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ブログ 今日のいもたつ

いもたつLife

好人好日 1961日 渋谷実

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飄々とした笠智衆はじめ脇を固めるキャストの演技が楽しい映画です。

胡散臭い奴でも、天下が認めると、その胡散臭ささえも魅力となり、
なびいてしまうのは世の常。
だけどそんなの関係ないじゃん。の主人公です。

俗人の私がみてちょっとムッとすることでも、
そんなの関係ないじゃん。は、
そうなんだと納得します。
だって俗人は(自分も含めて)そんなもんです。
そして、ムッとするとしたら、自分の卑しさを語るようなものです。

そんなことをあっさりと笠智衆がコミカルに語ってくれました。

【いもたつLife】

日時:2009年07月04日 07:02

レインメーカー 1997米 フランシス・フォード・コッポラ

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4人の弁護士(一人は弁護士の資格はない)を通して、
初心と今を写していました。
それと、金と名声への警鐘です。

1、弁護士になりたての主人公、無一文です。
2、やり手の弁護士、正義は二の次、でも依頼人には利益をもたらします。
その結果高所得も得ています。
3、もう一人の弁護士はヒールです。法律ぎりぎりです。
依頼人に利益をもたらしていますが、魂は売っていません。
主人公はロースクール後ここに勤めます。
4人目は、ヒールの補佐的存在、主人公の相棒です。
弁護士試検には合格していませんがプロです。庶民の代表です。

ストーリーの焦点は、主人公とやり手です。
もちろんこのやり取りも、これ以外のエピソードも楽しめます。

だけど、本質は人は初心を忘れようとしていないけれど、
勘違いで全く別人になっていることです。
知らず知らずで。
悪い訳ではありませんし、ここに表されるだけで四様です。
これは警鐘ですが、もう一つ、
金と名声を得る、もっとつっこめば、世間の期待に沿えることに自分をおくことを
拒否した主人公はお手本です。
これがこの映画のもしかしたら一番の提唱と私は心に響きました。

【いもたつLife】

日時:2009年07月03日 07:14

忍ぶ川 1972日 熊井啓

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話は単純です。
訳ありの男 哲郎(加藤剛)と訳ありの女 志乃(栗原小巻)が、
心を分かち合い結ばれます。
集約すれば単純ですが、訳ありの条件をお互いが掛け合う所に、
真価がありました。

男は6人兄弟の末っ子ですが、
3人の姉兄が自殺、1人の兄が行方不明、残った姉は引きこもりです。
これを宿命と感じ、昔の田舎の状況ですから、
家族は隠れて暮らす様を自らで義務付けています。
(家族はまともではないこと呪われていることを、
宿命であり、不幸であることに従っています)

女は、女郎やの出です。料理屋に奉公に出ています。
家族は家を追われ、疎開先の寺になんとか住まわせて貰っています。
(女の家族はまともではないことを、負い目であっても尊厳を失っていません)

この二人が互いを補うのです。
男は女に約束します。結婚を。
(当時を推測すると、この状況で恋愛で結ばれることは、
女にとってとても幸せだったようにとらえました)

女は、男と男の家族に対して、
今までを断ち切る存在になります。

この描写をどう感じるか。
この作品は観るものに問いかけています。

物語は単純です。
こんな過去を持つ人も今は稀有でしょう。
だけど、映画を観て考えます。

自分にも多くの何かにひっぱられていることが確かにあります。
それを断ち切る力はどこから湧くのでしょう。
過去にはいくつかを断ち切ったこともあったことを思い起こします。
でも今も引っ張られています。
これからもそこから抜け出すことをするでしょう。
そこには、自分を補ってくれる誰かの存在ってとても大きいものです。
それを意識させてくれる映画でした。

【いもたつLife】

日時:2009年06月30日 15:37

チャーリー 1992米 リチャード・アッテンボロー

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主演のロバート・ダウニー・Jrのチャップリンぶりは、努力の成果が伺えます。
この映画を残したい気概が感じられました。

偉大なるチャップリンですが、
その名声には影があることも知られています。
それを自らの言葉で語る、語らせる、そんな意図も含めて
この映画がつくられています。

偉大な功績と当時のチャップリン評は、
アメリカの20世紀の姿でもあります。

彼は何故喜劇を選んだのか、もっと言えば映画も選びました。
サイレントも選んでいます。
それらは成り行きということもいがめません。
ただ、とりつかれたようにそこに魂を吹き込むことも描かれています。
それは真実でしょう。
だからアメリカや世界相手に譲れない自分を持ち続けました。
偉大な作品は、そんな思想と思考が生み出だしたのでしょう。

【いもたつLife】

日時:2009年06月29日 06:16

ジョーカー・ゲーム 柳 広司

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スパイとそれを養成する上司、組織という特殊な設定、
時代も第二次大戦前、所も世界各所と大風呂敷ながら、
世界観がしっかり伝わってきます。

特殊な人達の行為で、大衆とは離れた人間であり続ける主人公たちながら、
深層の心は、共感できる描かれ方をしています。
第二次大戦前という状況をとてもうまく活かせています。

