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いもたつLife

痴人の愛 1935米 ジョン・クロムエル

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ベティ・デイビスの悪女ぶりは、目を覆いたくなるほどですから、
大した演技力です。

台詞を最小限に、主演二人の演技で多くを語っている手法、
同じく、フラッシュバックや回想シーン、写真を本人と重ねるなど、
うまくコンパクトに物語を伝えています。
サイレント時代の名残かとも思いました。

自分が一番可愛いのは誰しも同じです。
それだけだと誇りや意地や思いやることはゼロになります。
悪女を通して、人が何を持って生きてゆくかを、
人が他の人との間で生きることが宿命なのを、
語っていました。

【いもたつLife】

日時:2009年05月31日 07:13

父ありき 1942日 小津安二郎

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父子の半生が1時間半の中に、流れ去ります。
淡々と映像が流れました。
父子にとっていくつかの転機がありますが、
それより何もない日常の方がはるかに人生の中では長く、
生きてきた証はそっちにあるのです。
と言いたいがために、あくまでドラマが淡々と描かれていたように思います。

生きてきた証を分け合うことが出来るのは、
ほんの短い時間です。
これは現代でも全く同じです。
自分の私生活を振り返っても、時の流れは、この映画と同じです。

何気ない日常を封印して、ドラマを何気なく映しているのは、

生きる意味は大半の日常が業であり、
転機となるドラマを受け入れて、
時に訪れる、今までかかわりがあった少ないけれど身近な人たちと
ほんの僅かな時間を過ごせれば、
自分の生き様を確認でき、幸せを実感できる。

それを描くためであったように思います。

見送る親が生きているうちにこの作品に出会って良かったと痛感しています。

【いもたつLife】

日時:2009年05月30日 06:11

怪傑キャピタン 1961仏伊 アンドレ・ユヌベル

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ジャン・マレーの熱演が光るとっても面白い娯楽映画です。
スタントマンなしで、体当たりの演技です。
47歳にして、アクションスターに脱皮のジャンに脱帽です。
しかし、そんなところだけでこの映画は語れません。

エルザ・マルティネリは綺麗だし、
アンドレ・ブールビルが良い味を出しています。

アクションだけでなく、歌あり手品あり曲芸も錬金術もあり。
17世紀のフランスの再現も楽しめます。

あと一言。
貴族の話です。
貴族らしく熱く生きる者、
貴族の特権を最大限活かしてしまう者もいつの時代も
めずらしくありません。
でも後者は何故自分が貴族かを見失っています。
形、振る舞いが貴族でも。

これには大きなヒントがあります。
環境と自分の意識、ふたつで相乗効果をだすのですが、
最初にくる意識にもう少し焦点を与えてみようと思いました。

【いもたつLife】

日時:2009年05月29日 07:01

雨 1932米 ルイス・マイルストン

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たとえば今ここで、ある宗教を名指しで批判する勇気はありません。
人が生きる上で、精神的な支えは肉体を保つと同じだけ大事です。
だから宗教をはじめ、何かの心の支えを求めるのは自然です。

社会情勢が極度に不安になり、
全体主義が支持されてしまうのも同じ構図です。

断っておきますが、宗教が悪いとか、どうだとかは、私は興味ありません。
ただ、それが経済や権力や私利の欲望が絡んだ時は恐いと思っています。

この映画はそんな描写が赤裸々です。
中世的な価値観で描かれた宣教師と、それに対峙する女が、
見事に、正義・自由・権利・義務・支配・欲・・・等を
表現しています。
それらが力を持った個人の手の中で操られると本当に恐いです。
特に正義は大儀を持った暴力になります。

こんな感想もこの映画の一部です。

どろどろした男と女の立場や駆け引き、
男同士、女同士の立場や駆け引き、
これらも同時に表現されています。

南の島で今日を生きてゆく現地人の生き様があり、
その人達にも布教する姿、それはどういうことなのか?
そこがこの映画の集約点でした。

この映画のテーマは誰も感じているし語り尽くされているかもしれません。
しかし1932年から何が変わったでしょうか?

