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【spac演劇】リチャード三世~道化たちの醒めない悪夢~ 演出:ジャン・ランベール・ヴィルド ロレンゾ・マラゲラ

道化師に扮したリチャード三世の人となりを、もう一人の登場人物との二人芝居で、舞台セットは見世物小屋でその中で演じます。懐かしさがありながら、斬新な切り口で、そして巧妙に計算された見応えある劇です。

道化のリチャードに対して、もう一人がエドワード四世、クラレンス、アン、エリザベス、ヨーク公爵夫人、皇太子エドワード、ヨーク公リチャード、バッキンガム公、ヘイスティングス卿、ケイツビー、グレイ卿、リヴァーズ伯、ドーセット候、ロンドン市長、暗殺者(暗殺者だけは二人登場し、リチャードを演じた役者も演じます)という多数の役割はもう一人が担う二人劇ですが、脚本や台詞、衣装で明確に混乱することなく劇は進みます。
交通整理されているようです。

次から次へと自己のために王になるために成り上がるために人を殺めるリチャードですが、市民を味方につけ、その演出が面白い、観客を市民に見立てて、煽る煽るです。

本音と建前が交錯しながら進むのですが、三つの箱の見世物小屋とその屋上を、場面ごとに話に合わせてユーモラスを基本にセットし、まず視覚でリチャードの思考と劇の進み具愛を訴えるやり方はズバリろいう感じで、本当に良くできています。
見世物小屋は、おもちゃ箱のようであり、でも衣装はじめ美術は凝っていて品質が高く練り上げられていることが解ります。
お見事な美術です。

話は別にして、カラクリのような楽しさを味わうだけでも観劇の価値ありです。

でも訴えていることはシリアスで、道化のリチャードはその姿とは正反対の顔が覗き見れます。
そして頂点に立った王になったリチャードは当然のごとく破滅を迎えます。

でもリチャードは常に一生懸命だったのです。もちろん祖国を憂いてもいましたから、なんとかしようとして足掻いていた、もう真剣そのものだった、でもその姿は道化でしかなかったということで、とても寂しくなります。
そしてそれは一般でも起こり勝ちなことで身近に感じます。そんな姿を自分も晒していないか、それも強く感じました。

【いもたつLife】

日時: 2018年05月15日 09:54