。
今生きる中で考えさせられるテーマでした。
市川雷蔵の力いっぱいの演技もよかったですね。
【いもたつLife】
全脳思考 神田昌典

10年前から振り返ると仕事のやり方が
大きく変化してることに気づきます。
これからの10年も変わってゆくのですが、
そのヒントや方向性を感じさせてくれる内容です。
とにかく、情報量が莫大になっている
現代ですから、自分がどうそれらと付き合うか。
正解を求めるよりも、
個として公として、
(生活の中心は仕事なので)
納得できる仕事のやり方を探ることは大事です。
新しいひとつとして実践する価値があることが
書かれていると思いました。
【いもたつLife】
沈まぬ太陽 2009日 若松節朗

この映画で描かれている国民航空は、
お客に社会に社員に何を与えているのだろう。
どこへ行こうとしているのだろう。
勝負に勝った負けたと、こだわるやつらは、
誰と何の勝負をしているのだろう。
人がつくりだしたのに、人からはなれた巨大な生き物、
そのひとつを日本人なら感じることができるテーマとともに語られています。
改めて自分が持つ価値感を疑う正常さを身につける大事さを思います。
【いもたつLife】
自由を我等に 1931仏 ルネ・クレール

お金はとっても大事だけど、自分にとって何番目くらいになるか?
お金をその観点で考えるのは、
この手の映画を見た時だけではありません。
割と日常でもふと考える事はあります。
とっても大事な存在ですが・・・。
で思考がいきづまることもあります。
この映画の主人公ルイも、
大金持ちになってずれた自分、に気が付きました。
金を手にすると自由を失うことにもなる例です。
だけど、金がないと自由になれません。
ルイは金を得て自由になる権利を手に入れて、
金を捨てて自由になりました。
そこが面白いですね。
資本主義の風刺を表現しながら、
(もう一人の主人公のエミールの恋を入れながら)
この時代に個人としてどう生きるか、
社会に従うのか。どう付き合うか。
興味は尽きないで鑑賞しました。
ルネ・クレールは多才です。
トーキー当初だけに、サイレントの雰囲気が漂い、
それと映像がマッチもしていました。
過渡期を垣間見る事も出来る作品です。
【いもたつLife】