【いもたつLife】

日時:2009年05月28日 07:11

香港国際警察 2004香 ベニー・チェン

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とっても派手なシーンの連続と
まだまだ元気なジャッキー・チェン。

やたら非情な悪い奴らの集団に、
(なんかダイ・ハードを感じながら)
一度はコテンコテンにやられて、その後、
少々年老いたジャッキーを助けるジャッキーの後継者のような若者が登場し、
(なんかロッキーがかっていると感じながら)
悪い奴らをやっつけてめでたしと
シナリオどおりですが、楽しみました。

ジャッキー・チェンは凄い役者と、
観るたびに思わせ続ける稀有な人です。
確立したオリジナルがあるからです。
経営もそこを目指すしかないですね。

【いもたつLife】

日時:2009年05月27日 07:12

燃えよ ドラゴン 1973香/米 ロバート・クローズ

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神から選ばれた人間でしょうか?
ブルース・リーは。

後世にその精神を残し与えるのに、
生きた時間の長さは関係ないのでしょう。
時間は誰しも同じなのに、こういう人の生き方をみると、
同じではないのではと思ってしまいます。

ブルース・リーが生きたときを
リアルタイムで知るものとして、
今この映画をみて、もう一度彼が当時に何を残したかを
もっと深く感じる、考えることをしたくなりました。

【いもたつLife】

日時:2009年05月25日 06:00

亀は意外と速く泳ぐ

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無いものが憧れになります。
その憧れは意外に手のひらにあるものです。
そんなスタートでした。

平和ってものすごく素晴らしく貴重なのを、
今までにない切り口で演出していたように思います。
それを感じる世代に「ちょっと感じてくれればいいよ」的な説得です。

入れ込んでいないで、身を任せている脚本や仕草や演出は欲がなくまとまっています。
そこから、
時の流れの中で、この映画は一つの塊として残るのではないかと感じます。
名作とは違う、この一瞬の時代、監督の思想、演者と演技から、
この映画ができた背景を映す記念のような作品です。

【いもたつLife】

日時:2009年05月24日 10:48

小原孝さんライブ

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ほんの30名程のライブハウスで、小原さんのライブという
大変贅沢な夜でした。

5000曲もの詩を書いた安久悠さんの作品のアレンジ集を中心とした
ピアノ、弾き語り、フルートとの協演、
小原ファンにはたまらないひとときでした。

偉大な人を語ることができるのは、それなりの資格が必要です。
小原孝が阿久悠を語るからこそ伝わるものがある。
表現は音楽、歌、ことばですが、語られたの人の深さが感じられます。
表現者が、私では気づかなかった新たな魅力を、
引き出して、アレンジして示されます。

それにしても
こんな身近で、弾いている仕草や鼓動まで伝わる場に居られた、
貴重な時間でした。

【いもたつLife】

日時:2009年05月23日 07:10

梅干と日本刀(中)

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江戸時代の再考と真を、見ようという本です。
個人的に、この手の本が好きですから、
全編納得しながら、進みました。

戦後も明治以降も、私たちの先輩が行った業績は素晴らしいのはもちろんですが、
江戸まで、もっと言えば古代からの日本人を誇りにする意識は痛快です。
もちろん誰しもそれを持っているのでしょうけれど、
お人よしのせいか、戦後、欧米が優れている意識がちょっと強いのを
かなり前から気にしていました。

著者はこの考えを昭和50年に提唱しています。
当時とても先進的であったことでしょう。

家康の考えの推測から始まって、幕府の行政や、
江戸の風俗、農商工の知られざる実態、
宗教や食べ物に至るまで、多くの視点から語られているからこそ、
実感できる内容でした。

食いしん坊の私は食べ物の部分を特に興味深く読みましたが、
その部分が結構多いし重要だと思いました。
余談ですが、著者も食いしん坊なのでは。

【いもたつLife】

日時:2009年05月21日 06:57

銀の靴 1951英 ブルース・ハンバーストン

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イギリスではめずらしいミュージカル映画です。
こういう楽しいミュージカルは元気にさせてくれます。
主演のヴェラ・エレンはアメリカの女優です。
ストーリーもイギリスに渡ったミュージカル団の話です。

イギリスでおきたアメリカンドリームで、
イギリスでは実際起こりえるのかな?
これを通してイギリスの社会風刺を行っているようにも感じました。

映画は、ストーリーも粋で、はぎれも良くおもしろいです。
そして、何と言ってもヴェラ・エレンが良いです。
スタイルもダンスも最高に綺麗です。これだけでも一見の価値ありです。

1930年代から50年代にかけて全盛を極めたミュージカル映画は、
タイムカプセルに詰まった貴重な作品群だと、
こういう素敵な作品に合うと実感します。

【いもたつLife】

日時:2009年05月20日 06:49