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ブログ 今日のいもたつ

嘘 1963日 増村保造・吉村公三郎・衣笠貞之助

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「女の嘘」をテーマにした3作のオムニバスです。
「プレイガール」増村保造
玉の輿で上流社会の嫁を目指す19歳の女の物語です。
庶民の出の主人公が持つ武器は“処女であること”。
彼女は何人者男を掛け持ちにして、最高の結婚を目指します。
その日も4人の男とデートをしますが・・・。

彼女の嘘は、男を物色することですが、彼女自身はとても健康的で、自分を最高値で売り込もうとする態度には深く共感します。
でも、そんな生活に疲れたかのようなラストです。
背伸びばかりでは生きられないということと、
目標を掲げることは大事だし、彼女の行動も幸せな人生を築くために、とても戦略的で利に適ったものでした。でも、自分らしさを出せない戦略は続かないということがまじまじ解ります。

「社用2号」吉村公三郎
大手製薬会社の社長のお妾さんが主人公です。
あまりにも我侭で金遣いが荒いので、社長は自社の二枚目社員を差し向けて浮気をさせて、合法的(?)に別れることを画策します。

主人公のような女はお金がないと幸せになれそうにありません。
お金に目がないですが、塩らしい面もみせます。
彼女も今がずっと続ことがないと察していますから、別れるキッカケが欲しかったのかもしれません。
それにしても生活力がほぼゼロの主人公はこの後どうなるか?というラストでしたが、
それよりも、打算だけでは生きられないことを謳っている作品で、
ダメダメな彼女を応援したくなる演出で、吉村公三郎監督の女性賛歌を感じました。

「女体」衣笠貞之助
ミステリアスな展開で、女の情の物語です。
男(田代)が不倫相手の女(道代)の拳銃で殺害されます。道代は拳銃は見知らぬ人から貰ったと言います。
田代の妻(安子)は田代の死は自業自得と言います。でも安子は本妻ではありませんでした。(籍が入っていない本妻)そして安子は、道代に拳銃を渡したのは、とっくに別れている戸籍上の妻(時枝)だと言います。
しかし時枝はそれを否定します。

取り調べと裁判のシーンでこれらが明らかになっていきますが、
真相は語られません。真相はこの映画にとってどうでも良いからです。
三人の女の一人への男の愛と、存在を知っている自分以外にも田代を愛し、愛される他の女の嫉妬の様が描かれます。

三人とも究極の愛として田代を亡き者にしたかったのではないかと思える展開で、女の情念の深さに恐ろしくなりますし、愛する形というのはこんなケースもあることを知ります。
田代はそれだけ三人の女に深く愛されたのだから、女性問題でゴタゴタばかりの人生でしたが、死ぬまで非情に幸せだったのかもしれません。

追伸
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【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】

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2つ目の窓 2014日 河瀬直美

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輪廻転生や無常と死生観を下敷きにして、
物語は16歳の大人前の男と女が一歩大きく自律する物語です。

河瀬直美監督らしく、
雄大な自然の映像とドキュメンタリーのような奄美大島の人々の姿、
そしてテーマに添った山羊の屠殺シーンで、こちらに投げかけてきます。

界人は母(岬)と二人暮らし、離婚した父は東京にいます。そして彼自身も島生まれではありません。
岬は、界人を大事に想いながらも、新しい恋をしています。界人にはそれが穢れた姿に見え、また、母を恋しくもありそんな母を否定する気持ちを抑えられません。

杏子は根っからの島っ子です。仲が良い両親の下で育ちました。母(イサ)は島のシャーマンですが、余命わずかです。死別の現実を乗り越えようともがいています。
また、島の長老の亀爺からは、曾祖母に似てきたとも言われますし、イサの意志を継いでシャーマンになることも劇中に匂わせます。

映画は岬に依存している界人が、健全な距離を取ることができるかと、
杏子がイサとの別離を受け入れることができるか、を主にします。
また、親から子へ、そして自分が子を作ることで、命を繋ぐ意義を真摯に伝えようともしています。

若い二人がそれぞれに悩む姿は初々しく、奄美大島を背景にそれを上手く撮っています。
台風で荒れる海、晴天の下の真っ青の海、マングローブ、ガジュマル、それらの中に佇んだり、躍動したりする人、無常を強く感じます。
それに対比するかのように、界人が父に会いにいく東京のシーンがあります。
現代は、奄美大島に住んでいてもそこだけでは完結しないことも示します。
これを含め現実を突きつけるシーンもありますが、全体は二人の男女を中心とした奄美大島の生活です。

ラストは畳み掛けるようなシーンが続きます。
海に入ることが出来なかった界人、杏子を抱くことができなかった界人。
服を脱いで泳ぐことが出来なかった杏子。

そこから二人は自律します。
マングローブの中で抱き合う二人、そして、全裸で海の中を泳ぎます。
美しいシーンでした。

【芋日記】

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パークランド ケネディ暗殺、真実の4日間 2013米 ピーター・ランデズマン

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暗殺当日から4日間を、証言から再現したドキュメンタリーのような映画です。
再現されたのは、この事件に巻き込まれた人々。
オズワルドの兄と母、汚点を残したシークレットサービス、事件前にオズワルドと接触していたFBI、あの有名なフィルムを偶然撮影してしまったサプルーダー、そして瀕死のケネディだけでなく瀕死のオズワルドが運ばれたパークランド記念病院の医師と看護婦たちです。

