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いもたつLife

グランシップ寄席~ニホンノコワイハナシ~

寄席の題名は【震える夏】
副題は「落語・講談・浪曲で」「日本の三大話芸で“怪談”をたっぷりと・・。」でした。

会場前から薄暗く、会場ももちろん暗く静かな音響と、怪談の雰囲気で始まりました。
寄席の枕で、浪曲師の玉川奈々福さんから、浪曲、講談、落語の似ている点、異なる点の説明があり、同じく奈々福さんと曲氏の広沢美舟さんの浪曲です。
中入り後、林家つる子さんの落語、神田阿久鯉さんの講談、トリは立川談笑さんの落語です。
わたしのお目当ては談笑師匠でしたが、つる子さんの「皿屋敷」も浪曲も、講談もお見事の芸でした。しかし、やはり談笑師匠でした。
主催者のグランシップ側から怖い噺をしてくださいとの要望があったそうで、落語の怪談話はどれも面白くて怖くないので、この寄席のために新作を作ってきたということです。ご自身もおっしゃっていましたが、私も落語で「震える夏」はどうするのだろうと、気にしていたので、「今日の噺は面白くありません」という談笑師匠の宣言の新作でした。所々笑いはありましたし、枕も含めてゾッとする雰囲気を醸し出す談笑師匠のプロ根性をたっぷりと味わいました。

【いもたつLife】

日時:2023年07月25日 14:47

ウィルスVSヒト 人類は見えない敵とどのように闘ってきたのか ジョン・S・トレゴニング 【著)

コロナ禍をきっかけにウィルスについて再確認のために読み始めましたが、ウィルスだけでなく、細菌感染、寄生虫等々についても詳しく、歴史を踏まえて網羅されています。

日本に住む私たちは、たまたまここ数十年はウィルス等の感染の脅威にさらされていなかったことがコロナ禍を体験したことにより身に染みる内容でした。

【いもたつLife】

日時:2023年07月24日 11:34

【spac演劇】Dancing Grandmothers~グランマを踊る~ アン・ウンミ演出

ふじのくに世界演劇祭の最終演目で、フィナーレにふさわしい作品でした。

3部構成のダンス演劇です。
1部は演出家のアン・ウンミさん自身と鍛え抜かれた男女ダンサー9人のグランドマザーを踊る劇です。
たどたどしい踊りから始まり、徐々に激しく、力強い踊りになっていきます。10人が舞台上で出入りするのですが、その度に衣装も変わっていきます。色々な解釈があるとは思いますが、私は、グランドマザーが段々と年若く人生を遡る様を演じているように見えました。
最後は子宮にかえっていくようです。

2部は韓国のグランドマザーが踊ります。それを映像で次から次へとみせてくれます。
職場で、商店の店内もあれば店外も、また畑仕事の途中や、港等々、家の中もあれば、老人ホームのような施設内もあります。観光地もあれば空港待合室もあります。
いろいろな場所、シチュエーションで踊るおばあさんたち、皆笑顔です。

3部は日本の年配の女性10名と劇団のメンバーとのコラボレーションで、グランドマザーを踊ります。
19人で、ペアで、ソロ等々でみせてくれます。
年配の女性たちはメンバーに促されていきどんどん活き活きしていきます。みていても楽しくなっていきます。

そしてラストは観客をも踊りに巻き込んでの大団円です。

2部と3部の間に字幕で「笑う門には福が来る」「踊る門には福が来る」が出ますが、まさにそれを実感する劇でした。

踊りがもつ素晴らしさ、それに触発された人の本能が露わになるとそれは幸せを無から作り出す力が発揮されます。それを強く感じました。
演劇祭の締めくくりにこれ以上の劇はないと思わずにはいられませんでした。

【いもたつLife】

日時:2023年05月13日 10:06

【spac演劇】天守物語 宮城聰演出

この演劇祭での二度目の観劇は、一度目よりも遠目です。上から見下ろす席でした。
役者の動きが仕草が俯瞰できて、二度目ということもありそれらをじっくりとみれます。

この劇、台詞で状況を把握するのですが、役者間の動きと位置関係でまた仕草でや役者の心情はもちろん、天守と天守下でなにが起きているかをしるします。
そのためにムーバーとスピーカーに別れているのが、今回よく解ります。

特に主役富姫の美加理の仕草と動きは素晴らしいです。
富姫の美しさと図書之介を愛してしまった後悔をしない心と姫としての凛々しさが伝ってきます。

(spacの)宮城さん演出の劇ではマハーバーラタが代表作と思っていましたが、それ以前に造られたこの天守物語も代表作であり、完成度の高い劇だと改めて実感しました。

【いもたつLife】

日時:2023年05月12日 10:04

【spac演劇】天守物語 宮城聰演出

10年以上前に「天守物語」を観劇していますが、その時との演出の違いは覚えていません。今回久しぶりに観てSPACらしい、宮城總さん演出らしい天守物語でした。

白鷺城の第五重は魔界の世界で、その富姫と、人間界の図書之介が恋に落ちます。
異世界のモノどうしが惹かれ合うのは宇宙戦艦ヤマト等のSFと同じです。制約があるがゆえにその恋が加速するのは、ロミオとジュリエットでもみられます。また差別を超えていく恋は招かれざる客等、枚挙に暇はありませんし、この映画は1967年ですからまだたった56年前に、この天守物語と同じ葛藤が身近に感じられていたということでもあります。

