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ブログ 今日のいもたつ

銀幕倶楽部の落ちこぼれ

クロッシング 2008韓 キム・テギュン

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病気の妻を救えず、かけがえのない息子を救うことがかなわなかった父は、
一生自責から免れず、なぜ自分だけ生きているのかを背負って行くでしょう。

けれどこの映画を観たものは、世界(北朝鮮)がこんな状況だから、
ということを世界の一人として自分に問います。

世界が人々が安心して暮らせるようになって欲しい。
それを願わずにはいられませんでした。


推測ですが、北朝鮮の内情がとてもリアルに描かれていたと思います。
この映画を造る際に、かなり検討し、丁寧に再現されたのでしょう。
そこをとっても貴重な作品です。

【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】

日時:2010年05月31日 08:12

埋れた青春 54仏 ジュリアン・デュヴィヴィエ

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男女の四角関係で起きた殺人事件が舞台ですが、
18年前の回想として描きます。
それを若き主人公が追うことで、
フランスの司法と社会のことなかれ主義を、
身近な家庭や学校でも反映させてあぶりだしています。

重層的な構成になっています。

美しい妹役のエレオノラ・ロッシ・ドラゴに眼が行きがちですが、
他の俳優陣も持ち味を発揮しています。

若き主人公の叫びに共感しながらも、
都合が悪いことをこの場合は恩赦という形で収める世の中、
人の弱さにつけこむ人の残酷さに嫌悪を感じながらも、
その一員であることも認識しないではいられませんでした。

【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】

日時:2010年05月30日 06:04

逢びき 1945英 デビッド・リーン

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恋に落ちた二人、特に女性の気持ちが、
86分に見事にまとめられています。
上品な作品です。

一見は不倫ですが、不倫という状況設定であって、
人の心のありようや、生きていく中のはかなさを、
また、おもいのままいかない社会を描写するために、
設定された不倫です。

だから題名は、邦題の「逢びき」よりも原題の
「Brief Encounter」の方がしっくりきます。

別れを邪魔するおせっかいおばさんの演出も良いし、
ラストの夫の憎い台詞と仕草は、
なかなかできないけれど、こうありたい、
妻を本当に愛している姿でした。

観ているときよりも見終って少し時間が経つと、
良い映画だったと感じる作品です。

【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】

日時:2010年05月29日 07:09

腰抜け二挺拳銃 1948米 ノーマン・Z・アクロード

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キートンやチャップリンの孤高の存在がいての喜劇
とは違う、チームでつくった喜劇という感じです。

主役ボブ・ホープに加えて、ジェーン・ラッセルという色気も加わっています。
また、キートンらの精神は引き継がれていますし、
名探偵コナンをはじめ多くの元ネタになっています。

古い映画フリークを自称しますが、好きだからだけでなく
新鮮さや意気込みや感動を、古い映画から受けるのは
私だけではないのではないでしょうか?

余談ですが、「腰抜け二刀流 1950日 並木鏡太郎」
というこの映画の焼き直しが昨日まで神保町でやっていました。
行きたかったなあ。

【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】

日時:2010年05月28日 07:04

木曜組曲 2001日 篠原哲雄

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密室に近いミステリー劇で、
その謎とスリルを味わう映画なのですが、
いまいち緊張感と、?マークが結構多い進行が気になりました。
が、
この映画は女優陣を楽しむ映画でしょうから、
そのへんは多めにみて楽しめば良いのでしょう。

しかし、このころの映画をあまり観たことがなく、
女優さんが誰かがわからず、浅丘ルリ子さん以外、
見たことがあるようなないような。

映画は現代劇の場合、その時代の空気を伝えます。
2000年初頭の空気はやっぱり今と違うし、
よく観る古い映画の魅力も改めて感じることもできました。

【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】

日時:2010年05月27日 07:05

レ・ミゼラブル 1957仏伊 ジャン・ポール・ル・シャノワ

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1800年代のフランスを映像で体感できる。
映画ならではです。

この映画は、読み手に任せる本と同じような、
映画になっているところです。

各登場人物の人となりや、時代背景、
その時代の人々のあり様に、
造り手の押し付けを感じることがあまりありませんでした。

3時間の長編ですが、
常に自分で思考していました。
だからきっと1800年代のフランスを体感した感覚になったのでしょう。

【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】

日時:2010年05月26日 06:59

赤い橋の下のぬるい水 2001日 今村昌平

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中年男のファンタジーアンドコメディなので、
楽しく笑いながらの鑑賞が正当なのでしょうけれど、
笑うことができないでみおわりました。

「豚と軍艦」のころから、
この映画のころまでの日本をちりばめて、
水をモチーフにして物語ができています。

主人公を自分と重ねると、コメディでなくなってしまいます。

ホームレス、さえないビジネスマン、失業に失業保険、
田舎の漁師、都会と田舎の生活、
生活のためのマラソン留学のアフリカ男と町興し、
離婚をせまる妻とそれを支持する妻の両親、
住宅の売却、公害の後の神通川と神岡カンデ
そして性。
「水」の流れや形、勢いや静、または汽水を通して、
今村監督は何を言いたかったのか。

もしかしたら難しく考えずに、
私が感じたように、心のちょっと遠い所が揺れれば
それで良かったのかも、とも思いました。

【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】

日時:2010年05月25日 07:15

白痴 1951日 黒澤明

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ドフトエスキーの原作を知っている方には
怒られるかもしれませんが、
知らない私でも、そのテイストが充分に伝わってきます。
ヨーロッパ的で文学的な映画になっています。

黒澤映画での原節子さんは新鮮で、鮮烈な彼女がいました。
久我美子さんも持ち味が出ていて、ファンでもあるし、
二人の対決は息を呑むばかりでした。

黒澤映画の雰囲気=常連の役者がいるし=らしさもありましたが、
テイストが他の黒澤映画とは違ったのは、
やはり原作に忠実だったからでしょう。

雪の北海道はこの物語にピッタリで、
全体が醸す世界に“人とは”を考えることに没頭しました。

【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】

日時:2010年05月24日 07:07

マンハッタン 1980米 ウッディ・アレン

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このニューヨークを世界中の人にみせたい。
そんな背景を感じ、それをみせてもらえました。

ストーリーは、
現代と言っても30年前ですが、
エゴを、特に男のエゴを、もう全く自分をみるようで、
嫌になる主人公のウッディ・アレンと恋人たちで、
現代と男を描きます。

細かいことはなしで、
大きく感じたのは、
「余裕」人生に一番必要なものかなと思いました。
でもそれは自分が生きる舞台で必要なものです。

軽快だけど、ひとひねりある台詞の応酬も楽しめました。
ウッディ・アレンは優しいロマンティストですね。

【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】

日時:2010年05月23日 08:47

抵抗 1956仏 ロベール・ブレッソン

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たんたんと語られた良い映画です。
押し付けがましくない、
ドラマを入れている訳ではないけれど、
眼差しを深くしてしまいます。

それは語られる物語(実話)に生きる哲学を込めて
つくられているからでしょう。

ブレッソン監督の作品は初めて観ましたが、
他の作品も観ないでいられなくなりました。
「大根の葉」
掘りたての大根をもらうと葉っぱがシャリッとしているから、
捨てることができません。
3度の食事で煮て食べました。

戦争映画をみて、食べ物のありがたさを感じているから。
なんてキザなことは言いません。
ただ、こういう所も食べてみようを思うのは、
やっぱり裕福なのだだろうという感覚がありますし、
それは大事だなことです。

【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】

日時:2010年05月22日 05:55