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【spac演劇】イナバとナホバの白兎 演出:宮城聰


この作品は、フランス国立ケ・ブランリー美術館の開館10周年の記念公演のために、SPACに創作依頼されて出来たものです。2016年に駿府城公園の野外劇場でお披露目があり、その後パリのフランス国立ケ・ブランリー美術館クロード・レヴィ=ストロース劇場で上演されまました。
創作のきっかけは、レヴィ=ストロースの最後の著作「月の裏側」に出てくる仮説です。
イナバの白兎を含めた日本の神話と、アメリカ先住民ナバホ族の神話とは、所々似ている、それは、アジアのどこかでその元になる神話があり、日本に伝わり、その後北米に伝わったのではないか?今はまだその元の神話は発見されてはいないが。
ということが発端で、ならば、日本の神話とナバホ族の神話から、逆にその元になる神話を想像して創造してみようというのがこの「イナバとナホバの白兎」です。

今年はレヴィ=ストロース没後10年ということで、もう一度クロード・レヴィ=ストロース劇場で再演となり、そのためにもう一度練り直されて今度は屋外ではなく、屋内の場謡芸術劇場で、パリ凱旋に先駆けての上演でした。

2016年よりも迫力が増しているのが印象的でした。屋外よりも近いために臨場感もあります。
3部構成で、「イナバの白兎」「ナバホの神話」そして「想像創造の物語」に入るのですが、細工は流々仕上げを御覧じろとばかりに、第3部の大団円は場内が一体になります。

人類が誕生し、狩猟を覚え、農耕を知り、争いもあり、神(太陽)を畏敬し、辿りついたのは、神に感謝することと、一人では生きていけないことの深い認識であることを謳い上げている壮大さを感じました。
そんな人の営みは貴くて、それを祝う祝祭の劇です。
素晴らしかったです。

【いもたつLife】

日時: 2019年06月30日 12:55