さて富姫と図書之介ですが、本人たちの気持ちがすぐに適う訳はありません。失明や命の危機にも陥ります。しかし大いなる力は二人を救います。
これは人間の歴史でもあると感じました。
人間社会は全くの未熟です。でもとても良い所もある。
争いは絶え間ないけれど、ほんの少しずつではあっても変わっているのも間違いではない、それは、大いなる力ともいえるのではないかと思いました。

それはさておき、魔界の世界の大騒ぎや大団円となるSPAC天守物語はこいのぼりの衣裳や獅子舞をはじめとし、美術、そして力強くもありしみじみとも響く音楽、観ていて楽しいです。また役者たちの動きも素晴らしい劇でした。

【いもたつLife】

日時:2023年05月10日 12:40

【spac演劇】XXLレオタードとアナスイの手鏡 チョン・インチョル演出

スクールカーストを扱っていますが、かなりコミカルでまるで問題なしとの雰囲気を醸し出していますが、かえってそれが問題の根深さを感じます。
この劇は2014年のセウォル号事件がきっかけで制作されたとのこと。事件は韓国に巣くう歪が露わになり、それらが劇中に盛り込まれているようです。
ですから、一見なにげなさの中に波乱がふくまれていると解釈しました。
また、舞台は三方が壁で被われていて観客席にだけ開かれています。舞台から楽屋に行けない構造です。閉鎖された空間はスクールカーストを産む土壌であり、ひいては韓国社会のかつてのありようなのでしょう。
その三方塞がれた舞台では観客席から登場した役者たちは劇中ずっと舞台上です。演技をしていない時でもそこにいるということは、直接の関係がない時も、他の役者に影響を与えている効果が出ると解説されていました。
確かに、人間関係というのは直接のやりとりでだけで関係が出来上がるわけではありません。それを強調している演出でした。
重たいテーマではありますが、とても見やすくてところどころ笑いが起こります。80年代のコミカルな日本映画を私は連想しました。

【いもたつLife】

日時:2023年05月09日 12:39

【spac演劇】ハムレット(どうしても!) オリヴィエ・ピィ演出

4人の俳優(とミュージシャン1人)があのハムレットを演じるのですが、要所要所分解して世界的な哲学者の解釈をいれて、ハムレット自体を考察する演劇です。

語りつくされたハムレットを、世界一有名な台詞「To be, or not to be, that is the question.」をはじめ数々のシーンや歴史を踏まえた前後の状況、登場人物の立場等で、シャイクスピアの真意に迫ります。
哲学的な考察ですが、劇はあくまでコミカルでユーモアに溢れています。

そのハムレットの分解を単なる議論の題材として料理しているだけでなく、演劇の素晴らしさにも言及しているのが、この劇の語り方でもあります。
人間の存在とはという大上段な問いを演劇賛歌に軟着陸させていました。

【いもたつLife】

日時:2023年05月08日 16:52

【spac演劇】アインシュタインの夢 モン・ジンフイ演出

アインシュタインが残した手紙とカフカの「田舎医者」を題材に、10人の男女が舞台上で踊りを交えた不条理劇です。
時間が止まったり空間が変化したりが表現されることがアインシュタインの夢足ることで、「田舎医者」が断片的に語られるのも夢の世界でもあります。
さて時間や空間がままならないこの世界に自分の身が置かれたらと問われているように感じます。そこには実は日常は変わらない、やはりこの世はままならないと言わんばかりです。
劇の最後10人の男女は、この空間にいる衣装を日常着に着替えて旅支度をします。
そうです、そこから抜け出すのも自分次第なのです。

物理学は哲学でもあります。この劇は抽象的に生き方を語っていました。

【いもたつLife】

日時:2023年05月07日 16:47

THE FIRST SLAM DUNK 井上雄彦

ところどころ実写ではないかと思えることに感動です。アニメだから人物の動きや造形を自由にできるからこそ、バスケットボール素人がみていると、実際のプロの試合よりも、バスケットボールって、こういうスポーツなんだと解るように造られているようです。

物語はスポーツものとして王道です。男臭くてシリアスで、時折のユーモアがそれをより味合わせてくれます。
観て良かったです。

追伸
4/6は「清明」です。二十四節気更新しました。
ご興味がある方は、干し芋のタツマのトップページからどうぞ。
干し芋のタツマ
二十四節気「清明」の直接ページはこちら
清明

【いもたつLife】

日時:2023年04月06日 11:14

【国立劇場 3月歌舞伎】入門 源氏の旗揚げ/一條大蔵譚/五 條 橋

「平家にあらずんば人にあらず」の頃から、牛若丸と弁慶が五条橋で出会い義経が「源氏の旗揚げ」をするまでの芝居です。
虎視眈々と源氏再興を狙う大蔵卿と常盤御前を描く前半から後半は牛若丸の艶やかで力強い舞です。
平家側は大蔵卿も常盤御前も疑っていて二人はそれを前提条件に耐え眈々と準備をする、その駆け引きは創作ではありますが、心をそそらせます。

歌舞伎では源平の時代物がおなじみですが、史実になぞっていることに加えて工夫をこらした脚本にしているから人気があるわけが解ります。
そして同じ演目でも、いつだれが出演し、どんな演出を凝らしたかという本歌取りの要素がまた良いです。しかし、まだそれを味わえるまではできませんが、そんな視点での鑑賞も面白いです。

【いもたつLife】

日時:2023年03月31日 15:09