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ブログ 今日のいもたつ

ジョーカー・ゲーム 柳 広司

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スパイとそれを養成する上司、組織という特殊な設定、
時代も第二次大戦前、所も世界各所と大風呂敷ながら、
世界観がしっかり伝わってきます。

特殊な人達の行為で、大衆とは離れた人間であり続ける主人公たちながら、
深層の心は、共感できる描かれ方をしています。
第二次大戦前という状況をとてもうまく活かせています。

人は孤独であるし、だけど生きるのに家族もなくてはならない、
複雑です。
そんな描写を、ふつうとはかけ離れたスパイという存在で示した
意欲を感じます。

当然フィクションの面白さも味わえました。

【いもたつLife】

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断崖 1941米 アルフレッド・ヒッチコック

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ハンサムだけどダメ男(ケイリー・グラント)と
良家のお嬢さん(ジョーン・フォンテイン)が駆け落ち同然で
夫婦になるのですが、夫のダメ男ぶりにほとほと泣かされる妻。

夫が保険金目当ての殺人をしたか?自分もその対象かと疑心暗鬼になる妻。
真相は?
というストーリーです。
夫のダメぶりと妻の心理描写を楽しむ作品です。

ジョーン・フォンテインはこの作品でアカデミーですが、
ケイリー・グラントの存在と、ヒッチコックの演出も大きいですね。

同じヒッチコック、ジョーン・フォンテインのレベッカの方が、
サスペンスっぽい感じですが、
この作品はサスペンス色を現すまでの、
日常を映す数々のシーンでの演技に見応えがあります。

と、ここで思いだしました。
レベッカもそんな水面下で「沸々」とした仕込みをしていました。

仕上げをごろうじろはやっぱりヒッチコックらしいですね。

【いもたつLife】

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素晴らしき哉、人生 1946米 フランク・キャプラ

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子供に聞かせる童話のような話なのですが、
主人公ジョージ(ジェームズ・スチュアート)の熱演と
脚本とテンポが良いリズムで、臨場感と緊張感を持ったまま、
そして引き込まれます。

主人公の半生を追うのですが、
才能も努力もやさしさも忍耐もあるけれど、
自分の想いは適わないという男です。
理想的ですが、現実の人物を感じるし、
ストーリーが進み窮地に追い込まれるときは、
どこにでもいる男です。

そこから<秘密>があって、
良妻(ドナ・リード)の献身が状況を好転させます。

世の中を斜めにみるところがある私ですが、
この作品はとても感動しました。

【いもたつLife】

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ルート255 2005日 中村義洋

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中学生の姉弟が異空間に迷い込んでしまう設定です。
SFですが、SFが主ではなく、
異空間の姉弟が数日をどう過ごすか?そしてどうなるか?
をなるべく平坦な感じで映します。

何気ない積み上げを数え切れない位重ねた上で、
今の自分が生きていることを実感させてくれる内容です。
何気ないものがほんのちょっとずれただけで、
状況は全く異なってしまいます。

ただ生きてゆく上では、何不自由なくても、
そのずれが生む怖さは受け入れられないものです。
そして、恐怖をすぐには認められない。
元に戻すこともできない。
淡々とした進行の中で「せつなさ」を強く感じました。

ラストは人が生きてゆく上で備えている本能が描かれているのでしょうか?
希望と言っているのか、忘れることも必要と言いたいのか、
思い出を現すのか、とりあえずが大事なのか、
この映画らしい余韻でした。

【いもたつLife】

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のぼうの城 和田竜

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豊臣秀吉の天下統一の最終局面、
北条家の支城「忍城」成田長親を城代とした僅かの手勢と、
石田光成の大軍との合戦の小説です。

歴史の上で特筆される史実の上、
小説としてもとても良く造られていて、涙する内容と、痛快さで
楽しく通読させてもらいました。

内容は、読んでのお楽しみです。
内容以外で感想を。

人は安易に成功を求める気持ちはある、(成功に限らなくても)
持っている本能です。
安易を求めるのも解りますし、自分もそうです。
安易というのは、努力以上を求める姿勢です。
それと、こじつけて成功を理論することです。

この本はそんな基本的なあやまちを諫めてくれます。
特に、効率とか言っていることに対して。

人間 勝負をする時が来ること、きっと人生であるはずです。
そこでは、効率とかコツとかはありません。
対面した状況があるだけです。

それと、自分の過去と、今いる仲間です。

この戦は、誰の予想よりも長親たちに上手く運びました。
これもたまたまの要素があります。

だけどたまたまを引き出す、
状況をずっと培っていたこと。
心を静かに、どうすればよいかをきこうとしたこと。
人として生きようとしたこと。

こんなにも普遍を勇気をもって実践した武将と領民たちに
頭が下がるとともに、
あくまで殺人ですが、それを超えた美意識が戦国時代のあったことを
再認識をした、しよう。というのが読後の感想です。

【いもたつLife】

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ジャガイモの実

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ジャガイモは種芋で増えてゆきます。
花が実になって、種子で子孫を残すのではないのですが、
芋ができない危機になると、種を残そうとしているようです。

