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オールウェイズ 1989米 スティーブン・スピルバーグ
人は必ず死ぬのに、今日は死なないと信じています。
これがないと絶望ですが、これがあるから怠惰になります。
「I Love You」が言えるか?
一つのキーでした。この言葉が代表するように、
絶妙のタイミングでピッタリの言葉を言い逃す時って
とても多いです。
正義があり勇敢で精一杯生きた、
だけど遣り残したことがある男の映画です。
さわやかだけど、かげりを感じる映画です。
たとえば何かひとつのことを残すとします。
それは自分だけ、多くても配偶者や恋人にしか価値がないこと、
もちろん経済的価値は0です。
そんなことを無駄に感じることの愚かさを教えてくれました。
少なくとも、生きる時間を多く共有していた人とは、
お互いのためになることを示唆してくれました。
いよいよ草取り
さつま芋の苗が植え終わりました。
苗が伸びる時間もあるので、今年も約3週間かかりました。
畝(うね)を作り苗を植えるのですが、
畝を作る時に畑を耕運します。
その時に一度草も掘り起こししまいます。
そして苗を植えるのですが、この時から、苗も草も
「よういドン」で伸びてゆきます
最初に植えた畑は3週間前ですから、苗も伸びていれば、
草も同様に伸びています。
順番に草取りに畑を回ります。
依頼人 1994米 ジョエル・シューマーカー
映画になるような題材は、頻繁に起こることではなく、
特異な事象であることがほとんどです。
今回も当然特異なケースです。
この映画では司法ですが、それを含めて法というものは、
完全に機能させることはできません。
最大公約数を狙ってどこかで落ち着かせる(妥協)しかないのですが。
それを良しとは当然思っていませんが・・・。
ただ、その誰もが納得できない現実を逆手にとるのは許せません。
誠意というのが、根底にあるのが基本中の基本です。
欲と嫉み、それと悪をなんとも思わない、
その犠牲に陥らせないストーリーは快心でした。
この少年家族のような犠牲者にはなりたくないけれど、
生きている限り何が起こるかわかりません。
それとは逆に、加害者には、なろうとしなければならないでいられます。
それを強く感じました。
お早う 1959日 小津安二郎
小津監督がどこまで先見性があったのか、偶然か、
後世に残すための映画でした。
この時代を見事に納めています。
時代観とは関係なく普遍のテーマももちろん謳っています。
主人公の兄弟が的を獲ていて、的を獲ていない台詞を言います。
「オハヨウ、コンニチワ、イイオテンキデ・・・」
「こんなの意味ないじゃん、大人も無駄なこと言っているよ」
ここがこの映画のひとつのキーです。
この前段階で、「This is a Dog・・・etc」
も子供の台詞です。
子供にとってはどちらも同じが言い分ですが、
この無駄が大事なことを、鑑賞する誰もが体験している、
心は納得するがドラマはない組み立てで、感じさせてくれます。
それら以外にも、落語のフレーズがあったり、
おならが一貫した脇役だったり、
タンマがあったりと、
小津作品の中でも盛りたくさんの内容でした。
楽しみながらも改めて映画の力を感じました。
エビスビール 超長期熟成
国産ビールでは最も好きなビールが、
エビスブランドです。
ここのところ色々なバリエーションをリリースしているので嬉しい限りです。
これは長期熟成が謳い文句ですが、
それほど熟成は感じられませんが、
まろやかさは確かにあります。
コクも旨味も継承されていますので、エビスらしい味わいは堪能できます。
そして、アルコール度数が高めで醸造されていますので、
レギュラーのエビスとはまた違った味わいも楽しめます。
最近めっきりビールを飲まなくなってきましたが、
夏はビールですし、エビスの新銘柄は気になります。
夏前に味わってこの夏のビール三昧を想うのも楽しいものです。
奇跡のりんご
頭をぶん殴られる本です。
それは、無農薬無化学肥料の農業に多少ならずとも係わっているからですが。
それを商業的に考えていたからガーンと感じます。
木村さんの生き方は壮絶です。
そこには利己がありません。
私は自分と自社を可愛がります、それをも利己です。
私には木村さんと同じことはできません、
この本を読んだ多くの農業従事者も同じでしょう。
だけどその心に、何か違う風を吹き込んでくれます。
それは純粋でかつやりきったからの言葉だからです。
この本のことを書き留めることはこんなことしかできません。
何度か読み返すでしょう。
そしてその度に同じことを思うかもしれません。