当時の混乱と、怒りと悲しみ、また保身に走る姿等が、当時の映像とリンクしながら、生々しく再現されています。

アメリカ中が揺れた事件を、関わってしまった人達の視点から映すことで、何が起きていたのかを示しています。

忘れられない事件の、当事者の息遣いまでも感じ取れる内容に仕上がってしました。

【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】

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今年もアケビが成っています

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5年くらい前に有機農園のスタッフが、
ほしいもの干し場の脇にアケビを植えました。
それ以来、毎年アケビが成ります。
今年は豊作です。

【芋日記】

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自家製たい肥も準備できました

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今年の9月は、草取りと虫取りに追われないようにできたので、
未来の準備ができましが。
EMボカシ肥料作りと、自家製たい肥に管理です。
自家製たい肥は、小さい山にしながら、しかも稲藁(麦藁)を入れながら、
切り返すことで、かなり良い感じです。
たい肥場に行くと嫌な臭いではなく、
甘い匂いになりました。

【芋日記】

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たかおさんの冬野菜

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10月早々からは、芋収穫準備です。
農家の自家野菜の準備もそれまでには終わらせます。
たかおさんの庭先の野菜畑も、準備が終わっていました。

【芋日記】

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いずみが喰われています

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平年よりも一月遅れで、芋虫の被害がありました。
芋虫も好き嫌いがあるようで、
大抵、いずみ種の葉から食べていきます。

【芋日記】

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EMボカシ肥料作り

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有機サツマイモ栽培で、EMボカシ肥料が有効なことがわかってきたので、
手が空いた時にできるだけ作るようにしました。
1年は寝かしたいので、今作っている肥料は、
来年の収穫以降に使用します。

【芋日記】

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喜劇 とんかつ一代 1963日 川島雄三

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粗筋なんてどうでもいい。笑いのエピソードを繋いで繋いで出来上がった映画です。
個性的なキャラクターにハチャメチャを演じさせて、さあどうぞ!
と差し出された感じです。

キャストも豪華かつ、個性的な役をなんなくこなす達者者ばかりです。
森繁久弥、加東大介、、淡島千景、フランキー堺、三木のり平、池内淳子、木暮実千代、水谷良重、団令子、山茶花究、岡田真澄、益田喜頓。
親子親戚関係、また弟子と師匠、ライバル関係と、複雑な人間関係の構成ですがそれを逆手にとり、エピソードが繋がることを、そんなものかなとこちらに思わせます。

理屈なしで楽しむ映画ですが、落語のように、人の業が映し出されますから、何度みても、わかっている笑いだけど、可笑しくなるタイプの映画です。
ドタバタの奥に、人が人を想う優しさと人が持つ愚かさが盛り込まれている、これも川島雄三らしい作品です。

追伸
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【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】

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白蛇抄 1983日 伊藤俊也

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女の情念と、その女に溺れる男達のドロドロの物語で、
人間とは時には、こうまで理性を失ってしまうのかと、
驚嘆するばかりでした。

生まれながらに苦労してきて、やっと慎ましい幸せを掴んだ途端に、
また奈落に落ちてしまった女(うた)は、生まれてすぐに死んだ子もろとも身投げしますが、
たまたま山寺に助けられます。
もう世を捨てたくて、また子を弔うべく、山寺の老住職の世話になります。
しかし、若くて美しく妖艶な魅力があるうたを、回りの男達はほっておきません。

不具の住職は夜な夜なうたを慰みものにします。
それを盗み見しする得度した息子の昌男、
そして身投げしたうたの体を引き上げてから、うたを忘れられない刑事の村井までが、
うたを我が物にしようとします。

男達の奪い合いになるうたも、拒むことができずにドロドロの関係になって行き、
悲劇の連鎖が起こります。

美しいうたが悲劇の原因なのですが、うたは被害者です。
だれか一人でもしっかりとした男に愛されていれば行方は違ったでしょう。

山寺に来る前のうたは、しっかりとした男に愛されたのですが、慎ましい幸せと共に、それを失ってしまったのが悲劇の始まりで、これがうたの運命だったのかもしれません。

しかしあそこまで皆男が狂ってしまうのは何故でしょうか?
寺や警察という閉鎖された世界にいることで、孤立してしまうからなのか、
でもだとしたら、坊主と警官は皆狂っていることになります。

人は合う合わないの相性があります。
この物語の男達はうたに惹かれます。相性が良いのひとつの形でしょう。
昌男と村井は、世を捨てるしか生き様がないうたと、
普通の暮らしをしようとすると破滅しかなかったわけで(老住職はうたと普通の暮らしを求めなかったから非常識だけど歯車はかみ合っていた)、
悲劇は必然だったのです。

破滅に向かううたと相性が合うこと、
それは何故でしょうか?
男達の生育が、自我の形成にうたと合う部分が育ったのでしょう。
それは破滅に向かってもそれに向かう感情を抑えられない部分です。
彼らは抑えきれない、自分をコントロールできないのです。

彼らは自分が自分ではないのです。
その一端は自分を形成しているひとつとして誰にでもある部分です。

【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】

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