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エスピオナージ 1973仏 アンリ・ヴェルヌイユ
ソ連のスパイが主人公で、米・仏・英・西独と展開が広がる、
東西冷戦を象徴している映画です。
スパイ活動をアクションで披露するのではなく、
その立場で何をしていたかを語ります。
国と冷戦と個人(家族は身内がスパイとは知らない)
そして、使命、忠誠心。
だけど持っている価値観での裏切りが起こります。
(裏切りとは一側面)裏切りかどうかはその人の価値観で、
まっとうしている姿でもあります。
当時の世情がわかります。欧米が描かれているので、
日本のことが気になります。
安保闘争の時代でもありますから。
この頃を遠くで察するか察しないかの年齢で、私は育ちました。
冷戦のひとつの結果がこの映画です。
これを観ると第二次大戦では解決しなかった続きが感じられます。
そして、冷戦後は地域紛争へと流れます。
平和な日本では感じえないことを感じさせてくれる映画は貴重で、
こういうものから少しでも、教育では封印されきたことに
接していたいと思いました。
百姓の力 渡辺尚志
江戸時代を知る時、そのほとんどを「江戸の町」から追ってしまいがちです。
また、徳川家を頂点とした上から目線で追います。
政治面からも経済面からもその目線です。
この本は、村と百姓目線から江戸を語ってくれています。
江戸好きな私にとって、わかっているようでおぼろげだったことが、
頷きとともに明るくなります。
そこには日本の隅々まで、人々の知恵で整備された江戸時代の姿が浮かびます。
小さな単位まで上手く機能されていたからこそ、
評価できる江戸時代だったことがわかります。
自然と調和し、領主とも他の村とも調和し、村内の個々人も活かす、
江戸の村の成熟された匠さを知ることができました。
20世紀少年 最終章
ケンヂを中心とした周りの人たちの心の問題が、
最終章では語られていました。
浦沢さんはそれを狙ったのかはわかりませんが、
タイムリーな話だし、
人の心の扱いが今までとは違う問われ方をして
世紀末を迎えたのが20世紀。
として未来からみられるかもしれません。
だから、ともだちこそが「20世紀少年」なのかもしれません。
ともだちとカンナは対照的に育ちました。
周囲がつらかった ともだち、
周囲に恵まれた カンナ、
だけど心の深いところでは同じように傷ついていました。
この二人を主に据えながら、
各登場人物の、生い立ちと子供の頃の心が、
大人になってどう表出するかが随所に描かれています。
最初は興味津々のお気楽で、ミステリアスで、
私の世代には懐かしいSF=表の20世紀でした。
そこから、精神的なSF=裏の20世紀になりました。
どっちが面白かったのか?
二面性も今の世相かもしれません。
20世紀少年 第2章
一作目と代わりシリアスな展開です。
隋所に懐かしさと、役のそっくりが潤いを与えていますが。
この物語は、どこにでもいるただのガキが大人になって、
でも、どえらい事をしでかす奴がいて、
それを止める奴、こっちこそ正義感なんてなく、
自分がもしかしたら原因じゃないかって、
それに引き込まれた結果です。
だからケンジはかっこよくないのですが、
だから共感できます。
そこから物語を続けるには、普通を超える必要があって・・・。
でも(原)作者は読者(鑑賞者)の期待に応えるのは真摯な行動です。
こんなこと考えながらみるのは邪道と、家族にまた言われそうです。
でも次がすぐにみたくなりました。
劇場公開直前にみて、よかったと思っています。
州崎パラダイス赤信号 1956日 川島雄三
くされ縁のカップルは、自分たちのことだけで必死です。
二人を愛したり、親身になってくれる人の気持ちは解らないのでしょう。
結局経済的に破綻するのですが、実はとても幸せにみえてしまいます。
川島監督は、軽快なタッチで結構深刻な話を進めてゆきます。
