いもたつLife
舞台恐怖症

真相はどうなっているのか?
鑑賞中ずっと考えさせられます。
最後のドンデン返しに賛否あるようですが、私としては、
充分サスペンスではないかと思います。
ストーリーから推理が多方面に展開されますが、それも楽しいです。
それよりも個人的に楽しいのは、娘と父の関係です
やりとりもよければ、ツーカーな関係も羨ましく、
また、察しがよく、実行力もユーモアもある父親は、
ある意味の理想型です。
世の親父が娘に相手にされないのは、
魅力を磨いていないで、「おやじだ!」と胡坐をかいているからだと、
しみじみわかります。
【いもたつLife】
怒りの葡萄

100年に一度の大不況という話があちこちから聞こえます。
その前回の大不況のアメリカ中西部の農家の悲惨さが描かれています。
資本主義というシステムがうまく機能できていないから
今も含めてこういう状況に陥るのでしょうか?
経済学で研究され尽くされているのでしょうが、
生き物のように、また、歴史が繰り返すように、
悲惨な状況が訪れます。
自然と調和して永く生きてきた先住民が
本当は現代人よりも生きる術が体にしみこんでいたのかも知れません。
【いもたつLife】
生きる歓び

「太陽がいっぱい」のアラン・ドロンとはうって変わった役柄です。
同じ監督で同じ年の製作で違う役柄が楽しめます。
1920年代のイタリアを背景としています。
ファシストとアナーキストを中心とした喜劇ですが、
20世紀前半の国家や個人の精神感が描かれていますから、
単に「わっはっは」という映画ではありません。
平和や自由を強力に前面に謳うのは、どこかずれているそんな気がします。
個人が優先するのは、安全であり、食べることであり、愛する人と一緒にいたいことです。
それと、むやみに人を傷つけたくないことです。
平和と自由を考えさせる要素を入れた喜劇でした。
アラン・ドロンが旗を掲げに高い塔へ登るワンシーンがあります。
シリアスな映像です。
アラン・ドロンはアクションもスタントマンを使わないという話を聞いたことがあります。
スリルがあるシーンです。もしかしたら見どころのひとつかもしれません。
【いもたつLife】
喝采

「裏窓」を観て以来、グレース・ケリーに首ったけです。
すぐに「ダイヤルMを廻せ」も観ました。
わずか10作品にしか出演していないグレース・ケリーの映画を、
全部観てしまうのが惜しいと思うくらいに、眩いグレースのファンになりました。
そして今回の「喝采」です。
ヒッチコック映画の彼女とは打って変わった演技に脱帽です。
王妃になって多くの民に尽くすのと同じ位に、
王妃にならなくてもスクリーンで多くの民に勇気・希望・憧れを与えてくれる
女優を魅せてくれました。
ストーリーも良かったです。(それが彼女の魅力を引き出したのかもしれません)
不幸を自分の弱さの虎の衣にする心は麻薬です。
それを何とかしたいけれど、本人には無理です。麻薬中毒と同じですから。
主人公を真実支えてくれるのは、この場合妻と、妻ほど主人公を理解していない友人です。
主人公が立ち直れたのは、自分がほんの少し、あとは二人の献身です。
しかし、自分のほんの少しが大きいのです。
支えてくれる人がいることは、とても幸運です。
でもその幸運は人生の中で誰しも平等に何回かは神に与えられているような気がします、
だから、自分のほんの少しは重要だと思います。
【いもたつLife】
美女ありき

ナポレオンが活躍(この映画では悪者)していた時代の英国の話です。
史実を再現してくれる映画は、想像しか出来なかった歴史を
文字通り目の当たりにしてくれます。
ストーリーだけでなく、当時の考え(精神)や習慣、文化文明の発達度合い、
風俗まで、諸々が映像になるので、とても多くの情報が入り込みます。
今回は英仏の対立でしたので、当時の世界情勢の雰囲気も出ていました。
主演のヴィヴィアン・リーの美しさと演技が注目されますが、私も同感です。
本人も素晴らしいのですが、物語のキーになる場面でヴィヴィアン・リーの演技を
引き出す舞台装置や背景がとても良く考えられていると思いました。
【いもたつLife】
駅馬車

