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【3月国立劇場 歌舞伎】近江源氏先陣館~盛網陣屋~
歌舞伎は、完成度が高いことを痛感です。
そしてこの話、家族を信じ、個を消して強かに目的をやり遂げる、その執念というか、やるべきことを成すことに妥協はしない、もちろん戦時であるがゆえにその選択なのですが、鮮やかな策略で、そしてそれを遂行しています。
まず、佐々木二人は兄弟でお互いの敵方の軍師、鎌倉方(徳川方)と京方(豊臣方)に別れます。これはお家存続のためで、よくあったことらしいですが、ここからして、忠誠を尽くす武士道を通すのと、お家の存続の大命題を適えます。
そのためには、もちろんどちらかの兄弟とその家族の死が必然になるわけですが、それを仕方なくではなく、それをどちらかが犠牲になることは厭うことではないとしいます。
物語は弟軍師の幼子が、兄軍師の元で人質になったところから始まります。
幼子が人質になると、それを助けることが当たり前だし人情です。それを逆手に取る弟。でもこの戦略は、それをすることにより、佐々木家に何をもたらすかの意義が兄に通じなければ元の木阿弥ですが、幼子を死に至らす弟の計略は兄を動かすことが絶対というのが前提で、兄はもちろんその意を汲みます。
武士の務めも絶対です、でも隙はあります。でもその隙とは13歳の子の切腹でしかこじ開けられません。けれど、それを父は要求し、子もそれに応えるのです。なんという意志の疎通でしょう。
それをやり遂げます。
物語自体も壮絶で見どころ満点ですが、それに応えるのが歌舞伎役者です。
そして衣装やセットもです。
娯楽作品が見事に昇華されていました。
日時: 2022年04月09日 16:24