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四十九日のレシピ 2013日 タナダユキ
少し入り組んだ家族構成です。
百合子は幸せな結婚生活だったけれど子供ができませんでした。
そして夫は浮気のつもりが、子供ができてしまい、百合子は不倫相手に夫を渡す決心をして帰郷します。
実家には父の良平が一人暮らし、妻の乙美はつい先日亡くなったばかり、そして、百合子にとって乙美は父の再婚相手で、幼い頃から育てられましたが、「お母さん」と呼べない関係でした。
その乙美が遺したものは、彼女を慕う人達で、良平と百合子に尽くしてくれた乙美は二人以外にも多くの愛を捧げていたことを知ります。
二人の下に元気ハツラツな娘のイモが現れます。イモに催促されて、二人は乙美の遺言にある「四十九日の大宴会」を開くことを決心します。
イモは、乙美がボランティアで更生施設で可愛がっていた20歳の娘で、自分が亡くなった後に良平の面倒を見てくれることを頼んでいたのでした。そして乙美は、大宴会の助っ人まで準備してくれていました。日系三世のブラジル人の若い男のハルです。
大宴会を開く目的で集った4人の生活が始まります。4人は、乙美が喜ぶかを考えて、着々と大宴会の準備を進めます。
また傷心の百合子も少しずつケアされていきます。
大宴会の準備をしていると、良平も百合子も乙美と想い出を作っていなかったことが明るみに出てきて落ち込みます。
そんな乙美は幸せだったのか?二人は良き夫と良き娘でなかったことを後悔します。
そこで百合子は、何が何でも乙美の人生の意義を探り、四十九日の法要に添えたいと思うようになります。
そして大宴会の日が来ます。
この映画では、「子供がいない母親の人生は幸せか」というテーマがあります。
不妊のために、百合子は不倫相手に夫を譲るという辛辣なシーンが冒頭からあり、子供がいないと想い出が少ないというフレーズが何度か繰り返されます。
世の中は上手くいきません。思い通りにいかないままに時が過ぎて、どうにもならなくなるという無常さを突きつけます。
単に子供ができないことだけでない、人の手が及ばないのが世の中だということを言います。
それでも抵抗するのが人で、それが乙美の生き方だと言います。
乙美も長年連れ添った無愛想は夫に満足していいた訳ではないでしょう。また、懐かない百合子にも悩んだでしょう。
でもそれでも二人に尽くしました。他の人達にもできるだけのことをしました。
この映画は、人は(次世代の)人の踏み台であれば良いということもテーマにしています。
乙美はまさにその境地だったのでしょう。
二人は乙美が亡くなって彼女がそれで幸せだったことを感じ取ります。
そして、二人とも、“次は自分達が踏み台で良いではないか”と乙美から受け継ぐことを決めます。
人が亡くなること、特に身近な人が、それは遺された者の成長のためだと言えるということを、示した映画でもありました。