2019年11月
幕末太陽傳 1957日 川島雄三
何度観ても、その精緻さに感心、歓心します。
時は幕末の品川の遊郭、街では尊王攘夷派と幕府が一触即発の中、町人がしんなり強く生きる、武士の理屈は机上だと言い放つ、この普遍の構図を、佐平次(フランキー堺)が大活躍することによって、痛烈に痛快に川島雄三は言い放っているのですが、それを傑作喜劇として作り上げています。
そのテーマに沿って「居残り佐平次」を中心に、「品川心中」「五人廻し」「お見立て」「三枚起請」これらを入れ込んでいるのですが、よくも見事に破綻なく物語として纏めています。落語好きだからもありますが、「文七元結」や「付き馬」のテイストも入り嬉しいばかりです。
そしてリズムが良い、佐平次のキャタクターが良くて、その動きがスピーディーでまた良いです。
そして随所に川島雄三にある暗部が切なく想える映画で、そこも彼の作品好きにはたまりません。
【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】
マイクロカプセル香害 柔軟剤・消臭剤による痛みと悲しみ 【著】古庄弘枝+被害者・発症者の声
私は40年近く前に、花粉症が発症しました。当時は当然ながら“花粉症”の言葉はなく、春になると何故こんなに苦しいのか、いてもたってもいられませんでした。
しかし、この本で知った、香害で健康をそがれてしまった人々の、発症して深刻な症状で苦しむ人々のご苦労のご苦労は想像すらできません。
なにせ、花粉症は、その存在がわからなくても、春が過ぎれば収まったけれど、汚染された空気で苦しむのは、社会にいる限り逃れられないということだからです。
身近な人が強い香りの化学製品を使っただけで、それどころか、宅配便に“移香”してしまっている“香害”でも症状が悪化してしまう現実は相当に深刻なものです。
(そしていつ私も発症してもおかしくないことも知り、この本で恐怖を覚えました)
そして現代は、強い香りの化学製品を使うのは当たり前の風潮と、使っている人自体は、まるで“香害”の自覚はなく、本人たちは“良い香り”に感じているから、事態は複雑です。
これまで世界中で起きてきた、科学文明が生んだ公害が、いち早く異常を察した少数の方の声から公になり、解消に向かったのと同じく、一日でも早く、その方向へ向かってほしいです。
また、巨大産業と経済の原理が、また問題の裏に潜み、解決もそれが妨げているという、いつもながらの構図があり、辟易してしまいますが、私がこの本を読んだ事実は、解決に向かっている一つの証であることも間違いないことでしょう。
【いもたつLife】
ジョーカー 2019米 ドット・フィリップス
怖ろしいのは、ジョーカーが主張した「正義は主観」に賛同している人々が、政府や汚職まみれ、自己保身の金持ちたちに対して、「正義は主観」のもとに鉄槌を下すことに陶酔することです。
アーサー(ホアキン・フェニックス)がジョーカーになったのは、アーサーの心の底に深い闇があったことが必要条件で、アーサーがうっかり犯してしまった(彼を小ばかにし、罰を受けることがない暴力を奮った貧困ではない3人の白人を殺害した)罪が、アーサーを自分と重ねる街の底辺の人々の支持を受けたことが十分条件です。
アーサーには虐待された幼少時代があり、これもキーで、精神的に追い込まれると“笑って(笑っていない高笑い)やり過ごす”教育を母親から受けていました。母の自己都合故にです、これもきっかけでした。最愛の母は抱いていた母とは違う像だった。
また信じて疑わなかった二人からの裏切りもきっかけでした。
一人は父だと母から信じ込まされていた父(トーマス・ウェイン)から、ただただハグされたいだけの父からディスカウントされたこと。
もう一人は憧れていた人気キャスター=ロバート・デ・ニーロも俗人であったことを知ったことです。
コメディアンを目指していたアーサーは、笑わせることはできず、逆に世の中に邪見に扱われ笑われる存在にだんだんとなっていきます。
その姿は、社会から疎外されていると感じる想いが強い人ほど共感の対象になり、その人々の鬱憤をジョーカーが晴らすことで、絶大な支持となります。
ここで可笑しなことがわかります。
観客は善良で弱く、母に健気に接するアーサーを知っています。生き方が不器用だから周りの人に疎まれている、けれど、アーサーは良き人だということも知っています。
世の中の不条理で彼がジョーカーに近づいていくのを見ています。
でも街の人々は、アーサーがジョーカーになる過程を知る術がないのに、弱きアーサーがジョーカーになったことを支持していることです。
誰もが心のどこかに持つ“悪意”がそれを発散することが、己の主観とはいえ正義、として描かれていることを街の人が支持しているのは、映画内のゴッサムシティで起こっていることではない、描かれているのではないことを示唆しています。
怖ろしいことです。
しかし10年余りの月日が経つと、ゴッサムシティの人々は、バットマンを待ち焦がれるようになります。それが私の救いとして鑑賞できた映画でした。
追伸
11/8は「立冬」です。二十四節気更新しました。
ご興味がある方は、干し芋のタツマのトップページからどうぞ。
干し芋のタツマ
二十四節気「立冬」の直接ページはこちら
立冬
【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】
有機の畑とは違う
今年の春から有機的管理をしている畑で、
作付けはしていません。もちろん肥料も入れてないですが、
草の勢いが良いです。一般栽培の名残でしょう。
【芋日記】
まちまちに熟します
ソバの実はまちまちに熟していくようで、
まだ花が咲いている中で、熟していく実もあります。
【芋日記】
キュアリング準備
収穫も終わりに近づいたので、
芋の保存性を高めるキュアリングの準備を始めました。
【芋日記】
ほのかに期待しています
いずみ種も今年はどの畑も不作でした。
この畑もいずみですが、虫喰いが少ないので、まだ育つことを期待して、
最後の収穫にしました。
【芋日記】
結局同じでした
人参芋系統の、兼六、安納芋、かぼちゃ芋は結局、
どこの畑でも今年は育ちが悪かったです。
【芋日記】
乾いたので
なかなか芋掘りが出来なかった畑ですが、
やっと乾いたので、収穫できました。
【芋日記】
準備を変えました
雨が多いので、雨前に雨後すぐに掘れるところまで準備することにしました。
準備のやり方を変えました。
【芋日記】