2010年03月
一番美しく 1944日 黒澤明
戦時中の国策映画です。
「女子挺身隊」の工場の様を描いています。
どうしても美化されていると感じますし、
それが故の国策映画でしょう。
今この映画を観て、太平洋戦争のことを、
ああだ、こうだ。言うのは傍観者で、
戦時中のリアルタイムでこの映画がどうとらえられたのか。
きっと人それぞれでしょう。
登場する人たちと同じ気持ちの方も、また、
醒めてみた方もいることでしょう。
当時、映画の与える力は今とは比べ物にはならいことも
わかります。
今は映画ではなく、何で、同じことを、同じ影響を受けているのか?
ちょっと不謹慎にもそんなことも考えながらの鑑賞でした。
【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】
ずっとあなたを愛してる 2008仏 フィリップ・クローデル
「最善」という言葉の意味を深く考えてしまいます。
息子の殺害の代償として、
主人公は己の一生に十字架を架しました。
主人公は最善の選択をしたのは間違いがないではないか、
でも何かが違います。
この映画はそれを語ります。
それは人が本能だけで生きていないから、
そして本能も働いているから、
ではないでしょうか。
許されることではないことをしてしまった主人公ですが、
高貴な生き方をしています。
その主人公が服役してもう一度人として生き直す、
それを肉親、新しい家族や新たな友とともに
丁寧に描かれているとても良い作品でした。
【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】
信心はないけれど
ここが、どれだけ由緒正しいかを今回知りました。
長野市の善光寺に観光で行ってきました。
欧米の映画を見ると、キリスト教とは切り離せられない、
ストーリーやシーンはよくあります。
日本の信仰心との違いを感じます。
何かに手を合わせるという行為は、尊いこと。
ということをあまりにも考えないで長く生きすぎたかな。
と反省します。
こういう場所に多くの人たちが集うから、
実際に自分も来たからまだ良いのでしょうけれど、
もう一歩踏み込んで、なぜ善光寺に来ているのかを、
もう少し重く感じたいとも思いました。
【いもたつLife】
祇園囃子 1953日 溝口健二
溝口監督の映画には魔力があるかのように、
画面に釘付けになってしまいます。
本作も例外なく。
安定した絵の中に、
演者がまさに役そのものに生きていて、
カメラに余韻が残り、次の展開まで、心が探ります。
その繰り返しです。
この物語では、祇園を舞台に芸者を通して、
人の世の慣わしと、人の本分、
肉親との関係(ここでは一番近い父親との理不尽な関係)
より以上になる他人との関係などが描かれています。
それらのテーマにも引き込まれますが、
テーマが何であれ、釘付けになる魅力を、
今回は鑑賞中感じました。
当時の若尾文子さんの映画は何本か観ていますが、
木暮美千代さんとともに、
この作品の演技がピカイチに感じました。
【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】
ミスティック・リバー 2003米 クリント・イーストウッド
人の原罪、生きることのやるせなさ
を感じずにはいられません。
それと、時が流れてしまうこと、
それは年を重ねて自己を肯定する論理を身につけてしまうこと
のようにも思えます。
生きること、家族や友人、知人と一緒に、
社会で生きるしかない人は他の生き物とは違う、
生きる怖さと同居しています。
クリント・イーストウッド監督は、
独特の観客を魅了する間合い・流れでそれを作ります。
かつて小津安二郎監督がそれをしたと同じように感じます。
【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】
ワイルドタウン 2004米 ケビン・ブレイ
ちょっと展開が安直な感じですが、
あの街の状況で司法だけは機能しているのは、
アメリカの美ですね。
展開が早いのであまり細かいことに
気をとられません。
ストレートにアクション映画として
撮られたという印象です。
【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】
ダイハード4 2007米 レン・ワイズマン
面白くないとは言いませんが、
頭がクラクラしてきてしまいました。
途中、どっかでこの映画みたことあると
感じていたのですが、ランボーでした。
まだ物が壊れるのかなぁ~、
とドキドキしてしまいます。
ただ、戦闘機ってあんなに小回りができるとは、
発見でした。
【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】
シャーロック・ホームズ 2009英 ガイ・リッチー
19世紀末のロンドンはあんな状況だったこと。
映画の魅力のひとつです。
古い映画はその古さからリアルに、
現代の映画は、その時代考証とお金で実現させてくれます。
(古い映画で時代考証されているものもあります)
物語は、007かミッション・イン・ポッシブルかという感じ。
推理ももちろんありますが。
新しいホームズ像とシリーズ化が前提で作られているようです。
ここのところ最近の派手な映画を数本観たら、
変な疲れ方をします。
おもしろいのですが。
時の流れとともに映画も多様化していますね。
【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】
アバター 2009米 ジェームズ・キャメロン
とにかく見ておこう。ということで鑑賞しました。
これを作るのは大変だったろうな。が感想です。
今の技術はどこまでできるのだろうか?
見るものが追いつかないところで、
映像を留めているのか。
そんなこともチラッと感じます。
まぁ過渡期なのでしょう。
そして、これがあたりまえになるのかを、
注目したいですね。
ただどこまで言っても、
作品は精神です。あたりまえですが。
たくさんのジャンルがあって良いですし、
この映画は多くの人が観る内容でしょうから、
3D映画を普及させるのには、
こういう物語は良い選択だったと思います。
【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】
ウルヴァリン X-MEN ZERO 2009米 ギャビン・フッド
このシリーズのことは、
なにも知らないまま鑑賞です。
ミュータントものが好きなので、
そこは楽しめました。
それと映像が鮮やかですね。
昔のフランケンシュタイン等の映像とは、
リアル感が違います。が、観客というのはわがままで、
こういう映像に慣れると、凄いと思わないものです。
かえって、光と影の演出の昔の映像に新鮮さや
リアル感を感じてしまいます。
映像がここまできて、次に「アバター」が現れました。
ここからまた、進歩してゆくのでしょう。
【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】