だけどちょっとでも違う風が自分の中に吹くようにしたいです。
三分一湧水
山梨県大泉村です。
山の中に住みたいと思うことがよくあるのですが、
いざ、それを実行することは至難です。
八ヶ岳南麓にはここのような湧水はめずらしくなく、
ここは公園となっていましたが、
こういう所に来ると、山で暮らしたいことをまたまた思います。
この湧水は下流の村落に等分に3方向に分けたところから、
三分一湧水と呼ばれているそうで、実際に三分割する小さい岩もありました。
6月1日には、ここ三分一湧水のための行事が毎年行われるそうです。
私の勝手な想像ですが、田植え前だからの日程かと思いました。
山の中では田畑は限られた場所になります。
そこに引く水源は誰も、我も我もとなります。
「水元」と呼ばれていた名家が音頭をとっていたようです。
ちょっとしたことを探ることは、観光の楽しさです。
静かなる対決 1946米 エドウィン・L・マリン
西部劇全盛、アメリカ映画が元気な感じが出ている映画です。
ストーリーは西部劇らしく、かつ、ミュージカルの要素もあり、
コミカルな演技ありと楽しませてくれます。
ただ、脚本はかなり当時の社会性を考えさせられる内容です。
南北戦争が終了しているとはいえ、
まだまだ秩序は不安定な西部の、ある街が舞台です。
無法者のカウボーイ達と彼らの暴力を恐れる街の人々、
ただし、カウボーイに経済的にも支えられているから、
精神的にも経済的にも従うしいかない街です。
その中で金が稼げればよしとする人もいれば、
奴らを許せずくすぶったままの人もいます。
そこに今度は、大量の入植者がやってきます。
街の人は彼らも受け入れません。
市民権を得られない入植者達は、
防衛という建前の暴力を、カウボーイ達に向けます。
そして全面戦争に入るのですが。
街の人は生き残る術を自分の立場だけで考える、
個人個人で違うその考え方が描かれているのが印象的です。
結局は自分が一番可愛いからです。
その態度の背景は、街の人もカウボーイも入植者も、
全く同じです。
まず生きられること、家族と安心して生活できること。
多くの移民がアメリカに来て、
まだ未成熟であった、けれどチャンスがある国、
そんな、アメリカがこれから繁栄してゆく前夜がうまく描かれています。
朗読者
物語りとしてはもっと奥が深く、
登場人物達の人となりや人生の広がりももっとある中で、
レポートのように簡潔にまとめられている本です。
それらは察するしかないのですが、
著者は特にそれを狙っていたようにも思えます。
ドイツが第二次大戦をどうとらえているかが焦点ですが、
主人公ふたりの愛はどういう愛だったのかも、重要点です。
彼女はわかりませんが、彼にとってこの愛は人生を占める大きなものでした。
自分の中に占める彼女の存在が、良くも悪くも彼を作りました。
ただ、彼はこれを受け入れているし、良いこととしています。
普通の人とはかなり違った人生を歩むことにもなりました。
どこかさめたような、他人も自分をも、上からながめるように生きました。
彼女に淡々と朗読のカセットを送るという愛情?表現も
それらの強い現れです。
幸せなのかはわかりませんが、彼のそんな心のあり方は、
ちょっと羨ましくも感じました。
事件 1978日 野村芳太郎
現実的で実を取った妹(大竹しのぶ)のしたたかさが、
ラストを飾ります。
映画は、法廷の熱く知的な駆け引きに力が入り、
魅了もされます。
原作も脚本も良いし、主だったキャストの熱演の賜物でしょう。
裁判をメインに扱う作品ですが、今よりも司法を崇高に扱うように感じます。
司法を信じている雰囲気があります。
これは時代の流れで、今の私たちの方が司法に幻滅している、
そんな危惧も感じます。
ただ、この意見はとても私的なものですので、ご考慮ください。
次第に当事者の本心が現れる過程が見どころです。
殺した男(永島敏行)は憐れむべきキャラクターから憎むべきキャラクター
に移送します。殺された女(姉)(松坂慶子)はその逆です。
その二人を遠目で、わが身をしたたかに守る妹がたたずんでいます。
妹は、母が犯した間違いと姉が犯した間違いの轍を踏まぬことが最重要として
行動しました。
妹は手に入れた幸せを謳歌できそうな雰囲気でラストですが、
私個人の鑑賞後の後味は、やがてこの妹も、
母や姉の間違いを踏むような気がしてなりませんでした。
なぜなら、男を非情に追い込むまでのしたたかさがあれば別ですが、
そこまでの非情さはありません。
そして、男は混乱の言葉を発していました。
その言葉に対して「発する声と現実の行動は別」と
裁判官も検察も弁護人も裁判の結果がどうあれ安堵していました。
だが男は、その言葉を実現させる男だったから、
この【事件】は起こったのです。