2010年08月
「常識」の日本史 井沢元彦
古代日本史から始まり、明治維新まで、
歴史の真相を常識に沿って仮説を立てて説明してくれます。
人の営みは、いつでも特殊ではない。
そこから著者が追ってゆく歴史観は、腑に落ちることばかりです。
史料が満足にない状況で真実を見つけるのは、
あくまで、その場にいる自分だったらどうするか?
それは天下を動かす英雄も私たちも同じはずです。
また、日本人がもつ感覚は
歴史の積み重ねだということも説いてくれています。
16話に渡る、日本史の中の大事な出来事をあげています。
どれも興味深く、一気に読みみました。
【いもたつLife】
ほしいもの営業とフラダンスin清里
残暑が続く中、刻々と暦は進みます。
ほしいもシーズンに向けて、8月はタツマのほしいもを販売してくれる、
販売店さまへの挨拶まわりをします。
その旅の途中下車で、フラダンスを観ました。
一年間頑張って練習した専門学校生のフラダンスです。
素人の私が口を挟むことが出来るかは別にして、
中々の演技です。
指先まで伸びる仕草の美しさと、魅惑。
それを含め体全体で、3次元に心の機微をみせるフラダンスの
素晴らしさを体験できました。
そして、
リズムに乗って腰を振るセクシーだけど健康さもOKです。
夏の終わりに常夏に想いを馳せることができました。
【芋日記】
八ヶ岳地ビール タッチダウン 白樺ビート 生
ドイツビールのテイストを感じる美味いビールです。
(表示は発泡酒です、日本の酒の表示の基準は、
突っ込みたくなることが少なくありません)
苦味よりも、麦の豊かさを狙っています。
ここが、ドイツビールの良さと同じ美味さがあります。
もうひとつ、「生」を謳うそのとおりの仕上げ方です。
クルマがいらない、酒は飲まない。
そんな若者の男が増えている報道を聞きますが、
このビールが日本で頑張っていることは、
こと酒に関しては、流行に屈することなく、
「おいしいビールはおいしいはずだ」
「酒はいいだろ」
というメッセージです。
酒呑みのたわ言かもしれませんが、
日本酒にも、それを伝える蔵があります。
成熟した日本社会で、キラリとした酒蔵は、
本物の成熟した大人になっている企業があることを示す、
嬉しいシグナルです。
【酒呑みのひとりごと】
飢餓海峡 1964日 内田吐夢
犯罪の遠因は貧困を示唆しています。
人が人を信じ合えない時に起こる悲劇が印象的です。
転がりこんだ金で事業が成功した主人公の男、
男から金を貰い極貧から逃れられた女。
男は成功で得た金を社会に還元します。
男は犯罪者であっても極悪ではありません。
女が現れてそれが変わります。
女はただただ感謝したい一心で男に会いますが、
男は女を信じられません、怖くなります。
信じることができないで悲劇になります。
昭和22年から32年の日本の底辺で生きる人たちの社会が、
この物語の背骨にあります。
冒頭の青函連絡船の事故も、放火殺人事件も、です。
左幸子さんはこの映画が代表作でしょう。
一晩だけ、数時間だけ、過した男を神とします。
神との想像での戯れの演技は、恍惚を表現していました。
3時間の大作ですが、
物語も面白く、展開もスムーズですので、
長さを感じることなく楽しめました。
【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】
天城越え 1983日 三村晴彦
田中裕子さんがとても綺麗です。
老刑事は40年前以上の自分が初めて手がけた事件が、
解決できなかったことが生涯の壁になりました。
女を犯人と決めつけて、少年のことが眼中にありませんでした。
それに気づき犯人がわかってもどうしても、その動機だけは、
想像すらできませんでした。
松本清張と三村監督が、14歳の少年だったら誰もが持つ、
心の崇高さと凶暴さを見事に描写しています。
女は少年にとって、母、姉、恋人、妻、愛人、そして聖なる存在です。
叔父にとられた本物の母の再来にもなってしまいました。
その大切な女性が軽蔑(と教えられた)に値する男に犯されます。
(とられます)
母を二度失うことに少年は生きていけない衝動にかられました。
老刑事にもあったであろう少年の心は、
どんなことをしても、老刑事は気づくことができませんでした。
その心は私も映画を観たから想い浮かべることができる
純粋な心だったからです。
【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】
ほしいものさつま芋が心配
ほしいも産地では、8月はほとんど雨がない状態。
心配ですが、どうしようもできません。
そろそろサツマイモの葉を食べるイモムシも出てきています。
有機ほしいも用のサツマイモは有機栽培ですから、
色々な虫が畑にいます。
テントウムシはイモムシまでは食べませんが、
生物が多様化していることが大事なので、
見つけると「良しよし」です。
けれど雨がないのはやっぱり心配です。
冬においしい干し芋作りのために雨乞いです。
【芋日記】
キリン一番絞りスタウト
偉大なギネススタウトのイメージが、
スタウトというとその残像があります。
だから採点は厳しめになるのは致し方ないとして、
それを考慮、割り引くとまずまずです。
だけど、ビターな苦味は後味に欲しいところです。
香ばしさやボックビール感、甘みがあります。
そして飲みやすさも併用されていますから、
たくさんのビールの楽しみが広がるかもしれません。
ドイツビール大好き男がここのところ
国産の飲んだことがないビールを飲むようになったのは、
ちょっと国産ビール界が変化しているのかなぁ~、
と感じたから。
このビールの絶対的な価値よりも、
その流れがどうなるかが気になるし、
このビールの役目もそこにあるのだと思っています。
【酒呑みのひとりごと】
トリノエジプト展
エジプトがヨーロッパに近いことがよくわかります。
ミイラや神を崇拝する多くの展示物を観ると、
おのずと古代エジプトの死生観が伝わってきます。
生きることに必死な中、
生と死がつながっていることで生を実感していたのかと感じました。
死を向こう側へ、思考の外へ抑えてしまう。
忙しいという理由で考えないようにしている、
現代(日本)はそんな風潮があります。
古代エジプトでは、“生は与えられている”
という意識が強い人生だったことを実感しました。
【いもたつLife】
ソルト 2010米 フィリップ・ノイス
話の展開にはかなり無理がありますが、
アンジェリーナ・ジョリーをみせることが主なので、
良いとしましょう。
トラの穴を裏切ったタイガーマスクが、
みなしごを救ったのよりもはるかにスケールが大きく、
国家を救う孤独のヒーロー(ヒロイン)です。
でも本人は大きい気持ちではなく、
生い立ちを憎み、
唯一無二の大切な夫を失った代償での行動です。
決してやってはいけないことをやってしまった、
という物語の進み方でした。
【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】
女流阿房列車 酒井順子
鉄道マニアと同じであって同じでない。
誰しも鉄道にはあこがれがあるのでしょう。
半分(多分)マニアの著者が描く現代の、
鉄道を絡めた旅の深さと楽しさと贅沢さをまとめた本です。
それは時間貧乏をあぶりだしてもいます。
その後には人生観を。
列車に乗っているということは誰しも同じ、
けれどその場で自分を確認しているか?
意味の無い旅に、意味をつけて行くこと、
そこが大事だと私に説いてくれます。
そのメッセージに共感です。
プチ生きる哲学があると感じた一冊でした。
【いもたつLife】