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侍タイムスリッパー 安田淳一

大きな括りはありきたりのタイムスリップものですが、侍が現代へということに絞っていて、それを活かした練られた脚本と、とても丁寧な造りで、楽しいし、感心します。そして最後の殺陣は素晴らしい、文句なしの良い映画です。

高坂(山口馬木也)が140年タイムスリップして現代に来て、それに戸惑う序盤から切られ役として今に馴染むのをコメディタッチで描きます。それが、今の日本の豊かさは先人たちの努力だと、大袈裟に押し付けないで高坂を通して語ります。
全体的に押し付けなく進むのが心地よいです。
そしてタイムスリップ前に敵同士で果し合いをしていた風見(冨家ノリマサ)が現れます。風見は30年前に来ていて切られ役から始まり今や大御所の大物俳優という、この設定が随所に活かされます。

そんな二人は、斜陽になった時代劇を救うための映画作りに尽力し、そのクライマックスは真剣勝負になります。
この、時代劇を再び、も結構強く謳いたいということをつかって、幕末に二人が藩の中で果たした役割や、遺してきた過去の侍仲間への鎮魂を込めて、そして序盤に語られる豊かな日本になった工程を観る者に噛み締めてもらうように仕掛けられた真剣勝負です。
その殺陣は最大の見どころです。

無駄がなくリズミカルなのも良いし、紅一点の助監督役の優子(沙倉ゆうの)のキャラクター設定も絶妙です。
話題になったのが解ります。

【いもたつLife】

日時: 2024年12月20日 18:35