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北ホテル 1938仏 マルセル・カルネ
若い、ルネとピエールが北ホテルで心中(未遂に終わります)する所から、
二人が北ホテルから旅立つ所まで。
北ホテルには、色々な人がいますが、多くは陽気で面倒見が良い、そして庶民です。
二人と、もう一カップルを除いて、そんな人たちが周りを囲みます。
二人と、もう一カップルの二人は共通項があります。
他の人と過去が違う、負を背負っている所です。
若いルネと渋い男は特に特別な環境でしたし、自覚もあります。
しかし、陽気な人たちにも過去はあります。しかも、誰しも悔いていることがあります。
過去を清算したいけど、逃れることもできない、
そんなジレンマが若いルネと渋い男にありました。
もう一度繰り返しますが、陽気な人達にもそれはあります。
ダムが決壊するのと同じでしょうか。
ふたりの心はそんな状況です。
ここが考えさせられる点です。
私はこの作品は、
意識した過去とそれを含めて、意識していない、
自分を駆り立てている何かは何かを如実に一つの例
(三人もしくは四人の例)
で示していたように感じました。
どうなるのだろうと思わせる映像が続き、引きつけられるのですが、
ありえない展開はなく、映画的にこちらが期待するドラマはなく
過ぎてゆきます。
そこにはしんしんと自分の過去と
それにまつわる現在を考えさせる効果があり、
そこに身を投げかけてしまいました。
日時: 2009年06月01日 06:38