人は孤独であるし、だけど生きるのに家族もなくてはならない、
複雑です。
そんな描写を、ふつうとはかけ離れたスパイという存在で示した
意欲を感じます。

当然フィクションの面白さも味わえました。

【いもたつLife】

日時:2009年06月28日 10:55

断崖 1941米 アルフレッド・ヒッチコック

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ハンサムだけどダメ男(ケイリー・グラント)と
良家のお嬢さん(ジョーン・フォンテイン)が駆け落ち同然で
夫婦になるのですが、夫のダメ男ぶりにほとほと泣かされる妻。

夫が保険金目当ての殺人をしたか?自分もその対象かと疑心暗鬼になる妻。
真相は?
というストーリーです。
夫のダメぶりと妻の心理描写を楽しむ作品です。

ジョーン・フォンテインはこの作品でアカデミーですが、
ケイリー・グラントの存在と、ヒッチコックの演出も大きいですね。

同じヒッチコック、ジョーン・フォンテインのレベッカの方が、
サスペンスっぽい感じですが、
この作品はサスペンス色を現すまでの、
日常を映す数々のシーンでの演技に見応えがあります。

と、ここで思いだしました。
レベッカもそんな水面下で「沸々」とした仕込みをしていました。

仕上げをごろうじろはやっぱりヒッチコックらしいですね。

【いもたつLife】

日時:2009年06月27日 06:41

素晴らしき哉、人生 1946米 フランク・キャプラ

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子供に聞かせる童話のような話なのですが、
主人公ジョージ(ジェームズ・スチュアート)の熱演と
脚本とテンポが良いリズムで、臨場感と緊張感を持ったまま、
そして引き込まれます。

主人公の半生を追うのですが、
才能も努力もやさしさも忍耐もあるけれど、
自分の想いは適わないという男です。
理想的ですが、現実の人物を感じるし、
ストーリーが進み窮地に追い込まれるときは、
どこにでもいる男です。

そこから<秘密>があって、
良妻(ドナ・リード)の献身が状況を好転させます。


世の中を斜めにみるところがある私ですが、
この作品はとても感動しました。

【いもたつLife】

日時:2009年06月26日 07:09

ルート255 2005日 中村義洋

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中学生の姉弟が異空間に迷い込んでしまう設定です。
SFですが、SFが主ではなく、
異空間の姉弟が数日をどう過ごすか?そしてどうなるか?
をなるべく平坦な感じで映します。

何気ない積み上げを数え切れない位重ねた上で、
今の自分が生きていることを実感させてくれる内容です。
何気ないものがほんのちょっとずれただけで、
状況は全く異なってしまいます。

ただ生きてゆく上では、何不自由なくても、
そのずれが生む怖さは受け入れられないものです。
そして、恐怖をすぐには認められない。
元に戻すこともできない。
淡々とした進行の中で「せつなさ」を強く感じました。

ラストは人が生きてゆく上で備えている本能が描かれているのでしょうか?
希望と言っているのか、忘れることも必要と言いたいのか、
思い出を現すのか、とりあえずが大事なのか、
この映画らしい余韻でした。

【いもたつLife】

日時:2009年06月25日 07:15

のぼうの城 和田竜

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豊臣秀吉の天下統一の最終局面、
北条家の支城「忍城」成田長親を城代とした僅かの手勢と、
石田光成の大軍との合戦の小説です。

歴史の上で特筆される史実の上、
小説としてもとても良く造られていて、涙する内容と、痛快さで
楽しく通読させてもらいました。

内容は、読んでのお楽しみです。
内容以外で感想を。

人は安易に成功を求める気持ちはある、(成功に限らなくても)
持っている本能です。
安易を求めるのも解りますし、自分もそうです。
安易というのは、努力以上を求める姿勢です。
それと、こじつけて成功を理論することです。

この本はそんな基本的なあやまちを諫めてくれます。
特に、効率とか言っていることに対して。


人間 勝負をする時が来ること、きっと人生であるはずです。
そこでは、効率とかコツとかはありません。
対面した状況があるだけです。

それと、自分の過去と、今いる仲間です。

この戦は、誰の予想よりも長親たちに上手く運びました。
これもたまたまの要素があります。

だけどたまたまを引き出す、
状況をずっと培っていたこと。
心を静かに、どうすればよいかをきこうとしたこと。
人として生きようとしたこと。


こんなにも普遍を勇気をもって実践した武将と領民たちに
頭が下がるとともに、
あくまで殺人ですが、それを超えた美意識が戦国時代のあったことを
再認識をした、しよう。というのが読後の感想です。

【いもたつLife】

日時:2009年06月24日 05:13

地下室のメロディー 1963仏 アンリ・ヴェルヌイユ

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ジャン・ギャバンとアラン・ドロンの共演のサスペンスです。
これだけで、この映画の様子が伝わります。

ジャンギャバンが刑務所からでてきて、アランドロンと会い、
犯罪が進められます。ラストの見事さまでの物語の面白さも映画の骨子ですが、
この二人の年齢による心理描写がもうひとつの見どころです。

最盛期を越えてもなお現役として挑戦する男、
これから最盛期を迎える男。
過去に経験した男とこれから経験する男、二人が共犯するこの事件で、
違う立場の思惑や考え忍耐や挑戦が描かれています。

その妙がラストにつながっています。
犯罪映画ですが、全体を通して人間味を感じる映画でもありました。

【いもたつLife】

日時:2009年06月22日 07:20