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神々の山嶺(漫画)
全5冊で量も質も濃い漫画ですが、一気にいきました。
舞台は1990年頃のエヴェレスト。
約70年前にイギリスの登山隊のジョージ・マロリーのカメラを偶然見つけ、初登頂したのではないかという、仮説を持った深町誠。
カトマンドゥで調査を始めると、ビカール・サンという男と接点ができます。彼は伝説で孤高の山男の羽生丈二で、カメラは羽生(ビカール・サン)が見つけたのではないかと推測、そこで羽生に興味を持ち深町は羽生を追うと、彼はとてつもない、今まで誰も成し得なかった登頂を目論んでいた。
ビカール・サン(羽生)に引き込まれるように深町もエヴェレストへ。
深町の目線で物語は進みます。彼も十分に山屋で、孤独を背負っています。
羽生という人物を調べれば調べるほど、山しかない羽生に共感していく深町。羽生は野望を遂げるか、エヴェレストの神々に嫌われるか、そこがメインです。
羽生は「エヴェレスト最難関ルートの南西壁の冬期単独、無酸素」という不可能に挑戦します。なぜ羽生はその登攀にとりつかれていて、つき動かされていて、自分の生のすべてをそれに捧げます。
その羽生を見届けるのは自分しかないと、深町もすべてを賭けます。
それを軸に、そしてマロリーのカメラの謎は?
羽生が唯一愛した岸涼子との関係は?
また、孤高の羽生が唯一心を許した山男の岸涼子の兄の文太郎は、羽生との二人の登山で命を落とします。文太郎を亡くしたことで背負った十字架、その清算がエヴェレスト制覇であること等の複数のエピソードが羽生という男が持っている、背負っているものを重厚に語ってくれます。
また、絵が見事でした。
人を寄せ付けない険しい山、そこに挑む姿、神々に受け入れられなければ=そこまで自らを山に賭けなければ、神は微笑まない、そんな描写が伝わる絵です。
この漫画と対峙している間中、羽生は矢吹丈と同じ類の人間だと強く感じていました。
決して立派だと褒められる人物ではない。泥臭く生きていくしかできない不器用な男です。
でも生きていることの密度は誰よりも濃い、そういう男です。
素晴らしい作品でした。
追伸
5/5は「立夏」でした。二十四節気更新しました。
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干し芋のタツマ
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立夏