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危険な関係 2012日 ホ・ジノ
悪貨は良貨を駆逐できませんでした。
1931年上海の上流階級が舞台です。
男に服すことを決して拒む女性実業家のジユは、
彼女を捨てた富豪が若い処女を婚約者に選んだことが許せません。
彼女はこれまでの生き方通り、自分が他よりも優れていることを証明するために、
富豪の恋を台無しにすることを決めます。
そのパートナーは、女を落とすことをゲームのごとく楽しむプレーボーイのイーファンです。彼にそれを依頼しますが、イーファンにはそんなことはお茶の子さいさいです。
片手間でできることから、もっと魂を揺さぶることをしたいと言います。
それにジユも乗っかります。そのターゲットになったのが、貞淑な未亡人のフェンユーです。
若くして夫を亡くした彼女は、生涯亡き夫を慕って生き抜くことを心に硬く決めていました。その態度がイーファンの闘争本能に火を付けたのです。
ジユもまた、その目的にまっしぐらのイーファンを見ていたいし、
貞淑な女が堕ちる様を見ること、それに携わることは、彼女の屈折した魂にとって何よりの餌なのです。
イーファンとジユはゲームを楽しみます。
イーファンは若い娘を落としながら、フェンユーに巧妙に近づきます。
ジユは、イーファンが若き娘を落とすことが願望で、また、彼がフェンユーに手子摺ることも想定内で、イーファンが彼女らを弄ぶことを自らの喜びにします。
しかも若き娘と相思相愛の男までも愛人としてしまう、徹底した世に対する支配を成し遂げて自らの優越を誇示します。
イーファンは今までのプレーボーイでは通用しない、落ちない頑ななフェンユーに手こずりながらも、一歩ずつ彼女の心に入り込みます。プレーボーイの面目躍如です。
そして終に彼女は、偉大な亡き夫の呪縛から離れて、今の自己の気持ち(イーファンを愛する自分自身を許す)を彼女の内面に受け入れることができる=彼女がイーファンを迎い入れることができるようになります。
満を持して(実はイーファンがジユに急き立てられて)イーファンはフェンユーを別れという奈落の底に落とします。
ジユもイーファンも目的達成です、
他人を貶めることで自己の感情を満たすという、これまでのやり方通り、今回も満足を得ることができたはずでした。
でも今回は二人とも違和感が残ります。
イーファンがフェンユーの一途な愛を拒めなくなるのです。
ゲームである以上、フェンユーを愛することはご法度、あくまでもフェンユーを奈落の底に陥らせることがルールです。
でもあまりにも一途なフェンユーとの触れ合いで、ミイラ取りがミイラになってしまったイーファンです。
それを見抜き許さないのが、ジユです。
強引に既存の路線、完膚なきままにイーファンがフェンユーを貶めるシナリオをお膳立てして見事に成し遂げたのですが、イーファンはそれを渋々受け入れたのですが、彼の魂は叫びを上げました。
その結果は・・・。
イーファンは自業自得の最期を迎えます。
イーファンから三行半を宣言され、生きる気力も失った傷心のフェンユーですが、
イーファンの最期に立ち会うことで、再生します。
逆に、イーファンをも支配することを遂行した結果イーファンを失ったジユは泣き崩れます。
三人三様のラストでした。
イーファンは、あまりにも自分を愛してくれるようになったフェンユーの愛を裏切ることが出来ませんでした。(これまでの性で一度はフェンユーを地獄に落としますが)
ジユにとってイーファンは、彼女と互角に立つ唯一の男でした。もちろん愛していたし、戦時の上海で生き抜くためにお互いに切磋琢磨できることを認めた存在でした。
けれど、イーファンがフェンユーを自分よりも愛してしまったことは、彼女にとって許しがたい事実でした。
だから、自分たちは平静でいて、落とす相手が堕ちることを絶対のルールとして、その執行をイーファンにも強要しましたが、その結果は、彼を失うという悲劇でした。
彼女は初めて失う体験、自分の思い通りには、やっぱりいかない体験を(多分10年ぶり位)二十歳で体験した依頼体験しました。(この二十歳の挫折が現在のジユをつくりました)
イーファンは非業の最期を、ジユは自らの行為を否定しなければいけないことに直面することになります。
圧倒的に優位な悪の二人がほとんど思いのままになるはずだったことが、
フェンユーの一途な心がそれを瓦解させました。
後一歩で悪貨がまたこの世に闊歩する寸前だったのに、です。
フェンユーは清き心が過ぎているほどの純な女性でした。
亡き夫を慕う気持ち、亡き夫が偉大だったから余計に、夫に対して操を捧げる決意をしていましたし、それが彼女自身の生涯の幸せだと、自分に言い聞かせていました。
そこから解き放させたのがイーファンです。
だから、亡き夫同様にイーファンにも愛を捧げることを自己の幸せとしたのがフェンユーですし、それが心の底から湧き上がる行為です。
この気持ちがイーファンを動かし(ゲームをできなくさせ)、その波及がジユの勇み足(結果イーファンを失う行為)に繋がりました。
ラスト、フェンユーは亡き夫の意志を継ぎ、教師として生き生きと祖国に尽くすシーンです。
夫からの呪縛から救ってくれたイーファンのお陰です。彼女は心の自由を手にしました。もちろんイーファンを愛したこと、愛されたこともこれからの彼女の心の支えです。
物語は、悪の二人、ジユとイーファン主導で進んでいて、二人の思惑通り進み、二人とも果実を得たかに見えましたが、果実を得たのは結局はフェンユーでした。
どうしてこうなったのか?
三人のうち、フェンユーだけが素直だったからです。
だから一番傷つきました。一番悩みました、揺れました。
でも自律できました。
ジユとイーファンは、今の状況から抜け出したいけれど、出来ませんでした。
何故なら、素直ではなかったからです。心の叫びを打ち消すことに一生懸命でした。
人生を振り返ると、素直になれば上手く行っていたと思えることが少なくない数あります。「素直になる」できそうでできない深遠なテーマです。