序々に盛り上がり、観ていてどんどんゾクゾクします。
有名な疾走シーンでゾクゾクの最高潮と思いきや、
その後の決闘でもっとゾクゾクです。
次が観たいけど終わって欲しくない!
そんな衝動にかられます。
偶然めぐり合ったメンバーは最高のチームになってゆきます。
そのチームがジョン・ウェインを救います。そのラストがまた良い!!粋です。
名作とわかって見て、名作と歓心しました。
唯この映画の主役は、隠れメッセージは、弱いものの復権という感じが、
随所に感じられました。
そして、終了後のクレジットの一番はリンゴウ(ジョン・ウェイン)ではなく、
ダラスでした。
表面の派手さだけでは名作は生まれない。
そんな方程式を確認しました。
【いもたつLife】
羅生門

光と雨、森の中での「動」と証言の時の「静」
そして、過剰にも思える音響。
映画に浸れます。
人間はやっぱり身勝手です。が、
野獣にはなりきれない人間達が描かれます。
人が語る真実は、人のその時の状況や考えが
真実として語られることを納得しながら観ました。
これは人の持つ優しさからも非情さからも滲みでます。
自分の過去をふりかえり、人間らしさを考えました。
【いもたつLife】
欲望という名の電車

自分の意志で生きてゆくことは難題です。
二人の姉妹と親友の二人の男のうち姉(ヴィヴィアン・リー)だけは
そうじゃないことに気づいています。(すべてではないけれど)
しかし、どうしようもできないことに苛立ち、恐怖を感じ、安息を求めるために、
偽りの人生を送ります。
最後に妹が2階ではなく、3階へと駆け上がります。
彼女だけは、気づきと行動が変わるかもしれません。
重い映画でした。でも良い映画でした。
4人とも弱い人間でした。
弱いから流されそれに合わせ変わります。
それは人間の生きる力でもあります。
しかし、それが意志とは違うから悲しいことになります。
4人ともに熱演を感じました。特にヴィヴィアン・リーは凄かった!
哀愁しか知らなかったので驚きでした。
【いもたつLife】
君も出世ができる

ミュージカルとして、とても良い出来栄えだし、
コメディとして、楽しめました。
世界に伍するミュージカルを作るぞ。
という意気込みが伝わってきます。
内容は“時代が詰まって”います。
昭和30年代の終盤がくみとれます。
私の少年時代はアメリカに憧れる雰囲気がありました。
この映画もそれがうかがえます。
しかし、日本独自のものも捨てたもんじゃない!メッセージも、
この映画には含まれています。
そこがとても気に入りました。
【いもたつLife】
殺意の瞬間

中年男と別れた妻の忘れ形見の血のつながらない娘
微妙な関係です。
かわいくて(美しくて)、なついてくれたら、そして、
つくして(愛して)くれたら、本気になってしまうのでしょうか?
男は馬鹿です。ありえないことをありえると錯覚してしまう。
そんな展開ですが、ここまでは前座です。
わかれた妻の娘(今の妻)は、やってはいけない行動に動き始めます。
こんな非情な人間性は母(わかれた妻)によって作られたのでしょう。
まるでサイボーグです。凶器の心を身につけています。
しかし、人間らしさも残っています。
娘(ダニエル・ドロルム)がそれを表現する表情は見事です。
主人公、これがとてもかっこいい、ジャン・ギャバンも名演です。
望郷から約20年後のジャン・ギャバンを観ましたが、
名優と言われるのが頷けます。
このあたりのフランス映画をもっと堪能しようと思いました。
【いもたつLife】