銀幕倶楽部の落ちこぼれ
レンブラント 描かれた人生 1936英 アレクサンダー・コルダ
自分の絵は、世界に影響をするとわかっていないはずですが、
そんな予感があったとしか説明のしようがありません。
それほど、絵に執着しています。
だけど、寂しくて、人恋しくて。
この脚本はどこまでが真実に近いかは誰もわかりませんが、
レンブラントの人となりを感じます。
時間が経って、本当の姿が(タイムマシンなどで)わかるまで、
作品から探るこの人となりは、確立されたひとつの描き方とつながります。
この映画が良い出来だと感じる点はまだあります。
成功するしないは別として、人生を登るときの圧倒さではなく、
下り坂からスタートしたこの映画は、
誰もが迷う人生の後半を先取りして示してくれています。特に内面を。
この映画に影響されて、偉大な画家の映画が造られたのもわかります。
当時の社会とそのかかわりを丁寧にみせてくれています。
「モンパルナスの灯」もそういえば、社会とのかかわりに
重きをおいていたことを思い出しました。
古い映画をさぐると、その原点に触れる偶然があります。
それもすばらしい出会いです。
【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】
海の沈黙 2004仏/白 ピエール・ブートロン
人は誰も誇りを持っています。
その尊厳を認めること。
仇敵の間でそれを認め合います。
物語には何もない抵抗があります。
大きな逆らえない中にいる将校(ただ立場は占領しているだけ)は、
あなた達を精一杯愛します。を続けます。
自分ができる範囲でしかないことを、わかり、悔やみながら。
心の琴線に“訴えかけてくれる”作品でした。
ラストに花を置くシーンがありました。
上手く行かないことを、力で、順序を追わず、
やってはいけない象徴なのですが、
これは、やってはいけないことを、
乗り越えて、やったのでしょう。
確信はないですが、
個人的には、ジャンヌが将校の意図をわかったことを
信じるしかありません。
けれど確信を持ちます。
どんな状況になろうとも、
「ゆるぎなさ」を将校とジャンヌが得たことを。
沈黙や静とは。
その強さや意味を語れることをできれば、
彼らは、生きてゆく意義をつかめたのではないでしょうか?
とても意義ある時間=こういうことを考える時間を
を過しました。
【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】
スパイダーマン 2002米 サム・ライミ
安心するために観る映画に映りました。
物語の展開が、「やっぱりこうでなくちゃ」という感じですね。
西部劇 水戸黄門説 を自論としているのですが、
これもその路線かな。
だから映画がどうのこうのというよりも
観たい人がみて楽しめたのかというのがポイントだし、
そこがどうかなって気になっていました。
【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】
ベニスに死す 1971伊・仏 ルキノ・ヴィスコンティ
映像でほとんどを語る映画です。
表情、動き、構図、景色、そして音楽。
「美」や「醜さ」や人の「苦」は何かを考える意図も
あるのでしょうけれど、
この映像を観てただただ感じるだけで良いような感覚で観ていました。
ついつい、意図を考えがちなのですが、
ただただ、鑑賞するそんな映画でした。
でもそこには、むなしさやはかなさを強く感じる内容です。
この物語の設定は奇異かもしれませんが、
時代やその社会や風習が違うだけです。
人が生きることは苦であることを前提にすると、
楽しめることは多いものです。
【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】
にっぽん泥棒物語 1965日 山本薩夫
これはおもしろい!
コミカルな展開から
シリアスでかつコメディな法廷劇に展開します。
前半から中盤にかけての楽しさと人情あふれる感じが、
松川事件を扱う重たい風刺を再現しながらも、
法廷につなげています。
一風変わった裁判シーンは、涙あり、笑いあり、
日本の犯罪の負の表現ありと、
今までの裁判シーンとは違った感動となりました。
新年早々ながら、
今年のベスト3には入るのではないかという位の作品でした。
ちなみに、山本監督は1961に松川事件の映画も撮っています。
こっちも是非観なくては。
【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】
天国への階段 1946英 マイケル・パウエル
これまでの体験や知識や価値観が試される映画は少なくありません。
この映画もその部類です。
極限まで至った大戦の背景がトリガーとなって、
これまでの価値観と死生観が描かれます。
その表現の仕方が、
天国を設定するというのがこの映画のポイントでした。
国を超えた大きな観点と、
二人の個の愛の視点を持っているのも、よくできています。
ファンタジーの印象もありますが、
深く考えてしまう台詞が多かったです。
【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】