いもたつLife
美女ありき
ナポレオンが活躍(この映画では悪者)していた時代の英国の話です。
史実を再現してくれる映画は、想像しか出来なかった歴史を
文字通り目の当たりにしてくれます。
ストーリーだけでなく、当時の考え(精神)や習慣、文化文明の発達度合い、
風俗まで、諸々が映像になるので、とても多くの情報が入り込みます。
今回は英仏の対立でしたので、当時の世界情勢の雰囲気も出ていました。
主演のヴィヴィアン・リーの美しさと演技が注目されますが、私も同感です。
本人も素晴らしいのですが、物語のキーになる場面でヴィヴィアン・リーの演技を
引き出す舞台装置や背景がとても良く考えられていると思いました。
【いもたつLife】
駅馬車
序々に盛り上がり、観ていてどんどんゾクゾクします。
有名な疾走シーンでゾクゾクの最高潮と思いきや、
その後の決闘でもっとゾクゾクです。
次が観たいけど終わって欲しくない!
そんな衝動にかられます。
偶然めぐり合ったメンバーは最高のチームになってゆきます。
そのチームがジョン・ウェインを救います。そのラストがまた良い!!粋です。
名作とわかって見て、名作と歓心しました。
唯この映画の主役は、隠れメッセージは、弱いものの復権という感じが、
随所に感じられました。
そして、終了後のクレジットの一番はリンゴウ(ジョン・ウェイン)ではなく、
ダラスでした。
表面の派手さだけでは名作は生まれない。
そんな方程式を確認しました。
【いもたつLife】
羅生門
光と雨、森の中での「動」と証言の時の「静」
そして、過剰にも思える音響。
映画に浸れます。
人間はやっぱり身勝手です。が、
野獣にはなりきれない人間達が描かれます。
人が語る真実は、人のその時の状況や考えが
真実として語られることを納得しながら観ました。
これは人の持つ優しさからも非情さからも滲みでます。
自分の過去をふりかえり、人間らしさを考えました。
【いもたつLife】
欲望という名の電車
自分の意志で生きてゆくことは難題です。
二人の姉妹と親友の二人の男のうち姉(ヴィヴィアン・リー)だけは
そうじゃないことに気づいています。(すべてではないけれど)
しかし、どうしようもできないことに苛立ち、恐怖を感じ、安息を求めるために、
偽りの人生を送ります。
最後に妹が2階ではなく、3階へと駆け上がります。
彼女だけは、気づきと行動が変わるかもしれません。
重い映画でした。でも良い映画でした。
4人とも弱い人間でした。
弱いから流されそれに合わせ変わります。
それは人間の生きる力でもあります。
しかし、それが意志とは違うから悲しいことになります。
4人ともに熱演を感じました。特にヴィヴィアン・リーは凄かった!
哀愁しか知らなかったので驚きでした。
【いもたつLife】
君も出世ができる
ミュージカルとして、とても良い出来栄えだし、
コメディとして、楽しめました。
世界に伍するミュージカルを作るぞ。
という意気込みが伝わってきます。
内容は“時代が詰まって”います。
昭和30年代の終盤がくみとれます。
私の少年時代はアメリカに憧れる雰囲気がありました。
この映画もそれがうかがえます。
しかし、日本独自のものも捨てたもんじゃない!メッセージも、
この映画には含まれています。
そこがとても気に入りました。
【いもたつLife】
殺意の瞬間
中年男と別れた妻の忘れ形見の血のつながらない娘
微妙な関係です。
かわいくて(美しくて)、なついてくれたら、そして、
つくして(愛して)くれたら、本気になってしまうのでしょうか?
男は馬鹿です。ありえないことをありえると錯覚してしまう。
そんな展開ですが、ここまでは前座です。
わかれた妻の娘(今の妻)は、やってはいけない行動に動き始めます。
こんな非情な人間性は母(わかれた妻)によって作られたのでしょう。
まるでサイボーグです。凶器の心を身につけています。
しかし、人間らしさも残っています。
娘(ダニエル・ドロルム)がそれを表現する表情は見事です。
主人公、これがとてもかっこいい、ジャン・ギャバンも名演です。
望郷から約20年後のジャン・ギャバンを観ましたが、
名優と言われるのが頷けます。
このあたりのフランス映画をもっと堪能しようと思いました。
【いもたつLife】
大学の若大将
国も生き物のようです。
若い日本が溢れていました。
今は老いていることがわかります。
時代の流れはそれを繰り返すのでしょう。
現代の方が生活水準は格段に豊かになっているのに。
この映画当時は今のような豊かさを求めていたのに。
この頃の方が希望があります。
生活レベルを下げて(戻して)暮らすことは出来ませんから、
今の方が過ごしやすいに決まっています。
結果がわかっているから懐かしく思うのかもしれません。
けれどこの勢いは羨ましいです。
大学が舞台ですが、私達年代の大学のイメージそして過ごし方は、
この時にすでに出来上がっていたのもわかりました。
この路線の上を何も考えずに、生きていたのもわかりました。
【いもたつLife】
ジャンケン娘
私より2世代位前のアイドル3人娘です。
3人それぞれの個性があり、人気があったのも頷けます。
3人とも同じ年というのも初めて知りましたし、
3人揃っているのをみるのも初めてでした。
小学校の頃、お気に入りのアイドルがいて、
日曜日になると出演するテレビ番組をくまなく探して見た覚えがあります。
この映画の時代は、まだテレビではなく、雑誌でしか身近に触れることが
なかったでしょうから、きっとこの映画はたくさんのファンの待望の元で
つくられたのでしょう。
3人の個性を引き出すミュージカル風の演出も良く、
ストーリーもそれなりに出来ていて楽しめました。
この時代に思春期を生きていたら、この中の誰を追っかけてたかな?
一世風靡しただけあって、3人とも可愛く魅力的でした。
【いもたつLife】
エノケンの頑張り戦術
シーンが切り替わると予想もしない設定が待っています。
“こう来たか!”思わず手を叩き笑ってしまいます。
最初から最後までテンポ良く、その中にストーリーを入れ込んであります。
笑って過ごせる映画なのですが、
エノケンが家族を思い、少々泣かせる場面もあります。
防弾チョッキのメーカーの社員という設定が、
いかにも1939年の映画という感じを強く受けました。
【いもたつLife】
肉体と悪魔
1926年の無声映画です。
主演のグレタ・ガルボは当時20歳か21歳ですが、
とても大人っぽいのに驚きます。
彼女の出世作だそうですが、すでに大女優の気品があります。
物語はガルボを絡めた、男の親友ふたりの友情と愛情が
描かれています。
フェリシタス(ガルボ)は二人の男を求めます。
男二人はフェリシタスに振り回されます。
大きく欠けているものがあるのですが、自分ではわからないのでしょう。
男のうちの一人には妹がいます。
フェリシタスが持つ美貌は持っていませんが、
フェリシタスに欠けているものを持っています。
そんなストーリーも面白いのですが、
見所はやはりグレタ・ガルボです。
姿、かっこう、仕草、せりふ、すべてにおいて男ならひきこまれます。
そして、場面場面で違った性格を現す表現力が素晴らしいです。
ガルボを含めた、キャスト陣の顔(特に目)の演技は、
サイレントならではでしょうか。
少ないせりふを充分に補っています。
【いもたつLife】