2010年05月
地上より永遠に 1953米 フレッド・ジンネマン
軍の中でもダントツで有能な二人ですが、
軍からは抜け出ることはできませんでした。
二人を愛する二人の女性は、軍の中から抜け出せないのを、
なんと馬鹿げたことと、男を救おうとしますが、できません。
男が狭い世界感で生きる生き物というのは、
少なくとも自分は身にしみます。
そして、性なのかとも思います。
日常の殻に気がつくのは難しいし、
有能であればなおさらなのでしょう。
米軍の内情や、
友情、愛など語る部分は他にもありますが、
二人の男の世界感が印象に残りました。
有能な二人が、バート・ランカスター、モンゴメリー・クリフト
二人を愛する女性が、デボラ・カー、ドナ・リード
脇の支えるフランク・シナトラ。
豪華キャストを楽しむ映画でもあります。
【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】
虎の尾を踏む男達 1952日 黒澤明
私にとっては名作でした。
好きな黒澤映画と言った方が適切かもしれません。
大河内伝次郎とエノケンが目立つし、
二人はもちろん素晴らしいのですが、
脇の俳優人の存在もどっしりしています。
とにかくワンシーンに重厚感があります。
そのシーンの奥に潜む多くのそして
複雑な文脈があってシーンが出来上がります。
観る者のこれまでの人間観や歴史観で、
まるで違って映るでしょう。
日本文化に日本人であることに誇りを持つ作品でした。
【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】
黒の報告書 1963日 増村保造
話の内容に少々無理はあるものの、
テンポ優先ならばそれもよしです。
人間の嫌な部分を抉り出しています。
悪徳弁護士とそれに従う人たちだけでなく、
正義の立場側も、自分たちのエゴが醜く映ります。
脇役の殿山泰司が良い味を出しています。
「三文役者」(竹中直人主演の殿山泰司の映画)を
観ているだけに、カメラの前の役者の凄さが、
味のある演技が生まれる背景までが、気になりました。
【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】
雁の寺 1962日 川島雄三
人のプライドを現しています。
それもTPOで。
主な登場人物は、妾の若尾文子と坊主と小坊主です。
それぞれのプライドとその立場での振舞いが、
人間らしくけれど、おどろおどろしく。
川島監督は好きな監督です。
この作品も代表作でしょう。
語りすぎず、けれどヒントはあります。
けれど、どこを観て欲しいとは言わず、
観るポイントを選べさせます。
登場人物3人と同化してみれば、
わかるそんな展開がありました。
ラストは異議があるようですが、私は意味が深いシーンと感じました。
【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】
コンチネンタル 1934米 マーク・サンドリッチ
フレッド・アステアとジンジャー・ロジャースの初作品となれば、
見逃せません。
記念碑としての価値があります。
当然それはこの二人の映画が好きなことが条件ですが。
二人のダンス、それを補佐する舞台と他のダンサー達、
それを満喫するのがこの映画です。
他は付けたしですから、良いも悪いもありません。
そうは言っても物語はそれなりに楽しめました。
こういう作品が生まれることないだろうなぁ~、
と二人を観るといつも思います。
【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】