二人の主人公とそれにまつわる、エピソードが入り、
(おかみさんの旦那が帰ってきてすぐに悲劇になること)
(田舎での清楚な娘の悲劇)
周りの方が深刻そのままに進みます。
当の本人たちは、すれ違いながら元のさやに納まるのですが。
当人たちが一番変わらなければならないのに変わりません。
ここが監督の意図だと私は感じました。
二人は、流した汗からみれば少し不幸な路線を走っているように
思えてなりません。が、
人生の中で、深く掘りさげる必要があるときから逃げているようです。
その時の嫌な感覚は、嫌なだけにそこに行く勇気が必要です。
だけど逃げるから嫌な感覚が増幅してゆきます。
子供の時に、先生のいいなりになっていたこと、闇雲に順序を経てゆくこと、
がありました。
すべてではありませんが、あれも教育として意味があることと今気づきます。
夜の女たち 1948日 溝口健二
戦後間もない時代が作った女たちを、
娼婦としてしか生きてゆけない女たちを、
ほこりまみれで見せてくれます。
自分が望んだ娼婦でもあるのですが、
男と社会の犠牲者です。
救いがあるのかが、ずっと焦点として作品に入り込みました。
自分から抜け出すしか救いはないのですが、
抜け出せる境遇ならそもそもこの世界には入らないし、
長く居ることで、抜けられなくなるのは、いつも同じ、他のことでも同じです。
主演の田中絹代は、娼婦になる前と後ではまさしく別人でした。
ただ、娼婦の中に自分だけが犠牲になればよいというメッセージを匂わせていて、
それは、夫、子供、嫁ぎ先、勤め先で尽くしていた姿と重なります。
どこまで行っても救われないから、どうなっても良い身だけれど、
変われないものがある女の根本を感じました。
アントキノイノチ さだまさし
心が壊れても外傷はないから、他人にはわかりません。
ひどくなるまで、自覚症状もない場合が多いかも。
自分がわからないのだから、他の人にはもっとわかりません。
人の心を蝕む狩人にターゲットにされた主人公二人と他のメンバー
(SFになっても良い位、この狩人はエイリアンと同じです)
主人公二人は、
人が死ぬ生々しい場面を日常とします。
それを通して人の心の繊細さや強さや
生きるための本能とは何かが描かれます。
心が壊れた人達が加速しながらふえている社会です。
その原因のひとつは、ささいなことを喜ぶことができない感覚が
ついてしまったことなのではないか?
二人は心が壊れるという自分で治すしかないけど、
できるかどうかわからない。その苦しみから這い上がりました。
小さな喜びを喜ぶことができる人になって。
そういう心を育ててゆきたいですね。
米産地へ0908粗植
田植えの時に、
苗を植える間隔を広くとって田植えをしてあります。
風通しも陽のあたりも良くなります。
稲には好環境になります。
当然、健康に育つ=おいしいを狙っています。
日当たりや風通しが良いと、
草も、健康に育つ=除草が大変。
になります。
また、田んぼに植える苗の本数が減るので、
収穫が心配にもなります。
今年は豊作はないので、
今年の出来高で真価が問われます。
米産地へ0908新米はいつ?
まだ青い田んぼはいつもと違う雰囲気です。
滑川でも近江八幡でも明らかに遅れています。
ただし、天候不順が与える影響は、
普通の栽培(一般慣行栽培といいます)ほど影響があるようです。
天候は自然です。
有機栽培も不耕起栽培も慣行栽培より
自然に近いから、
天候の変化に対して、稲も変化するから比較的影響が小さくてすみます。
稲に限らず慣行栽培は、人が必要以上に手をくだす分、
自然と離れているのでしょう。
米産地へ0908水車
滋賀県近江八幡市の不耕起栽培の
中村さんから、良いものを見せてもらいました。
昔は人がこの上に乗って、
回して水をかき揚げて田んぼに水を入れていたそうです。
兼業農家という言葉がいつから使われ始めたのか?
調べてみたくなりました。