何故かというと、今回のジャガイモは枯れかけているから、
わかりました。

ジャガイモの品種によって、実をつけやすいものもあるそうですが。
それにしても、トマトそっくりです。

農薬使用が前提の栽培の野菜は多く、
このジャガイモ以外に、ソラマメやゴーヤがダメ、
小玉スイカも生き残りは3割。

農薬を使わないでの野菜栽培は、
まだまだ試行錯誤が続きます。

ちなみに下の写真は、食べられた「わけぎ」です。
伸びるてきたかなと思っていると、
いつしか食べられています。
鳥か?このあたりはキジが多いからあいつか?
周辺の雑草より当然おいしいから狙われるのでしょう。

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【新農耕民族の挑戦】

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地下室のメロディー 1963仏 アンリ・ヴェルヌイユ

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ジャン・ギャバンとアラン・ドロンの共演のサスペンスです。
これだけで、この映画の様子が伝わります。

ジャンギャバンが刑務所からでてきて、アランドロンと会い、
犯罪が進められます。ラストの見事さまでの物語の面白さも映画の骨子ですが、
この二人の年齢による心理描写がもうひとつの見どころです。

最盛期を越えてもなお現役として挑戦する男、
これから最盛期を迎える男。
過去に経験した男とこれから経験する男、二人が共犯するこの事件で、
違う立場の思惑や考え忍耐や挑戦が描かれています。

その妙がラストにつながっています。
犯罪映画ですが、全体を通して人間味を感じる映画でもありました。

【いもたつLife】

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アイアン・ホース 1924米 ジョン・フォード

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リンカーン大統領が提唱した、大陸横断鉄道ができる様を描いた
サイレント映画です。
難解な事業に対峙して開拓してゆくストーリーです。

難事業が、だんだんと建設されてゆく中で、
工夫たち、街と街の人々、利権に絡む人たち、(妨害するインディアン)
が変化してゆきます。
歴史を映すこの作品の価値を感じました。

1924年頃のアメリカ人にとって、これを確認し映画として残すことに
とても意義があったのではないかという感じがヒシヒシと伝わってくるようです。

そんな映画なのですが、時折織り交ぜる、
観客サービスのようなコメディはいかにもハリウッド的です。
また、随所に簡易な(安易なといっては失礼にあたる)
民事裁判のシーンがあります。
これも凄くアメリカ的で、司法のルーツをみるようでした。

【いもたつLife】

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紳士同盟 1960英 ベイジル・ディアデン

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ほのかな温かさが作中ずっとただよっています。
サスペンスとしてドキドキがあるし、
コメディとして浮かれる気分になるし、
だけど基本が温かさです。

サイボーグ009ものと個人的に表現するのですが、
8人の退役軍人が主人公です。

個性的なのはもちろんですが、
ベテランの味がある演者ぞろいです。
脚本もしっかりしているし、
無駄なカットもなく、ストレートに進みました。

“紳士”がひとつのキーワードです。
ここから顧みると、1960年の日本とイギリスの差を感じずにはいられません。
ここからの日本の復興は目を見張るものがあります。
しかし、いつも感じるのですが、この映画でも、
イギリスは刻んだ歴史(ヨーロッパの他の国でも見受けられます)を貴んでいることが
感じられます。
日本の急激な発展に対して日本がおいてきたものがあることがわかります。
戦後が顕著なのですが。

明治時代もそうだという考えも否定はできません。
ただし、明治は江戸を下地にしています。
戦後は価値観が変わったのに対して、
明治維新は表現が変わっただけというのがつたない自論です。

戦後の経済の恩恵を、日本の価値に向ける余裕に使いたいと個人的には思っています。

【いもたつLife】

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夜 1961伊仏 ミケランジェロ・アントニオーニ

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一組の夫婦が、幸せで恵まれていると誰もが思っている夫婦が、
共通の友人、死期が近い友人をお見舞いに行ったところから、
その夜そして、夜明けまでの二人を映しています。

二人の心を語るよりも写してゆきます。
(正確にはもう一人加えた三人、妻のジャンヌ・モローを中心に)

写しだされる映像は、比喩的な表現ですから、受け手次第なのですが、
この夫婦が過ごした日々の空虚、すれ違い、愛が枯れてゆく様は紛れもなく伝わります。

私としては、夫婦を築けなかったとしたら、お互いに非があると思うのですが、
どちらかが深く傷ついているとしたら、
そこに注目するべきです。そこに何か重要なものが隠れています。
ただ、夫婦の間だけの愛のことだけを語っているわけではないようです。

夜が明けた朝に、昨日から夜にかけての描写と夫婦になってからの、
妻の心が語られます。衝撃です。

映画は、人の愛を語り、終わりますが、
観ている一人として、二人はこの後も生きてゆかなければならないことを、
気にしてしまいます。
どうするのだろう?
少なからず自分にも似た生き方をしてきたからそれを感じるのでしょうけれど。

映像を観せられ続けてきたのですが、映像よりも重い感覚がずっと残る鑑賞後です。
やはり映像は比喩で、心に感じるものを植える意図がこの映画にあったように思います。

【いもたつLife】

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