月別記事

ブログ 今日のいもたつ

銀幕倶楽部の落ちこぼれ

眼の壁 1958平 大庭秀雄

100403blog.jpg

東京から田舎へと展開してゆくところ、
登場人物の素性があきらかになってゆくところ、
松本清張らしく面白かったです。

佐田啓二の落ちついた二枚目ぶりは、
当時かなり人気があったことを容易に想像させてくれます。

新幹線がない時代の旅、出張がどういうものなのか、
松本清張とふれると、そこにも思いが馳せます。
同じく通信手段も。

日本はがむしゃらに走ってきて、
今は大不況と言われますが、それでもまだ、
走り続けているような気がします。
直近30年くらいの自分の人生を思い返すと、
その流れに自分の生きてきた時間が重なります。

【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】

日時:2010年04月03日 07:09

からっ風野郎 1960日 増村保造

100402blog.jpg
弱いくせに粋がって、社会を斜に見て、
負けるのがわかってリングに上がっているボクサーのように、
生きている主人公=三島由紀夫、
なにか自分と重なります。

サルのおもちゃを主人公に見立てますが、
それも自分と重なります。

弱いけど懸命に生きて、悪だけど根っからではないから、
分不相応な妻に見初められるのも、
自分と重なります。

素直になった直後に死が訪れました。
死に際のことを考えさせられました。

【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】

日時:2010年04月02日 07:28

或る殺人 1959米 オットー・プレミンジャー

100401blog.jpg

人が人を裁くことには、矛盾があるのですから、
立場によりその結果は変わります。
今までもこれからも、裁判は人が裁くのですから変わりません。

この映画も、裁くことについて描かれていますが、
ただあまりにも不可解なことが多いストーリー進行でした。

その代わりと言ってはですが、
法廷闘争=検事と弁護人の二人の力が入ったシーンは、
とても良く、これ自体が後半のほとんどですから、
ストーリーは別にしても、引き込まれます。

疑惑を両者の言い分で推測し、有罪か無罪を決めるわけですから、
当事者以外は、(当事者を含む時もある)ことの真意はわからずに、
決めなければなりません。
その点では、不可解なまま裁判が進むのは、
映画的ではなく現実的だったとも言えます。
ただ、そこを狙ったようには思えませんでしたが。

【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】

日時:2010年04月01日 07:15

一番美しく 1944日 黒澤明

100331blog.jpg

戦時中の国策映画です。
「女子挺身隊」の工場の様を描いています。
どうしても美化されていると感じますし、
それが故の国策映画でしょう。

今この映画を観て、太平洋戦争のことを、
ああだ、こうだ。言うのは傍観者で、
戦時中のリアルタイムでこの映画がどうとらえられたのか。
きっと人それぞれでしょう。

登場する人たちと同じ気持ちの方も、また、
醒めてみた方もいることでしょう。

当時、映画の与える力は今とは比べ物にはならいことも
わかります。

今は映画ではなく、何で、同じことを、同じ影響を受けているのか?
ちょっと不謹慎にもそんなことも考えながらの鑑賞でした。

【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】

日時:2010年03月31日 07:15

ずっとあなたを愛してる 2008仏 フィリップ・クローデル

100330blog.jpg

「最善」という言葉の意味を深く考えてしまいます。

息子の殺害の代償として、
主人公は己の一生に十字架を架しました。
主人公は最善の選択をしたのは間違いがないではないか、
でも何かが違います。

この映画はそれを語ります。

それは人が本能だけで生きていないから、
そして本能も働いているから、
ではないでしょうか。

許されることではないことをしてしまった主人公ですが、
高貴な生き方をしています。

その主人公が服役してもう一度人として生き直す、
それを肉親、新しい家族や新たな友とともに
丁寧に描かれているとても良い作品でした。

【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】

日時:2010年03月30日 09:00

祇園囃子 1953日 溝口健二

100328blog.jpg

溝口監督の映画には魔力があるかのように、
画面に釘付けになってしまいます。
本作も例外なく。

安定した絵の中に、
演者がまさに役そのものに生きていて、
カメラに余韻が残り、次の展開まで、心が探ります。
その繰り返しです。

この物語では、祇園を舞台に芸者を通して、
人の世の慣わしと、人の本分、
肉親との関係(ここでは一番近い父親との理不尽な関係)
より以上になる他人との関係などが描かれています。

それらのテーマにも引き込まれますが、
テーマが何であれ、釘付けになる魅力を、
今回は鑑賞中感じました。

当時の若尾文子さんの映画は何本か観ていますが、
木暮美千代さんとともに、
この作品の演技がピカイチに感じました。

【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】

日時:2010年03月28日 09:41

ミスティック・リバー 2003米 クリント・イーストウッド

100327blog.jpg

人の原罪、生きることのやるせなさ
を感じずにはいられません。
それと、時が流れてしまうこと、
それは年を重ねて自己を肯定する論理を身につけてしまうこと
のようにも思えます。

生きること、家族や友人、知人と一緒に、
社会で生きるしかない人は他の生き物とは違う、
生きる怖さと同居しています。

クリント・イーストウッド監督は、
独特の観客を魅了する間合い・流れでそれを作ります。
かつて小津安二郎監督がそれをしたと同じように感じます。

【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】

日時:2010年03月27日 00:51

ワイルドタウン 2004米 ケビン・ブレイ

100326blog.jpg

ちょっと展開が安直な感じですが、
あの街の状況で司法だけは機能しているのは、
アメリカの美ですね。

展開が早いのであまり細かいことに
気をとられません。
ストレートにアクション映画として
撮られたという印象です。

【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】

日時:2010年03月26日 07:57

ダイハード4 2007米 レン・ワイズマン

100325blog.jpg

面白くないとは言いませんが、
頭がクラクラしてきてしまいました。
途中、どっかでこの映画みたことあると
感じていたのですが、ランボーでした。

まだ物が壊れるのかなぁ~、
とドキドキしてしまいます。

ただ、戦闘機ってあんなに小回りができるとは、
発見でした。

【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】

日時:2010年03月25日 06:12

シャーロック・ホームズ 2009英 ガイ・リッチー

100324blog.jpg

19世紀末のロンドンはあんな状況だったこと。
映画の魅力のひとつです。
古い映画はその古さからリアルに、
現代の映画は、その時代考証とお金で実現させてくれます。
(古い映画で時代考証されているものもあります)

物語は、007かミッション・イン・ポッシブルかという感じ。
推理ももちろんありますが。
新しいホームズ像とシリーズ化が前提で作られているようです。

ここのところ最近の派手な映画を数本観たら、
変な疲れ方をします。
おもしろいのですが。

時の流れとともに映画も多様化していますね。

【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】

日時:2010年03月24日 08:01